底地を整理して収益資産に組み換えよう

2019.08.19

地主さんの相続は、他と比べると少し厄介です。特にのちの面倒ごとに発展しやすいのが底地です。
底地とは、借地権がついている土地のこと。地主さんは底地を、借地人は借地権を持つことになります。
昔は地主さんと借地人さんは顔見知りで、手渡しで地代のやり取りをしていました。しかし現在では銀行振込。顔を合わすこともありません。
そのうえ、何代か相続が繰り返されると、土地への思い入れも少なく、顔も合わせたことのない者同士が、一つの土地の底地と借地権を持つことになるのです。

一度トラブルになると解決が大変です。相続税の支払いを考えるといずれ手放さなければならない可能性も大いにあります。

それならば、ご本人が健在のうちに底地を整理して、収益資産に組み換えてみませんか?

財産を受け継いだご家族にとっても、先祖代々の資産を守るという意味でもプラスの結果になるはずです。
トップ画像

底地の歴史 ~新法施行前の契約は旧法適用~

底地とは、借地権の付いた土地のことです。地主さんが他者に土地を貸し地代を得ると、地主さんは底地を保有していることになります。

第二次世界大戦前の日本の都市の住宅は、現在のようなマイホームではなく、借地、借家がごく当たり前でした。土地の値段は安く、土地を所有したいというニーズや権利意識が薄かったともいえるでしょう。

ところが昭和16年に借地法・借家法が改正し、借地人の権利が非常に強くなりました。
背景には戦地に多くの成人男性を送り出すにあたり、一家の大黒柱が留守の間に借地に住む家族が家を追い出されることのないよう、国策として権利を保護したことがあります。
借家と同じく借地が対象になったのは、当時の借家は借地の上に建てられることが多かったので、借地人さんの「住む権利」を守るには、その大家さんの借地権も同時に保護する必要があったからです。

その後、平成4年に借地借家法という新法が施行され、定期借地権が創設され、貸した土地は必ず戻るようになったので、地主さんは安心して土地を貸せるようになりました。

しかし、新法施行以前に契約がなされた借地、借家には、旧法が適用されます。そのことにより発生するトラブルや悩みごとの相談が多いのが実情です。

底地はどうやって整理すればいいの?

そこで考えたいのが底地の整理です。底地を整理する方法は4つあります。

1.借地人さんに底地を買い取ってもらう
2.地主さんが借地人さんの借地権を買い取る
3.地主さんと借地人さんが協力して第三者に売却する
4.借地権と底地の一部交換によって土地を二分割し、完全所有権化する

では一つずつ見ていきましょう。

1.借地人さんに底地を買い取ってもらう

地主さんが底地を売却したいとき、一番高値で買ってくれる可能性が高いのが借地人さんです。
地主さんが底地の所有権を借地人さんに売却すると、借地人さんは、愛着のある自宅用地を100%自己所有にできるのです。借地人さんはこれまで許可が必要だった家の建て替えや土地の売却も自由にできるようになります。
新たに土地を購入すると高額になりますが、借地権を持っている土地の底地なら、安く手に入れることができるのでメリットが大きいのです。
そして、地主さんは、現金が手に入り、地代の管理や税金の支払いに頭を回す必要がなくなります。

2.地主さんが借地人さんの借地権を買い取る


地主さんが借地人さんから借地権を購入し、地主さんの100%所有の状態に戻します。土地に建つ家は「借地人さんが取り壊す」「地主さんが家を買い取る」などの方法で処分します。
住めそうにない老朽化した家は取り壊すことになります。その費用については基本的には借地人さんが持ちますが、支払う資金がない場合は、底地の価格から取り壊し費用を差し引いてもらうよう交渉すればよいでしょう。

3.地主さんと借地人さんが協力して第三者に売却する


相続によって借地権を得た人の場合、今後使う予定がないということも多くあります。借地人さんも地主さんも「その土地はいらない」なら協力して売却し、その売却代金を分けるのがいいでしょう。

底地単独、借地単独で売却するとどうしても売却価格は低くなります。その点、地主と借地人が協力して売り出せば、売り主が二人いるとはいえ、購入者は100%所有ができるので、周辺の更地の相場価格に近い額で売れる可能性が高まります。

地主さんか借地人さんが自己所有にしてから売ることもできますが、その分、売買契約を結んだり、登記したりといった手間がかかります。最終的に売却する予定なら協力して売るのが近道です。

4.借地権と底地の一部交換によって土地を二分割し、完全所有権化する

底地権と借地権の権利割合に基づいて土地を二分割します。借地権割合が7割なら土地を借地人さん70%、地主さん30%の二つに分けて、それぞれの所有にします。
宅地として考えると、土地全体の大きさがある程度ないと、二分割は難しいかもしれません。
家一軒がやっと建つ広さの土地を二分割したら、利用用途のない土地になり価値が下がってしまいます。

借地人がいても底地は買い取ってもらえる?

