76歳以上の15.2%が遺言書を準備中|アンケート調査から見る“終活”のリアル
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遺言書の準備、気になっているけど手をつけられていない…そんな方も多いのではないでしょうか?
終活の一環として遺言書を整えておくことは、残された家族の“争続”リスクを減らす大切な手段です。とはいえ、「何を書けばいいかわからない」「自分に関係あるのかピンとこない」という声も多く聞かれます。
そこで今回、私たちニーズ・プラスでは、協力会社である株式会社ネクサーと共同で、全国の男女1,250名を対象に「遺言書の準備」に関するアンケートを実施。
本コラムでは、その調査結果をもとに、遺言書にまつわる“リアルな声”と、専門家の視点からの解説をお届けします。
◆参照元記事:
こちらの記事ではアンケート調査の詳細をご確認いただけます。ぜひあわせてご覧ください。
>>>【遺言書準備している?】76歳以上の15.2%が、遺言書の準備を「している」その内容とは?(PRTIMES)
目次
遺言書を「準備している」と答えた人の割合は?
今回の調査では、76歳以上の回答者のうち 15.2% が「遺言書を準備している」と回答しました。他の年代と比べても高い数値となっており、高齢層では“終活”が現実的なものとして意識されていることがうかがえます。
遺言書作成が「76歳以上」に多い理由とは?
相続や財産の分配といった問題は、人生の最終段階において直面する非常に現実的なテーマです。特に76歳以上になると、「自分が亡くなった後」に備える意識が高まり、遺言書の準備に取り組む方が増える傾向にあります。
また、加齢とともに進行する「認知機能の低下」も無関係ではありません。なぜなら、遺言書を作成するには“遺言能力”(判断能力)が必要とされており、これが不十分な状態で作成された遺言書は、後に無効とされる可能性があるからです。
【専門家の視点】遺言能力と「無効トラブル」のリスク
税理士や弁護士などの実務家からは、次のような懸念点がしばしば挙げられます。
- 認知症が進行していたため、作成時の意思能力を問われたケース
- 相続人間でトラブルとなり、「無効」を主張される裁判に発展
- 医師の診断書や日記など、判断能力の証拠を残しておくことの重要性
実際、家庭裁判所において「遺言能力の有無」が争点となる遺産分割事件は少なくありません。そのため、判断能力がしっかりしている段階で、遺言書は早めに作成しておくことが非常に重要です。
【ちょっと一言】遺言書は家族への“安心”を届ける第一歩
遺言書の作成は、財産分配のためだけではありません。それは「残される家族に安心を届けるための、最初のプレゼント」とも言えます。実務においても、明確な遺言があることで“相続トラブル”が大幅に減ることが報告されています。
遺言書の内容にはどんなことが書かれている?
今回の調査では、実際に遺言書を準備している方に対して「どのような内容を書いたか?」を質問。寄せられた回答からは、以下のような多様な内容が記されていることがわかりました。
- 「どちらかが先に亡くなった場合、遺産はすべて配偶者へ」
- 「財産は親と姉に遺すように記載」
- 「延命治療はいらない。葬儀も必要ないと書いている」
つまり、単なる“お金の分配”にとどまらず、「生き方」や「想い」も含めた幅広いテーマが記載されていることが特徴です。
【補足解説】遺言書に書けること/書けないこと
実務的には、遺言書には「法的効力のある内容」と「希望としての付記」が混在します。
付言事項には法的拘束力はありませんが、家族の心情に強く影響し「争族」防止に役立つケースが多くあります。たとえば「あえて長男に多く遺した理由」などを丁寧に書くことで、後々のトラブルを防ぐ“クッション”になります。
延命治療・葬儀の希望などはエンディングノートと併用を
延命治療や葬儀のスタイルなど、「医療・死後の希望」に関する内容は、遺言書に書くのではなく『エンディングノート』にまとめておくのが実務的にはおすすめです。
遺言書:
死亡後に開示されるため、生前の医療対応には間に合わない可能性がある
エンディングノート:
生前に家族が読むことができ、本人の想いを共有しやすい
そのため、両者をうまく併用することが、家族にとって最も安心な方法とされています。
遺言書の作成時に困ったこととは?
