相続経験者の13.2%がトラブルを経験|アンケート調査から見る相続の現実
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相続で揉めるのは、一部のお金持ちだけ—本当にそうでしょうか?
実際には、財産の多寡にかかわらず、相続をきっかけに親族間の関係がこじれてしまうケースは少なくありません。トラブルの背景には、「準備不足」「意思の伝達ミス」「専門家への相談の遅れ」など、ちょっとした見落としがあることも。
そこで私たちニーズ・プラスでは、株式会社NEXERと共同で、「家や不動産の相続を経験した全国の男女530人」に対して、相続時のトラブルに関するアンケート調査を実施しました。
本記事ではその結果をもとに、実際の声や対処法、トラブルを防ぐためのヒントを専門的な視点からわかりやすくお伝えします。
◆参照元記事:
こちらの記事ではアンケート調査の詳細をご確認いただけます。ぜひあわせてご覧ください。
>>>【相続での揉めごと】家や不動産の相続経験がある13.2%の方が「相続の際にトラブルになってしまったことがある」(PRTIMES)
目次
相続前に不安を感じた人は45.3%
今回実施したアンケート調査では、相続を経験した人のうち45.3%が「相続前に不安を感じていた」と回答しました。
具体的な理由として、「手続きが難しそう」「親族間で揉めそう」「自分の取り分があるのか不安」など、感情面と実務面の両方が挙げられました。
相続は“準備前から始まっている”
相続に関する不安の多くは、「情報不足」と「準備不足」から生まれます。相続手続きには、戸籍の収集、財産の洗い出し、相続人の調整など、専門的かつ煩雑なステップが多数。そのため、漠然と「面倒そう」「何から始めればいいか分からない」と感じる方が多いのが実情です。
【注意】トラブルは“相続発生前”から始まっている!
税理士や相続コンサルタントの現場では、次のような“予兆”がある家庭は特に注意が必要とされています。
- 遺言書の有無が不明確(もしくは存在しない)
- 家族間で「誰が何を相続するか」の話し合いが一切されていない
- 親が高齢かつ判断能力が低下しつつある
- 二次相続(母→子)への意識が希薄
こうした場合、相続発生後に“揉める火種”が爆発するリスクが非常に高くなります。ぜひご自身の家族間はどうか、チェックしてみてください。
さらに…
準備の第一歩は「相続の全体像」を知ること
- 「誰が相続人か?」
- 「何が遺されるのか?」
- 「争いのタネはどこにあるか?」
まずはこの3点を“棚卸し”するだけでも、不安は大きく軽減されます。特に親と子で一緒に話す機会を持つことは、将来のトラブル予防に直結します。
13.2%が相続時にトラブルを経験
続いてアンケートでは、相続の際にトラブルになってしまったことはあるか聞いてみました。結果は、相続を実際に経験した方のうち、13.2%が「トラブルを経験した」と回答しています。
相続トラブルの3大要因とは?
どうして相続はトラブルが発生しがちなのでしょうか。相続トラブルの典型的な原因として以下がよく挙げられます。
1.遺言書の不在または内容不備
そもそも遺言書がなく、法定相続となって揉めるパターンが多数。
2.財産の「不均衡な分け方」
特定の相続人に偏った分配がされており、納得できない相手が不満を表す。
3.相続人間の“感情的な対立”
生前の介護の貢献度、兄弟姉妹の関係性、配偶者(義理の兄弟姉妹)との軋轢など、“お金の問題”ではなく“感情の問題”が背景にあることが多い。
これら3つの要因は、どれも事前の備えや対話で予防できる可能性が高いものです。だからこそ、「まだ大丈夫」と思っているうちに、早めの対策を講じておくことが大切なのです。
【専門家の視点】「家族なら揉めない」は幻想です
よくある誤解が、「うちは家族仲がいいから大丈夫」という思い込み。しかし現実は、相続をきっかけに「関係が壊れる」ケースが少なくありません。
例えば…
二男が長年親の介護をしていたが、遺言書がなく長男と折半に。納得できず絶縁。
「お兄ちゃんは生前に車を買ってもらってた」など、古い記憶の“精算”が始まることも。
だからこそ…
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■ポイント:
こうした“想定外のトラブル”を防ぐには、事前の準備と明確な意志表示(=遺言書など)が極めて重要です。
相続は「争族」になってからでは遅い
遺産は金額の多寡にかかわらず、揉めるケースはたくさんあります。特に不動産が絡むと、「売る・住む・貸す」で意見が分かれ、泥沼化する例も。トラブルの芽は、“話し合われないまま”放置されているケースに多いのです。
内容としては、
- 「親族間のもめごと」
- 「遺産の分け方で納得できなかった」
- 「遺言書がなかった(あるいは曖昧だった)」
といった声が多くあげられています。
だからこそ、相続が発生する前に、きちんと「話す・書く・備える」ことが何よりのトラブル予防になります。“うちは大丈夫”ではなく、“いまだからできる準備”を、ぜひ意識してみてください。
トラブル解決には専門家の意見が有効
今回のアンケート調査では、相続時にトラブルが発生した人のうち、54.3%が「専門家の意見を参考にした」と回答しています。
トラブルの種類や状況に応じて、弁護士・税理士・司法書士など、それぞれの専門分野に強いプロに相談していたことがうかがえます。
また、実際の解決手段についても以下のような声がありました。
- 「話し合いで解決した」(20代・女性)
- 「弁護士に入ってもらった」(30代・女性)
- 「相続のやり方を相談した」(40代・男性)
