相続や契約の落とし穴も?「大家さんとのトラブル経験」に関する調査結果
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賃貸住宅には「修繕不要」「気軽な住み替え」など多くのメリットがありますが、その一方で、大家さんとのトラブルに頭を悩ませる入居者も少なくありません。
そこで今回は、私たちニーズ・プラスでは、株式会社NEXERと共同で「大家さんとのトラブル」に関するアンケート調査を実施しました。
本記事ではその結果を紹介するとともに、専門的な視点から「契約」や「相続」「管理のあり方」など、トラブルを防ぐためのヒントも解説します。ぜひ最後までご覧ください。
◆参照元記事:
こちらの記事ではアンケート調査の詳細をご確認いただけます。ぜひあわせてご覧ください。
>>>【賃貸に住んでいる全国の男女に調査】64.9%が「大家さんとの面識なし」一方で大家さんとトラブル経験者も(PRTIMES)
目次
アンケート結果から見えてくる「見えない関係」とトラブルの実態
今回の調査は、全国の賃貸住宅に住む336名の男女を対象に実施されました。
その結果、64.9%が「大家さんとの面識がない」と回答しており、実に6割以上が“顔の見えない関係”で生活していることが明らかになりました。
また、6.3%の人が「実際にトラブルを経験した」と答えており、割合としては少数派に見えるかもしれませんが、全国規模で考えると決して無視できない数字です。
トラブルの具体的な内容としては、以下のようなケースが多く挙げられました。
- 騒音
- 家賃の未払い・遅延
- 設備不具合への対応遅れ
- 無断入室(合鍵使用)
- 水漏れ・トイレ詰まり
- 無断駐車
いずれも生活に直結する「小さな困りごと」のようでいて、対応次第では大きな不信感や感情的な対立に発展するリスクをはらんでいます。
特に注目すべきは、「無断入室」や「設備の放置」といった項目。これらは単なる“行き違い”ではなく、プライバシーの侵害や契約上の義務違反にもつながる重大な問題です。
そしてこれらの背景には、そもそも貸主と借主の関係性が希薄であるという構造的な課題が潜んでいるのかもしれません。日常的な接点がないからこそ、トラブルの芽が見逃され、対応が後手に回る、そんな構図が浮かび上がってきます。
「大家トラブル」の背景とリスク
賃貸トラブルは、単なる「マナー」の問題ではなく、契約書の内容や法的責任、相続の影響などが関係してくるケースも多々あります。ここでは代表的なトラブルを取り上げ、専門的な視点で掘り下げていきます。
その1.騒音トラブル:契約条項と管理責任の分岐点
住民同士の騒音問題は、オーナーの直接責任ではないように思われがちですが、管理不十分と判断されると貸主にも一定の責任が及ぶことがあります。
契約書に「近隣住民とのトラブルが発生した際は通知・協議義務がある」などの条項があれば、貸主の対応責任が明文化できます。また、防音施工費などを「修繕費」として計上できる可能性もあるでしょう。
その2.設備トラブル:修繕義務と税務処理の二重の落とし穴
水漏れやエアコンの故障など、入居者にとっては生活に直結する問題ですが、オーナーの対応が遅れると大きな不信につながります。借地借家法では、通常損耗による設備故障は貸主側の修繕義務とされます。この修繕にかかった費用は、原則「修繕費」として経費計上が可能です。ただしリフォーム的な内容になると資本的支出とみなされ減価償却扱いになる点は注意してください。
その3.無断入室:プライバシー侵害と法的責任
「合鍵を使って勝手に部屋に入られた」といった声は、借主にとって非常に大きな精神的ストレスになります。これは民法第709条の不法行為、あるいは借地借家法第33条の使用収益権侵害として、損害賠償請求の対象にもなり得ます。相続でオーナーが変更された直後などは「所有者と実際の管理者が異なる」ケースがあり、管理契約が曖昧だとこのような問題が表面化します。
その4.相続が絡むトラブル:コミュニケーション不在と法的継承
面識のない貸主が6割以上という結果は、実は相続後に賃貸物件を継承した「新しい大家さん」の存在とも関係しているかもしれません。
相続人が複数いる場合、共有名義での管理は非常に複雑になります。賃貸管理の判断権限や修繕費の負担割合でもめるケースも。
トラブルを未然に防ぐためにできること