借地人さんが底地を買い取ってくれるのが一番いい方法のように思えますが、そうできるケースばかりではありません。買い取ってもらうためには借地人さんが現金の形で資産を持っているか、ローンが組めないと話が進まないからです。

借地人さんへの売却は難しいけれど、「すぐにでも底地を売って現金が欲しい」ということもあるでしょう。そういったときはどうすればいいのでしょうか?

第三者が買い取ってくれる土地も

その土地の立地や条件が良ければ、借地権が付いた状態のまま第三者が買い取ってくれる場合があります。
第三者は買い取った土地を、いずれは価値が上がる資産として底地のまま保有し続けることもありますし、借地人さんに売却してくれないかに交渉することもあります。

借地権が付いた底地は、更地価格から見ると低い価格での売却になります。そうはいっても、借地を売りたくない借地人さんや、底地を購入する資金のない借地人さんとの交渉は非常に難しく、一般の方が解決しようと思っても難しいでしょう。

その手間と時間を考えたら、ある程度の価格で第三者に譲るのも選択肢の一つです。

底地を共有すると厄介なことに。相続発生前に整理を検討する

共有トラブル

複数の借地人に土地を貸している状態で、地主さん側に相続が発生した場合、相続人が一人ならわかりやすいのですが、配偶者や子の共有状態になると問題が難しくなります。

底地を共有していると、「誰が代表者として地代を回収するのか」「回収した地代をどう分配するのか」「固定資産税はだれが払い、管理は誰がするのか」など、決めなければならないことが増えます。

親や兄弟が共有しているうちはまだいいのですが、時が経ち、甥や姪同士が共有することになるとトラブルになりがちです。
親戚付き合いが希薄になっている昨今、葬式でしか顔を合わせたことがない者が土地を共有したら、何かのきっかけで揉めかねません。

昔と違って、土地に対する税金はかなりの額になります。それが都市圏にあればなおさらです。
他に利用価値のない土地であれば、借地人さんから支払われる地代はありがたいものですが、更地としてなら高額で売れるような土地だと、得られる地代から税金を引いたらほとんど利益が残らないことも多いのです。

それならば早いうちに底地を整理し、収益が上がる形に組み換えた方がいいでしょう。

底地を収益資産に組み換えるには?

最初にしてほしいのが、今の底地の状態を確認することです。借地人さんに貸している土地の面積や、いつから、どのような契約で貸しているのかを把握します。複数の借地人さんがいると非常に時間がかかる作業ですが、これから交渉するうえで大切なことです。

どうやったら底地を収益資産に組み換えられるのか、実際にあった事例を元にご説明します。

相続税負担が大幅軽減!収益が上がる資産へ組み換え

底地整理で収益資産への組み換えに成功した事例

田代英治さん(70歳) 東京都世田谷区在住(※プライバシー保護のため設定を一部変更しています)

田代さんは70歳の誕生日を迎え、以前から気になっていた底地の相続について考え始めました。田代さんが亡くなった場合、妻の佳江さんと、近くのマンションに住む娘さんが相続人になります。

現時点での財産を書き出してみると以下のような状況でした。

財産
・自宅土地100坪(路線価150万円/坪)相続税評価額およそ1億5000万円
・自宅建物 固定資産税評価 1,500万円
・底地330坪(路線価100万円/坪、借地権割合70%)相続税評価額およそ1億円

底地330坪の状況
借地人8名に坪あたり800円/月 で貸している 年約320万円の収入
固定資産税・都市計画税 年60万円
税金を引いた収入    年260万円

一次相続では無税でも、二次相続で数千万の相続税がかかる

妻の佳江さんが自宅とその他の財産すべてを相続するのなら、「小規模住宅等の特例」や「配偶者の税額軽減措置」により、相続税はかかりません。

しかし、妻佳江さんが亡くなったときはどうでしょうか?