- 「家族で話し合って、相続しないことにした」(50代・女性)
- 「ネットで調べて協議書を作成した」(50代・男性)
このように、「当事者間での話し合い」や「協議書の作成」といった自主的な対応に加え、専門家への相談を通じて、冷静かつ円満に解決へ導いたケースも多く見られました。
専門家は“法律”と“冷静な視点”を持っている
相続トラブルの渦中では、当事者だけでは冷静な判断ができないことも珍しくありません。そこで、法律や制度に基づいて中立な立場から助言してくれる専門家の存在が非常に頼りになります。
専門家に相談した“だけで”トラブルが沈静化することも
相続をめぐるトラブルは、感情が先行してしまいがち。そんなとき、専門家という“第三者”の存在が、状況を一気に落ち着かせることも少なくありません。
実際の現場では、専門家の一言で空気が変わった―そんな事例も多くあります。
- 「自分たちだけで決めるのは不安…」という相続人たちが、第三者の意見を聞くことで冷静になれる
- 「兄が全部決めた」と不満を持っていた弟が、弁護士の仲介で納得できた
- 相続税の支払いに不安を抱えていた家族が、税理士の試算で安心して分割に合意できた
こうしたケースは実務上よくあります。専門家は“争いの火種”を冷静に整理し、“落としどころ”を探る存在でもあるのです。
相続のプロは「調停役」であり「通訳」でもある
感情的になりがちな家族同士の話し合いも、専門家が間に入るだけで、驚くほどスムーズに進むことがあります。「難しい相続の仕組みを、誰にでもわかる言葉で丁寧に説明してくれる」―そんな頼れる存在だからこそ、“早めの相談”が、後悔しない相続への第一歩になります。
調査結果から見えてきた“相続対策”の必要性
相続を経験した方の中には、「事前に準備していればよかった」「専門家にもっと早く相談すべきだった」と感じた方も少なくありません。
今回の調査では、相続時にトラブルを経験したという回答も一定数あり、その背景からは“備え”の重要性が自然と浮かび上がってきます。
ここでは、そうした声をもとに、相続トラブルを避けるために今からできる3つの備えをご紹介します。
今からできる3つの“備え”
1.遺言書の作成
家族が迷わず、もめずに済むように、意志を明確にしておくことが何よりの安心材料に。
2.財産の棚卸しと情報整理
通帳や不動産、保険、ローンなど、家族がすぐに把握できるよう一覧にまとめておく。
3.専門家への相談と家族への共有
税理士・司法書士などのプロへの相談を通じて、正確な知識と対策を得ることができる。家族と共有することも忘れずに。
これらの備えは、どれも大げさな準備ではなく、日々の意識とちょっとした行動から始められるものばかりです。まずは「家族と話してみる」「財産リストを簡単に書き出す」といった小さな一歩が、大きな安心につながります。
まとめ|相続トラブルを未然に防ぐために
相続は“誰にでも訪れるもの”である一方、事前準備を怠るとトラブルに発展するリスクも伴います。本記事で紹介した調査結果からも、不安や揉め事の実態が明らかになりました。
■本記事のまとめ:
- 今回の調査結果からも、相続前に不安を感じていた人は多い(45.3%)
- 実際に1割以上がトラブルを経験している(13.2%)
- 多くの人が「遺言書作成」や「専門家相談」の必要性を感じている(54.3%)
相続は、財産の分け方だけでなく、家族の未来に関わる大切な節目です。だからこそ、面倒に思える準備も、家族への思いやりの一つとして取り組んでいきましょう。
「まだ先の話」ではなく、「今だからこそできること」があります。誰かが動くことで、きっと将来、家族の誰かが救われる——そんな想いを胸に、一歩ずつ備えを始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問(FAQ)
相続の準備やトラブル回避について考える中で、「これってどうなんだろう?」「実際のところはどうなの?」と疑問に思うことは多いものです。
ここでは、実際によく聞かれる質問や悩みに対して、専門的な視点からわかりやすくお答えします。
Q1. 遺言書がなくても法定相続で分ければ問題ないのでは?
【回答】
表面的にはそう見えますが、“公平=納得”とは限りません。たとえば、長男が親の介護を一手に担っていたケースで「きっちり法定相続」となると、不満が噴出することも。遺言書は“感情のバランス”を取る役割としても大切です。
Q2. 相続でもめるのは、財産が多い家庭だけでは?
【回答】
いいえ。むしろトラブルは「普通の家庭」でこそ起こりやすい」のが実情です。数百万円〜1,000万円台の相続でも「不動産が売れない」「生前贈与の不満」などで深刻化することも。
Q3. 遺言書はいつ作るのが理想ですか?
【回答】
判断能力が低下してからでは作成自体が難しくなるため、60代・70代前半など“元気なうち”の作成が理想的。見直しや書き換えも可能なので、まずは一度作ってみるのが大切です。
Q4. 家族には、遺言書の存在を伝えるべき?
【回答】
はい。遺言書は「書いたこと」より「発見されること」が重要です。見つからなければ無効同然ですし、内容を巡って「知らなかった」「納得できない」と揉めるリスクも。付言(ふげん)事項で意図を説明し、口頭で家族に伝えることも非常に効果的です。
Q5. 専門家に相談するタイミングは?
【回答】
「そろそろ親のことを考えたい」と思ったそのときがベストタイミング。
例えば、
- 親が高齢
- 不動産が絡む
- 兄弟姉妹が多い
- 事業承継がある
こうしたケースでは、早めの相談がトラブル予防と節税につながります。
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