さらに遺言書を作成する上で困ったことはあるかを聞いてみました。
遺言書を作成したことがある人のうち、28.6%が「困ったことがある」と回答しました。
主な理由は以下の通りです。
- 書き方がわからなかった
- 法律がきちんとわかっていなかった
- 本当に効力のある遺言書になっているか不安だった
【豆知識】自筆証書 vs 公正証書の違い
遺言書にはいくつかの形式がありますが、特に多くの方が選択するのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。それぞれにメリット・デメリットがあり、目的や状況に応じて適切な形式を選ぶことが、トラブル回避の第一歩となります。
ここでは、両者の違いや選ぶ際のポイントをわかりやすく解説します。
「書き方が分からない」という悩みの多くは、形式不備のリスクがある自筆証書遺言に集中しています。特に“自筆”でのミス(署名・日付・訂正の仕方など)は無効リスクが高く、専門家によるサポートが望ましいでしょう。
よくある“失敗遺言書”の事例
一見しっかり書いたつもりでも、実際には法的に不備があったり、かえってトラブルの火種になる遺言書も少なくありません。ここでは、実務の現場でよく見られる“失敗例”を取り上げながら、避けるべき落とし穴を解説します。
- 法定相続人の誰かを完全に省いてしまっていた
- 財産の分け方があいまいで、解釈を巡って争いに
- 遺留分に配慮せず、トラブル発生
特に“遺留分”を侵害する内容(=配偶者や子どもに一切渡さない等)は、後に「遺留分侵害額請求」という訴訟に発展するケースも少なくありません。
将来的に準備したいと思っている人の割合とその理由
「遺言書を準備していない」と回答した方に、将来的に遺言書を準備しようと思うか聞いてみました。その結果、「遺言書を準備していない」人のうち、44.9%が「将来的に準備したい」と回答しています。
主な理由としては、
- 家族が自分の死後に整理しやすくなる
- 争いを避けたい
- 迷惑をかけたくない
などの声が多くありました。
「法定相続」だけでは家族は納得しない!?
多くの人が「うちは財産が少ないから大丈夫」と思いがちですが、相続トラブルは“金額の大小”ではなく“感情のズレ”から起きます。
例えば…
- 親から「全部お兄ちゃんに」と口頭で言われていたのに、遺言書がなく法定相続へ
- 結婚・離婚・再婚などで家族関係が複雑化
- 生前贈与を受けた子と、何ももらっていない子で“温度差”が…
普段から家族仲がよく「うちに限っては大丈夫」と思う方でも、些細なことが原因で相続トラブルは発生するものです。勘定(財産)問題は感情問題と表裏一体。くれぐれも注意が必要です。
◆ポイント
遺言書がない場合、すべて「法定相続分」で分割するしかなくなり、結果的に揉めることも多々あります。遺言書は早めに準備しておきましょう。
家族に遺言書を準備しておいてほしいと望む声も多数
家族には遺言書を準備しておいて欲しいと思うか聞いてみました。結果は「家族には遺言書を準備しておいてほしい」と回答した人は46.2%でした。
遺言書で書いておいてほしと希望する内容は、
- 通帳や保険証の場所、暗証番号
- 葬儀の希望、遺影用の写真
- 相続が公平になるように配慮された内容
などの声が挙がっていました。
情報整理と事前共有の重要性
現場の専門家がよく直面するのが、「親の財産がどこにあるか全く分からない…」という家族の困惑。遺言書に加えて、次のような“生前の情報整理”を行っておくと家族は助かります。
- 財産目録(不動産、預貯金、証券など)
- 契約中の保険やローンの一覧
- SNSアカウント・サブスクなどのデジタル遺産
- 葬儀社やお墓に関する希望
【遺言書のコツ】死後事務委任契約の活用も選択肢
「遺言書ではカバーしきれない死後の事務手続き(火葬、役所手続き、解約など)」は、“死後事務委任契約”でカバー可能。司法書士や行政書士が代行するケースも増えています。
まとめ|“今からできる終活”としての遺言書準備
遺言書の準備は、“まだ先の話”と思いがちですが、判断能力があるうちに準備しておくことが最も重要です。
調査結果からもわかるように、遺言書には家族への想いや、死後の配慮が込められており、法的効力と感情的な安心の両面をカバーする役割を果たします。
「相続は“お金”の問題じゃない。“感情”の問題です」
きちんと想いを伝える遺言書は、財産よりも大切な“家族の関係”を守るツールになります。
「書くことが多すぎる」「どうやって書いたらいいか分からない」と感じる方は、税理士や弁護士、司法書士といった専門家への相談も検討しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 遺言書はいつ作るのがベストですか?
【回答】
基本は「元気なうちに」ですが、判断能力がしっかりしている間であれば何歳でも構いません。むしろ体調が悪くなってからでは遅くなるリスクに注意しましょう。
Q. 公正証書遺言にすべき人は誰ですか?
【回答】
財産が多い人/相続人間で揉めそうな人/遺留分侵害リスクがある人などは、公正証書がおすすめです。確実性・安全性が違います。
Q. 遺言書があっても揉めることはありますか?
【回答】
あります。主な理由として、
- 遺言の内容が曖昧
- 遺留分が考慮されていない
- 付言(ふげん:つけ足して言うこと)がなく意図が伝わらない
などが原因です。専門家によるチェックで“伝わる遺言”に仕上げるのが重要です。
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