大家さんと入居者の間でトラブルが起こると、信頼関係の崩壊だけでなく、法的トラブルや資産価値の低下にもつながりかねません。事前の備えや日頃のコミュニケーションで防げるケースも多いため、以下のポイントを意識しておくことが大切です。
1.契約書に“曖昧さ”を残さない
多くのトラブルは、契約内容の不備や曖昧さに起因しています。
- 合鍵の管理ルール(緊急時以外の使用禁止)
- 騒音・違法駐車・設備使用に関する禁止事項の明記
- 修繕責任の所在や費用負担の明記(貸主/借主)
特に古い賃貸契約では、こうした条項が抜けていることも多いため、専門家のサポートによる契約書の見直しをおすすめします。
2.相続や名義変更後の「引き継ぎ」に注意
相続によって物件を継承した場合、前オーナー時代の契約内容や口約束がトラブルの種になることもあります。
- 借地契約・使用貸借契約の引き継ぎ条件
- 家賃の支払先や名義変更の手続き
- 相続人が複数いる場合の意思決定の一本化
放置すると「誰が責任者かわからない」「修繕の許可がもらえない」といった借主側の不安や不満が積み重なり、結果的にトラブルに発展します。
3.オーナーと借主の間に「管理者」を置く選択
直接的なやりとりが原因で摩擦が生じる場合、信頼できる不動産管理会社や専門家に委託するのも有効です。
- 中立的立場での苦情受付
- 修繕対応の迅速化
- 管理記録の整備
面識がないからこそ、第三者の存在がクッションになります。
まとめ|関係を“契約と対話”で支えるために
今回の調査では、大家さんと面識のない入居者が64.9%、そして6.3%の人が実際にトラブルを経験しているという結果が出ました。
トラブルの発生そのものは避けられない部分もありますが、その背景には「契約の甘さ」や「関係性の希薄さ」が潜んでいるケースも多く見られます。
だからこそ、賃貸住宅に住む私たち自身も──
- 契約内容や相続の基本を知っておく
- トラブル事例から学び、リスクを想定する
- 貸主や管理会社との信頼関係を築くため、日頃から対話や書面での確認を大切にする
こうした意識を持つことで、“貸す側・借りる側”の双方が気持ちよく暮らせる環境づくりに、入居者としても主体的に関わることができるのではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)|契約・トラブル・相続…よくある疑問に答えます
大家さんとのやり取りや、相続後の賃貸運用に関しては、 実際に現場で「これってどうなの?」と疑問を感じる場面が少なくありません。
ここでは、賃貸トラブルや契約に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。現場で活かせる具体的な知識として、ぜひ参考にしてください。
Q1. 設備の故障は借主が直すべきですか?
【回答】
通常の経年劣化や自然故障については、原則として貸主側の修繕義務です。ただし、借主の故意・過失による破損であれば借主負担となるケースもあります。
Q2. 大家が勝手に部屋に入るのは違法ですか?
【回答】
合鍵を使った無断入室は違法行為にあたる可能性があります。正当な理由がなく入室した場合、プライバシー侵害や損害賠償の対象になることも。
Q3. 相続で大家が変わったら、契約はどうなりますか?
【回答】
原則として旧貸主の権利義務を新しい貸主が引き継ぎます。ただし、共有名義の場合は契約・修繕・更新などの意思決定が煩雑になるため、早期に管理者を決めておくことが大切です。
Q4. トラブルがあった場合、どこに相談すればいい?
【回答】
まずは契約書を確認のうえ、管理会社または専門の不動産コンサルタントや弁護士に相談することをおすすめします。感情的なやりとりを避け、法的な視点での対処が望まれます。
なお、底地・借地・使用貸借・相続を専門とする「ニーズ・プラス」でも、こうしたご相談を承っています。トラブルになる前の予防的なアドバイスも可能ですので、お気軽にご相談ください。
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当社が地主さんと借地人さんの間を取り持ち、底地にまつわる多様な知識を生かしながら、複雑化してしまった底地トラブルをスムーズに解決へと導きます。
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