【弁護士監修】安すぎる地代を増額するには?地代の計算方法と増額請求の流れをまとめて解説!

借地契約は長期間で、最低でも30年以上です。契約内容が昭和の時代から継続したままで、地代の額は相当低い状態のまま放置されているケースも少なくありません。

こうした事情にもかかわらず、「地代を値上げしたいけど、地代の相場がわからない」という地主さんが多いのではないでしょうか。

そこで今回は、地代の増額をしたい地主さんのために、地代の計算方法と、地代の増額を借地人さんに請求する場合の全体の流れについて、わかりやすく解説していきます。

ぜひ、最後までお読みください。

なぜ地代の管理が重要なのか?~低廉の地代のままではリスクが高い

借地契約は、契約期間が長いため(最低30年)、時代の経過とともに契約当初に合意した地代ではまったく見合わないケースが多々あります。

このような場合、地代の増額を適切に行うことで、実勢の土地価格に対して適正な利回りを確保できます。逆に増額を適切に行わないままでいると、固定資産税・都市計画税など、必要経費を上回る収入が確保できず、土地を所有しているだけで損をし続けることにもなりかねません。

また、相続税の納税を底地で物納する場合や、底地売却時の交渉の場合など、低額な地代のままだと地主さんにとっては大きな不利(リスク)です。

以上、地主さんにとって地代の管理は大変重要なものとなります。不要なリスクを抱えこまないためにも、地代を適正な額にまで増額することを検討しましょう。

地代を増額するときの計算方法

地代の増額を検討する場合、適切な根拠をもって地代を算出する必要があります。以下、実際に地代を改定(増額)する場合に使用される計算方法をご紹介します。

1)差額配分法

差額配分法とは、対象土地の契約時点の地代と現時点における適正な地代との間の差額に注目した計算方法です。算出した差額の内、地主に帰属する部分を現行の地代に加算/減算して地代を求めます。

計算式

計算式は以下の通りです。

地代=現行の地代+(適正な地代-現行の地代)×差額の配分率

差額の配分率(地主に帰属する部分)は

  • 契約の経過期間と残存期間
  • 契約締結からその後現在に至るまでの経緯
  • 貸主(地主)または借地人の近隣地域の発展に対する寄与度(貢献度)
    • 以上の要素が総合考慮して決定されます。

      実際のところ、配分率は1/2〜1/3程度が一般的な相場のようです。

      具体例

      以下の事例で、地代を求めてみましょう。

      • 現行の地代が100万円(年間)
      • 適正な地代が130万円(年間)
      • 配分率が1/3

      100万円+(130万円-100万円)✕1/3=110万円

      地代:110万円(年間)

      2)利回り法

      利回り法とは、現在の地代を設定した時点での利回りを、現在の土地価格に対して計算したらどうなるか、という観点から地代を算出する方法です。

      計算式

      計算式は以下の通りです。

      • 地代=基礎価格(※01) ✕ 継続賃料利回り(※02) + 必要経費

      ※01:基礎価格とは、現在の地価(土地の評価額)を表し、「底地価格」を採用するのが一般的です。

      ※02:継続賃料利回りとは、現行賃料を設定した時点で想定していた利回りを意味します。

      具体的には以下の計算式で算出できます。

      • 継続賃料利回り(※03)=(現行の地代 - 必要経費)/現行の地代を定めた時点の地価(土地の評価額)

      ※03:正確な継続賃料利回りは、現行賃料(現行の地代)を定めた時点における基礎価格に対する純賃料の割合を標準とし、以下の要素を総合的に比較考量し算出します。

      1. 契約締結時の利回り
      2. 各賃料改定時の利回り
      3. 基礎価格の変動の程度
      4. 近隣地域等の類似不動産の賃貸事例利回り

      (参考資料:「不動産鑑定評価基準 – 国土交通省/継続賃料利回り」)

      具体例

      以下の事例で、地代を求めてみましょう。

      • 基礎価格(現在の地価):2,000万円
      • 継続賃料利回り:4%
      • 固定資産税等の必要経費:20万円

      この場合、地代は以下の通りです。

      2,000万円✕4%+20万円=100万円

      地代:100万円(年間)

