使用貸借とは?

2019.08.09

相続コンサルタント会社ニーズ・プラス コラム編集部です。
「マイホームを建設予定の我が子を援助するために、自宅の庭を建設用地として提供し、土地代を無料にしてやりたい」と考えたことはありませんか。親子などの親しい間柄で土地を無料で使わせる場合、それは「使用貸借」にあたります。そんな親心から始まった使用貸借も、相続が発生した場合には土地の返還をめぐってトラブルになるなど、思わぬ事態を招いてしまうことがあります。
今回は、土地活用を考えるうえでぜひ知っておきたい使用貸借について、事例を交えて解説します。

使用貸借とは

賃貸借と使用貸借

物の貸し借りについての法律用語には賃貸借使用貸借があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

賃貸借(ちんたいしゃく)

賃貸借とは、自己所有物の使用を認めるかわりに対価を支払ってもらう契約を指します。土地で賃貸借を行う場合、その土地には「借地権」と「底地権」が設定されます。貸主は「底地権」を持つ一方、土地を自由に使用できる「借地権」を借り手に与え、借り手から「地代」を受け取ります。近年は「権利金」という形で礼金にあたるものを設定することもあるようです。

使用貸借

使用貸借は、親族や友人などの親しい間柄で行われる無償の貸し借りを指します。貸主の善意で行われ、利益を得ることを目的としません。使用貸借の土地では、借り手が土地の使用の対価として「権利金」や「地代」を支払うことはないのです。

使用貸借は賃貸借に比べて借り手の権利が弱くなる

使用貸借は借り手にとってメリットばかりのように思えます。しかし、無償で他人の物を貸してもらうという契約の性質上、借り手の権利が弱くなることには注意しなければなりません。法律上で、賃貸借の土地は借り手の権利が手厚く保護されているのに対し、使用貸借の場合はそうではないのです。それでは、どういった点が異なるのか具体的に比較しながら見てみましょう。

使用貸借の権利は原則として相続できない

賃貸借の土地では、借り手が亡くなったときには、のこされた家族が「借地権」を相続してその土地に住み続けることができます。これに対して、使用貸借の土地では家族がその権利を相続することはできず、土地を明け渡さなければなりません。なお、借り手の死後に家族が引き続き土地を使用することを契約書で定めている場合はこの限りではありませんが、そのようなケースは稀です。

使用貸借の土地は貸主の気持ちひとつで返還を求められることがある

使用貸借の土地は、使用目的や期間をきちんと定めていない場合には、貸主がいつでも土地の返還を求めることができます。賃貸借の土地では、正当な理由がない限り貸主が土地の返還を求められないので、これも大きな違いです。

使用貸借の土地は相続発生時にトラブルになりやすい

使用貸借とは使用貸借は、主に貸主と借り手の人間関係に基づいて成立した契約です。それゆえ、貸主と借り手のどちらかが亡くなったとき、使用貸借は大きな転機を迎えます。契約書を取り交わさず口約束だけで使用貸借が開始されている場合には、契約の内容がはっきりしないことも多いので、土地の返還をめぐってしばしばトラブルに発展してしまいます。

借り手が亡くなったときに起こるトラブル

借り手が亡くなれば、上述のとおり、使用貸借の契約は基本的には終了します。のこされた家族は土地を貸主に返さなければなりませんが、そこに自宅を建てて長年住んでいる場合や、引っ越しに伴う費用を工面できない場合など、現実的には立ち退きが難しいことがあります。

貸主が亡くなったときに起こるトラブル

貸主が死亡したときには、その土地を相続した人が新しい貸主になります。新しい貸主が使用貸借を解消したいと考えた場合、一方的に契約の終了を言い渡されてしまう可能性が高いのです。借り手がこれに納得できなければ、もめてしまいます。

では、実際にどんな事態が起こるのか、鈴木さん一家を例にご説明します。

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「気軽に始めた使用貸借で大変なことに・・・」鈴木家の物語

新婚の鈴木さんはマイホームを建てるための土地を探していました。すると年の離れた兄が、「土地なら余っているから、タダで使っていいよ」と言ってくれました。家業を継いだばかりの兄は、すべての土地と家を相続して持て余していたのです。喜んだ鈴木さんは、妻の洋子さんとともに兄の土地に家を建て暮らし始め、子どもにも恵まれました。

しかし数年後、不幸にも交通事故に遭い、鈴木さんが急死。幼い子供を抱え、悲しみにくれる洋子さんをさらなる悲劇が襲います。鈴木さんの兄から「うちの会社が事業を拡大することになって、新しく倉庫を建てるんだ。そこで、あの土地を使いたいと思う。こんな時にすまないけれど、出て行ってもらえないだろううか」と言われてしまったのです。予想もしなかった展開に、洋子さんは途方に暮れてしまいました。使用貸借とは

貯金はマイホーム建築のためにすべて使い果たしており、ほかに行くあても見つからなかった洋子さん。鈴木さんの兄に頼み込んで、なんとかその土地に住み続ける許可を得ました。

それから8年後、鈴木さんの兄が亡くなり、洋子さんが住む土地は相続によって兄の妻のものになりました。そして事態は急展開を迎えます。兄の妻から、「やっぱりあの土地を出て行って欲しい。夫が亡くなった今、家業は続けられず、うちもこれから食べていくのに大変だから、賃貸の経営を始めようと思って。あの土地には新しくアパートを建てたいの」と言われてしまったのです。

よくよく話を聞くと、鈴木さんは兄に「土地の固定資産税くらいは僕が負担する」と言っていたにもかかわらず、最初の年しか支払いませんでした。そのため、二人の関係はしだいに悪化していたのです。鈴木さん亡き後、幼い子を抱えた洋子さんに固定資産税を支払わせるのは酷だと思った兄は、その話を持ち出すことはありませんでした。しかし、兄の妻はそれを快く思っていなかったので、兄の死をきっかけに、出ていくように言ってきたのでした。

一連の出来事ですっかり困り果てた洋子さんは、体調を崩して寝込んでしまいました。「タダって言ってくれたから家を建てたのに」と、気軽に使用貸借を始めてしまったことを後悔する日々を送っています。

使用貸借を正しく理解してかしこい土地活用を

使用貸借は、赤の他人同士で行うものではないからこそ、問題が起こった際の対応に苦慮することが多い傾向にあります。使用貸借を始める場合は、のちのちのトラブルを避けるため、「身内であっても契約書を取り交わす」「日頃から家族間で想いを共有しておく」などの対策をおすすめします。

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