二次相続が起こると、相続人は娘さん一人です。相続税の基礎控除は最低ラインの3,600万円。仮に娘さんが佳江さんと同居して「小規模住宅等の特例」を受けたとしても、2,660万円の相続税が課税されます。

相続税は現金で一括納付が原則なので、このケースのように財産のほとんどが不動産だと支払いが大変です。娘さんが自分の財産から支払えたとしても、その相続税を取り戻すのに約10年もかかってしまう計算なので、賢い選択とは言えません。
そうこうしているうちに次の相続が起こる可能性もあるのです。
「受け継いだ財産を引き継ぐ」という考え方に
そこで田代さんは、土地を守ることに固執せず「受け継いだ財産を引き継ぐにはどうしたらいいか?」を真剣に考え始めました。

そして、底地を整理して収益性の向上を図ることにしました。

まずは底地の売却です。相続税評価額は実勢価格の8割ほどであることを目安に計算すると評価額100万円/坪の土地の実勢価格は、坪あたり125万円程度と見積もられます。
土地330坪の借地権割合は7割なので、底地分3割を計算すると約1億2,000万円になります。

ただし、この価格で買ってくれそうな相手は借地人さんしか考えられません。

8人いる借地人さんに底地を買ってもらうには、測量して分筆し、それぞれの方と交渉が必要で、非常に根気のいる作業です。

高齢の田代さん一人ではとてもできないと判断され、底地専門不動産会社であるニーズ・プラスに声をかけて下さったのです。

不動産業者が底地を買い取る場合、価格は更地価格の2~3割が目安となります。
こちらで8軒の土地の測量と分筆登記、借地人さんへの説明を責任をもって行うことを約束して、8,000万円で買い取らせていただくことになりました。

その8,000万円から取得費や所得税を引いた6,480万円が田代さんの手元に残りました。
底地の売却代金で収益率の高い不動産を手に入れる
娘さんへの相続を考え、この資金の範囲で収益率の高い不動産を手に入れることにしました。
ちょうどよい土地が見つかったので、30坪の土地を3,000万円で購入し、そこに3,000万円で2階建てアパートを建てて、賃貸することにしました。賃貸アパート経営により、年間約380万円の家賃収入が得られます。

1DK 4室を30年賃貸できると仮定すると、1年あたりの建築費用は100万円で、固定資産税は年間約10万円です。
家賃収入から建築費・税金を引くと、270万円の収益になります。

底地のままより税金が安くなる

底地を所有していた場合と比較すると、相続税評価額は1億円から3,000万円に下がります。しかし、そこから得られる年間収入は260万円から270万円と、ほぼ同じです。

それだけでなく収入に対する所得税の面でも有利です。木造アパートの耐用年数は22年、その間、年間138万円の減価償却費を経費として差し引くことができます。つまり建築費を分割で経費にできるのです。
その分、所得税が下がり、地代収入に比べると手元に残る金額が多くなります。

土地の所有面積は減ったが、大幅減税に成功

収益資産に
アパート部分の名義を娘さんにして建築すると、その分相続税対策になります。家賃は建物の名義人の収入になるからです。

今回、底地の組み換えを行ったことで、年間収益は変わらないままで、相続税評価は3分の1に下がりました。
所有する土地の広さは330坪が30坪になりましたが、相続税評価額に対する収益性を約3.5倍に上げることに成功しました。

田代さんは非常にうまくいったケースですが、ここまでとはいかなくとも多くの場合、底地を整理が相続税対策につながるのです。

相続・土地問題のお悩みは「ニーズ・プラス」にお任せください!!

ニーズ・プラスは、東京や千葉、埼玉、神奈川を中心に、数多くの物件を取り扱い、豊富な実績とノウハウを有しています。
相続や土地問題でお困りのお客様ひとりひとりとじっくり向き合い、ご要望をお伺いした上で、内容に沿った最善の解決策をご提案致します。
解決の難しい底地問題は、弊社が地主さんと借地人さんの間を取り持ち、底地にまつわる多様な知識を生かしながら、複雑化してしまった底地トラブルをスムーズに解決へと導きます。
弊社をご利用いただいたお客様からは、「トラブルを円満に解決できてよかった」「難しい取引も、すべてお任せできて安心できた」などと喜ばれております。

相続・土地問題についてのお悩みは、ニーズ・プラスへご相談ください。

 

TOP