      3)スライド法

      スライド法とは、物価、地価、その他の変動率に合わせて地代を変動調整する計算方法です。変動率が上がれば地代も増額し、逆に物価が下がれば地代も減額するのが特長です。

      計算式

      計算式は以下の通りです。

      • (現行の地代-現行の地代を定めた時点で設定した必要経費)×変動率+現在の必要経費

      具体例

      以下の事例で、地代を求めてみましょう。

      • 現行の地代:100万円(年間)
      • 現行の地代を定めた時点で設定した必要経費(固定資産税等):25万円
      • 現在の必要経費:40万円
      • 物価変動率:1.5倍程度

      この場合の地代は以下の通りです。
      (100万円-25万円)×1.4+40万円=145万円(年間)

      地代:145万円(年間)

      4)賃貸事例比較法

      賃貸事例比較法とは、対象土地と近隣物件や同一需給圏内の類似地域における地代を比較し、相当な地代を計算する方法です。

      具体的には近隣にある類似の土地の地代例をいくつか抽出しその平均値を取ったり、類似成約事例を参照しつつ、対象土地の個別、具体的な要因(契約内容、土地および建物に関する個別的要因)を考慮して地代の計算を行います。

      対象となる事例の数は、特に明確な基準はありません。ただし、比較に用いる事例は現在継続中の借地契約である必要があります。

      賃貸事例比較法は、比較対象となる事例が近隣にないとそもそも適用できません。また、土地の形状、大きさその他、特殊性により必ずしも単純に比較できないケースも多々あります。

      具体例

      以下の事例で、地代を求めてみましょう。

      対象土地は100平方メートルの土地とします。

      近隣にある類似の地代の事例は以下の通りです。

      • 1)50平方メートル:80万円(年間)
      • 2)100平方メートル:150万円(年間)
      • 3)80平方メートル:110万円(年間)

      上記を前提に、1平方メートルあたり金額を計算します。
      1)の土地は1平方メートルあたり:1万6,000円
      2)の土地は1平方メートルあたり:1万5,000円
      3)の土地は1平方メートルあたり:1万3,750円

      1)~3)を平均すると、対象土地の地代は1平方メートルあたり14,917円とします。
      対象土地が100平方メートルなら地代は約149万2,000円(年間)と計算できます。

      地代:149万2,000円(年間)

      実際の地代の決め方〜どの計算方法を採用するのか?

      以上が、地代の改定(増額)を検討する際の計算方法となります。このように地代の計算方法にはさまざまな計算方法があります。

      どの計算方法を採用すればいいのか、悩む場合もあるでしょう。実際のところ、どの計算方法を採用するかについて決まりはありません。対象となる土地の個別の事情に応じて判断します。最終的には地主さんと借地人さんが相談して、妥当だと考えるルール(計算方法)を採用して、実際の地代を計算します。

      その場合、特定の一つの計算方法でも、複数の方法の組み合わせになることもあります。地代の増額(減額)を決める裁判の場合も、複数の方法を使って、総合的に決める場合がほとんどです。

      増額請求の要件について〜どのような場合に地代の増額請求ができるのか?

      地主さんが地代を増額したい場合、法律的には相手側である借地人さんの同意は必要とせず、増額請求する権利があります。これを地代の増額請求と言います。

      とはいえ、どんな場合でも増額請求が認められるかと言うとそうではありません。 地代の増額請求が認められるかどうかは、以下の要素を考慮して判断されます。

      1. 土地に対する租税その他の公課の増減
        例)固定資産税や都市計画税の税率が急激に増加(減少)した場合
      2. 土地価格の上昇・低下その他の経済事情の変動
        例)再開発などによって地価が急騰した場合
        例)借地契約の締結から時間が経ち、その間に不動産相場が大きく変動した場合等
      3. 近隣類似の土地の地代の比較による不相応
        例)周辺地域の土地に比べて、地代が安すぎる場合

      その他、契約が成立するまでに至った経緯なども考慮されることもあります。

      ただし、一定期間、地代を増額しない旨の特約(不増額特約)がないことが前提です。土地の賃貸借契約を締結して時点で、一定期間、増額しないという合意があると、その期間内は増額請求できないので注意してください。

