【弁護士監修】使用貸借契約書「雛形」が完成!使い方のポイントを解説します

使用貸借契約の「雛形」が完成しました
所有する土地や建物を「無償」で貸し出す使用貸借。一般的に親族・友人間で土地や建物を貸し借りする際に使用貸借するのが一般的です。

また、使用貸借は
・無償の貸し借りであること
・親族、知人・友人間でのやり取りが多いこと
以上の理由から、書面で契約することは少なく、その多くは口頭(口約束)によるものがほとんどです。

口頭での契約は、その場、その時がいいかもしれません。しかし、時間が経過し、土地・建物が相続される時、問題が起こりやすくなります。口約束した当初の経緯を知らず、当事者間の面識がなくなると、後々「言った・言わない」のトラブルに発生しやすいのです。

こうした使用貸借の契約でおこりがちなトラブルを解消するため、当社ニーズ・プラスでは、これまでご要望の多かった使用貸借契約書の【雛形】をご用意しました。

使用貸借の貸し手は「タダで貸しているのだから、何時でも返してもらえる」と考えているかもしれません。しかし民法では、使用貸借の終了時期が決められており、何時でも返してもらえるわけではありません。

本コラムでは、使用貸借契約書の【雛形】をご利用いただく際に、おさえておくべきポイントを解説します。ぜひ最後までご覧ください。

要注意!よくある使用貸借のトラブル

要注意!よくある使用貸借のトラブル
さきほどお話した通り、使用貸借の契約は当人同士の口約束だけというケースがほとんどです。口約束だけだと、どんな問題が起こるのでしょうか?まずは、典型的な使用貸借を巡るトラブルの事例を見てみましょう。

◆トラブル事例
父がある親戚の人に特に返還時期を定めることなく、無償で土地を貸して、建物を建てることを承諾しておりました。

その後、その土地を私が相続して私の名義になったのですが、先方は土地を返すつもりはないようです。一体いつになったら土地を返してくれと言えるのでしょうか。

この事例のように、契約当時は当事者同士の口約束で使用貸借し、無償で貸したはよいものの、いつまで経っても返還されないトラブルが多くあります。

確かに親族・友人同士の「無償」の貸し借りですから、わざわざ書面で契約書を結ぶことに違和感を覚えるかもしれません。

しかし実際は、親族・友人同士だからこそ、余計なトラブルによる禍根を残さぬよう、契約書として書面で残すことが大事だといえます。

では、使用貸借契約書を書面で取り交わす場合、どんな点に注意すればいいのでしょうか。以下、順を追って解説していきます。

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注意点01:使用貸借の目的について

通常、使用貸借契約とは借主さんの使用・収益する目的があり、その目的が達成するまでの期間、無料で借りることができるものです。(目的を設定しない使用貸借もあります)

民法では、使用貸借について以下のように定めています。

◆関連法律:民法593条-使用貸借
使用貸借は、貸主からの借用物を借主が無償で使用及び収益し、借主が使用収益した後に貸主に借用物を返還することを約束することにより、使用貸借の効力が発生する。

まず、使用貸借契約を書面で交わす際は、その前提となる「使用貸借の目的」を明記しておきましょう。

注意点02:使用貸借の期間について

使用貸借契約では、土地や建物の借用物の返還時期や使用貸借の終了を巡り、貸主さんと借主さんとの間でしばしば揉めることがあります。

例えば、以下のようなトラブルです。

建物・土地を使用貸借している借主さんには建物・土地を使用する目的があるが、その使用目的が達していない場合、貸主さんは借主に対して建物の返還請求ができないのか?

民法では、使用貸借の終了について以下のように定めています。

◆関連法律:民法第597条-期間満了等による使用貸借の終了

  1. 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
  2. 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。

  3. 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。

以上、使用貸借契約を交わす上で、期間を明確に設定しておくことはとても重要となりますので、書面で明記しておきましょう。

注意点03:譲渡・転貸の禁止について

使用貸借契約において、借主さんはあくまでも「貸主さんから土地・建物を借りている」状態です。

つまり、借主さんは、他人(貸主)の所有物を借りていることを自覚し、かつ注意しながら使用し、定められた時期に借用物を貸主に返還する義務を負っているのです。

民法では、こうした借主による使用および収益について、以下のように規定しています。

◆関連法律:民法第594条-借主による使用及び収益

  1. 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。
  2. 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物の使用又は収益をさせることができない。
  3. 借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる。

以上、使用貸借契約書では「譲渡・転貸の禁止」について明示しておくとよいでしょう。

注意点04:費用負担について

使用貸借契約において、特に建物にかかわる費用負担については、よくトラブルに発展しますので注意が必要です。例えば、不動産の固定資産税、都市計画税は誰が支払うのかなどです。

民法では、費用負担について以下のように定めています。

◆関連法律:民法第595条-借用物の費用の負担

  1. 借主は借用物の通常の必要費を負担する
  2. 通常の必要費以外の費用については、その価格の増加が現存する限り、借主は貸主に対して償還を請求することができる

過去の判例によれば、不動産の使用貸借の場合、特別の事情がない限り、その不動産の固定資産税や都市計画税は通常の必要費にあたると解されています。

したがって、土地の借主がその土地の固定資産税や都市計画税相当額を貸主に支払っている場合は、それは使用貸借にあたります。

以上、使用貸借契約を書面で交わす際は、費用負担についても明記しておきましょう。

注意点05:契約解除の解除について

使用貸借契約を書面で交わす際に、どのような状況下で解除できるかも明確にしておきましょう。

今回ご用意した【雛形】では、交わす契約内容に違反した場合は解除できることを明記してあります。

なお、民法では使用貸借の解約について以下のように規定されています。

◆関連法律:民法第598条-使用貸借の解除

  1. 貸主は、前条(597条)第2項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
  2. 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
  3. 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

※本雛形では、期間および理由の如何に問わず、貸主は1ヶ月前の事前通知により解約できるように設定しています。

注意点06:原状回復について

使用貸借契約の終了後は、借主さんが貸主さんに土地・建物を「原状回復」して返還するよう書面で明記しておきましょう。

使用貸借した土地・建物の原状回復については、民法で以下のように定められています。

◆関連法律:民法第599条-借主による収去等

  1. 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りではない。
  2. 借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができる。
  3. 借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではありません。

注意点07:損害金について

最後に、使用貸借契約にあたって損害が発生した場合についても、書面で取り交わしておきましょう。

※本雛形では契約終了後、明渡しに遅延が発生した際の損害金について契約書で明記しています。

◆関連法律:民法第600条-損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限

  1. 契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
  2. 前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

使用貸借契約は書面で残すことが重要!

使用貸借契約は書面でおこなう
本コラムでは使用貸借契約を書面で交わす際の注意点をまとめて解説しました。

使用貸借のトラブルの多くは、書面で契約を交わすことで回避できることがほとんどです。
たとえ、契約相手が親族、友人・知人であっても、書面で契約を取り交わすことが重要です。

この度、当社ニーズ・プラスでは使用貸借契約書の【雛形】を作成しました。ぜひご活用ください。

◆重要:使用貸借契約に、ぜひ【雛形】をご利用ください
・2023年度最新版【弁護士監修】土地使用貸借契約書の雛形はこちら
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2023年度最新版【弁護士監修】土地使用貸借契約書の雛形

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2023年度最新版【弁護士監修】土地使用貸借契約書の雛形です。

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