相続で作っておくと役に立つ「遺産分割協議書」とは

2020.06.04

「相続人が一人だけ」というケースをのぞけば、被相続人(故人)の遺産は相続人で分けることになります。大きな関心ごとの一つは「誰がどの遺産をどれだけ相続するか」でしょう。これを遺産分割といい、遺産分割の具体的な内容を記したものを「遺産分割協議書」と言います。

相続にまつわるキーワードとして目にする機会も多い「遺産分割」や「遺産分割協議書」ですが、実際にどのように行うのか知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、相続で欠かすことのできない知識である遺産の分け方、そして遺産分割協議書についてわかりやすくご説明します。
遺産分割協議書

知っておきたい「遺産分割」の基礎知識

遺産分割にはいくつかの方法がありますが、もっとも一般的なのは、相続人が全員で話し合いを行い合意のうえで遺産を分けるやり方で、これを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議では、全員が同意するならどのように遺産を配分してもOK

遺産をどのように分けるかは相続人全員の話し合いによって自由に決められます。誰が相続人になるかについては、遺産相続のスタート地点!法定相続人になるのは誰?でご確認ください。

「妻の法定相続分は1/2」「兄と弟で法定相続分の1/4ずつ相続」などの記述を見かけたことがある人もいるかと思いますが、法定相続分はあくまで、法律上の分け方です。例えば、「妻がすべてを相続」「次男には一切の財産を与えない」などの分け方も、すべての相続人が同意するのであれば問題ありません。

協議には、必ず相続人が全員参加しなければならない

遺産分割協議の大切な決まりは、相続人全員で協議を行うことです。とはいっても、必ずしも全員が顔をあわせて話す必要はなく、代表者一人が分割案を出して、メールや電話などで他の相続人の同意を得る、という方法でも構いません。大切なのは、相続をする権利のある人すべてが遺産を分ける話し合いに参加し、「この分け方でいいよ」と合意に達することです。

遺産分割、具体的な「分け方」は4種類

遺産をどのように分けるかは、以下の4つの方法があり、どの方法を取るか遺産分割協議で決めます。

(1) 現物分割
(2) 代償分割
(3) 換価分割
(4) 共有分割

4を出す手

その1:遺産をそのものの形のままで分ける「現物分割」

現物分割とは、遺産をそのままの形で相続人で分けること。

例えば、1筆の土地を2人で相続するのであれば、土地を真ん中で2つに分筆してそれぞれが相続します。もっともシンプルなやり方ですが、分けづらい遺産のときには難しくなります。

その2:分けづらい遺産は誰が1人が受け継ぎ、残りの人はお金でもらう「代償分割」

代償分割とは、分割が困難な遺産を1人だけが相続し、他の人は遺産を相続しない代わりに対価を受け取ること。

例えば、1筆の狭い土地を2人で相続する場合、その土地を2つに分けることで、土地は通常の用途には使えないほど小さくなってしまいます。そこで、分割はせずに片方の人が土地をまるごと相続し、もう片方の人に、土地の半分に相当する金額を払います。

その3:遺産を売却し、お金に換えてから分ける「換価分割」

現物分割が難しく、代償分割も望まないときは、遺産を換金してから分ける換価分割が選択肢になります。

その4:遺産を複数人で共有することで遺産分割とする「共有分割」

共有分割とは、分けにくい財産を共有し、遺産を分割したことにする方法です。平等で理想的な分け方のように思えるかもしれませんが、実は、問題を先送りにしているだけという側面もあり、後のトラブルの元となることがあります。詳しくは、身近に潜む不動産の共有問題 あなたは大丈夫?をご参照ください。

遺産分割協議がまとまったことを証明できる「遺産分割協議書」

遺産分割協議書は、遺産分割協議で全員の合意が得られた内容を文書に記したものです。遺産分割協議書の作成は義務ではありませんが、基本的には作成しておくことをおすすめします。その理由は2つあります。
一家団欒

遺産分割協議書があれば後のトラブルが防げる

いったん話がまとまっても、「やっぱり納得できない」「他の遺産も欲しい」などと主張する相続人が現れないとも限りません。遺産分割協議書があれば、「話し合いの結果、合意に達した」という事実を証拠として残せるので、のちのトラブルを防ぎやすくなります。

相続手続きでは「遺産分割協議書が必要」「あった方が便利」な場面がある

相続の手続きの中には、遺産分割協議書の提出を求められるものがあり、以下はその一例です。

・法定相続分以外の分け方で相続した不動産の相続登記(名義変更)
・預貯金の名義変更
・自動車の名義変更
・相続税の申告

なお、預貯金や自動車の名義変更については、遺産分割協議書がなくとも手続き自体は可能であるケースが一般的です。しかしその場合は、相続人全員が書類に記入・押印しなければならないなど、手続きが煩雑になります。相続人の数が多いなら、遺産分割協議書を作っておく方がスムーズでしょう。

また、法定相続分以外の方法で分ける際には、相続手続きで遺産分割協議書の提出を求められる機会も増えるので、作っておくことをおすすめします。

遺産分割協議書を作るときはどうしたらいいの?

万年筆とノート

遺産分割協議書には、実は、明確に決まった書式はありません。しかし、有効な遺産分割協議書として金融機関や税務署などに認められるためには、押さえておいた方が良いポイントがありますので、以下にその一例をご紹介します。

・被相続人の死亡年月日を記入する
・協議に参加した相続人を記入する
・「誰が」「どの財産を」相続するかを明確に記載する
・不動産の場合は、登記簿の通りに情報を記入する
・相続人全員が署名し、実印を押す

用紙や筆記用具に制限はなく、手書きでもパソコンでも構わないのですが、長期保存に耐えられるようにしましょう。

自分で作成することもできますが、様式面で無効なものとなってしまわないよう、十分に下調べを行うことをおすすめします。また、税理士や行政書士などの専門家に作成を依頼することもできます。

遺産分割協議書にサインするのはよく確認してから

遺産分割協議書は、署名捺印した時点で、書かれている通りの遺産の分割方法に同意したこと、とみなされます。したがって、遺産分割協議書への捺印を求められたら、細心の注意を払うべきです。

「手続きを進めるために必要」と説明され、遺産分割協議書と認識しないままに署名捺印してしまっても、作成された遺産分割協議書の効力を後から争うのは困難な場合が多いのです。

遺言があれば遺産分割協議書は不要に

被相続人が遺言書をのこしており、その内容の通りに遺産を分割する場合、遺産分割協議書は不要です。これは、相続人の負担を減らし、円満な相続を実現するために非常に大きな意味があります。

遺産分割協議にはすべての相続人の合意が必要なため、なかなか話が前に進まなかったり、揉めたりと、トラブルが発生しやすい場面でもあります。遺産分割協議書が回避できる遺言の存在は大変大きいものです。スムーズな相続を考えるなら、あらかじめ、遺言の作成について家族で話し合っておくのも良いのではないでしょうか。

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