      地代増額の具体的な方法と手順について

      それでは、地代の増額を行う上で具体的な方法と手順について解説していきます。

      1)前提

      まず地代の増額交渉を進めるにあたり、土地の賃貸借契約(借地契約)を確認しましょう。特に「一定期間地代を増額しない」旨の特約がないか注意してください。前項にある通り、この特約があると、一定期間、地代の増額交渉はできなくなります。

      2)任意の交渉

      まずは当事者同士で、任意の地代増額交渉を行います。この時点で双方が増額する地代について合意すれば問題ありません。

      任意の交渉では、増額請求を求める客観的な資料をベースに、「現在の地代が不当に低くなっているので、増額してほしい」と、相手に説得・同意を求めるようにしましょう。先方へ提示する資料は不動産鑑定士が作成する鑑定書が有効です。

      増額請求する形式は、特に決まりはなく「来月分から地代から○○円に増額する」という一方的な言い切りで構いません(相手が納得するかどうかは別です)。また、増額請求の伝達方法ですが、口頭でも構いませんが、後々の証拠として内容証明郵便をおすすめします。

      増額請求は増額請求した時点から始まる〜まずは請求することが大事!

      増額請求は、明示的に増額を請求した時点で法律的には増額請求の効力が発生します。つまり、増額請求の法理的な効果は、地代が不相当になった時点からではなく、裁判の判決の時点でもなく、増額請求した時点から発生する点がポイントです。

      その意味でも、地代の増額を希望するなら、まずは相手の意向は関係なく増額請求すること、請求しないと増額請求は何もはじまらない点をおさえておきましょう。

      3)調停

      任意交渉がまとまらない場合は、裁判所で地代増額の調停の申し立てを行います。地代の増額請求は、裁判(訴訟)に至る前に原則として調停を経ることが必要となります。(この手続を「調停前置主義」と言います)

      具体的には、調停は裁判官である調停主任1名、不動産鑑定士、弁護士など、専門知識を有する民事調停委員2名以上で組織されます。そして、地代に関する鑑定書をもとに「相当」な地代について話し合いを行うのが基本です。

      当事者からの言い分を聞き、双方が提出する資料を参考にして、最終的に調停委員会の案として「○○円の金額が妥当だと思うが、どうか」と打診(提示)します。実際のところ訴訟までいくと、費用の負担も大きくなることから、この時点で双方が希望する金額に大きな開きがなければ、調停の段階で話がまとまる場合も多くあります。

      4)裁判(訴訟)

      調停の段階で双方が同意しなければ、調停は成立しません。その場合、正式な裁判(訴訟)を起こすことになります。

      原告と被告、それぞれ依頼した鑑定評価書がある場合、証拠資料として裁判に提出しますが、裁判所もどちらの鑑定書が正しいのか判断できない場合が少なくありません。

      その場合、裁判所が指定する不動産鑑定士の鑑定評価書を参考に賃料を決定します。鑑定人は中立的な立場で鑑定を行うので、裁判所は算定方法に著しく不合理といえるような事情がない限り、鑑定人による鑑定結果が正当であるとして、その金額で認められます(もちろん例外もあります)。一般的には双方主張額の中間で鑑定評価額が決まる傾向にあります。

      まとめ

      今回は地代の増額を希望する地主さん向けに、地代の計算方法、地代を増額請求する場合の全体の流れについて解説しました。

      地代の相場を決めるには、地代の計算には複数の合理的な方法があり、どのような地代の計算方法を採用するかは、対象土地の個別具体的な事情を総合的に考慮して決まります。

      専門家ではない限り、地代増額請求で調停や訴訟で争う場合、弁護士や不動産鑑定など、専門家の協力が不可欠と言えます。訴訟で争う場合、最終的に裁判所が適正な地代をいくらとするか、その見通しを得ることは難しいのが現実です。

      地代の増額手続きについて判断に迷う場合、まずは専門家に相談することをおすすめします。過去の事例や、どのような裁判の結論に至るか見通しが付きやすくなります。

      増額請求の見通しがつけば、地代の増額請求訴訟を提起するか、和解に応じるべきかの判断もできるようになり、無駄な費用、時間、労力をおさえることができるでしょう。

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