【地主さんの土地活用】相続した古いアパートを有効に活用するには

2020.05.22

アパート経営は、相続税対策をかねた土地活用として根強い人気があります。親が持っていたアパートを相続で手に入れた、という2代目地主さんも多くいらっしゃることでしょう。

不動産という資産を受け継げるのはありがたいことですが、残念ながら、すべてのアパートがそのまま経営を続けていける状態とは限りません。古いアパートともなれば、後述するようなさまざまな問題をかかえていることも珍しくないのです。

場合によっては「リフォーム」「建て替え」が必要でしょうし、思い切って「売却」「買い替え」を検討した方が良いケースもあります。そこで今回は、相続した古いアパートを有効に活用していくにはどうすれば良いかについて、基本からわかりやすくご紹介します。

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中古アパート

相続で受け継いだ古いアパートをどうするか考えるにはまず、古いアパートの特徴を知る必要があります。

その1:思うような家賃収入が得られないことが多い

古いアパートは、設備が老朽化している、内装が現代のライフスタイルにそぐわなくなっている、などの理由から、家賃を下げなければ入居者が集まらない傾向にあります。さらに、家賃を低く設定したとしても、必ず入居者が確保できるとは限りません。空室が埋まらなければ、入居者募集の広告宣伝を行うための費用もかかってしまいます。

安い家賃と高い空室率が重なって、古いアパートからは、思っていたほどの家賃収入が得られない可能性が高いのです。

その2:修繕費がかさむ

築年数が経つほど、水回りの不具合や雨漏りなど、アパートのあちこちで修繕が必要になる確率が上がっていきます。

10〜15年に1度の目安で必要になる共用部分の修繕工事は、アパートの規模にもよりますが、数百万円かかることも珍しくありません。室内の修繕についても、生活をするうえで仕方のない汚れや劣化は、貸主負担とするのが一般的です。これらが積み重なることで、アパート経営を圧迫してしまいます。

中古アパート

耐震構造が基準を満たさない場合は、耐震補強も必要

入居者の身の安全を守るため、アパートは、耐震基準をクリアしていることが求められます。1981年に建築基準法が改正されたため、それ以前に建てられたアパートは、耐震性が現在の基準を満たしていない可能性があります。耐震検査の結果、耐震補強が必要になれば、さらに費用がかかります。

その3:減価償却期間が終わっており、取り壊しや建て替えへのハードルが低い

デメリットが目立つ古いアパートですが、取り壊しや建て替えを考えたときには、実は、新築や築浅物件にはないメリットもあります。

減価償却とは、かかった必要経費をその年に一度に計上するのではなく、数年に分けて計上していくという会計処理のことです。減価償却期間中のアパートを取り壊すと、税金面で損をする可能性がありますが、古いアパートならそのような心配がいりません。

アパート経営で知っておきたい減価償却の話

アパート経営では、毎年、家賃収入から必要経費を引いたものを不動産所得として確定申告を行います。アパートの建設費用は必要経費にあたりますが、その全額を、その年の確定申告で一度に計上することは原則として認められません。

かわりに、建設費をアパートの法定耐用年数の期間で分割して、毎年の確定申告の際に、少しずつ計上していくという減価償却を行います。

建物の法定耐用年数は、国税庁によって以下のように定められています。

  • 木造:22年
  • 鉄骨:19年〜34年(骨格材の厚みによって異なる)
  • 鉄筋コンクリート造:47年

減価償却の仕組み

例えば、木造のアパートを4400万円で建設する場合で考えてみましょう。法定耐用年数の22年で減価償却するので、4400万円 ÷ 22年 = 200万円 となり、建ててから22年間は毎年、200万円を減価償却費として計上できます。

減価償却期間中のアパートを取り壊したら、損をしてしまう可能性がある

減価償却費は、一定年数に分けて確定申告の際の必要経費にできるので、将来にわたって節税効果があるものです。裏をかえせば、減価償却期間中に建物を取り壊してしまった場合、残りの年数ぶんの減価償却費については今後、計上できないことになります(※)。

つまり、築年数が浅いアパートを取り壊したり建て替えたりすると、会計処理上、損をしてしまいます。一方、古いアパートなら、減価償却が終わっていることが多く、このような心配はないため、建て替えや取り壊しという思い切った手段も選択しやすいのです。

※アパート経営をある程度の規模で事業として行なっている場合には、まだ計上していない減価償却費は、資産損失としてその年の必要経費に含められます。

古いアパート、「このままでOK」かは、キャッシュフローで判断しよう

相続したアパートをこのまま経営していってよいかどうかは、空室率や利回りだけで一概に判断できるものではありません。20〜30年の長いスパンで収入と支出をシュミレーションしてみて、採算が取れるのか、そして、自分が納得いくだけの利益を得られそうかを判断する必要があります。

キャッシュフロー

おすすめは、まず「支出」から計算してみることです。アパート経営で必要な出費が見積もれたら、そこから逆算することで、その物件から得るべき収入がわかります。

<アパート経営をこのまま続けていく場合の主な支出>

  • 今後かかるであろう修繕費
  • 毎年の固定資産税
  • 管理会社に支払う費用
  • ローン返済額(ローンが残っている場合)
  • 入居者を集めるための広告宣伝費

現在の家賃と入居率が今後も続くと見積もって、収入 < 支出となるのであれば、アパート経営のやり方を見直さなければなりません。また、収支がプラスとなる場合も、それが「地主さんにとって納得いく金額か」は別問題です。経営を続けるにはリスクもあるので、総合的に判断しましょう

相続した古いアパートの活用方法4つ

検討の結果、「相続したアパートをこのままにしていてはいけない」と判断した時、どのような選択肢があるのでしょうか。

中古アパート修繕

その1:リフォームする

リフォームでは、アパートの傷んでいる部分のみを修繕したり、入居者に好まれるようなデザインへと部分的に作り替えたりします。建て替えほどは工事費用がかからないのがメリットですが、老朽化が進んでいる場合は、リフォームで必ずしも入居率が改善できるとは限りません

その2:建て替える

今あるアパートを解体して建て替えると、間取りや設備を最新のものにできるため、入居率がアップします。家賃も新築物件として高めに設定できるので、大きな増収につながります。一方、アパートの建設には多額の費用がかかりますし、今ある建物を取り壊すにもお金がかかるので、出費も高額です。

その3:売却する

アパートを相続したものの、賃貸経営にはあまり興味を持てないという場合には、売却するのも選択肢の1つです。アパートは所持しているだけで毎年、固定資産税がかかりますし、入退去や家賃の管理などの細かい手間もつきものです。アパート経営をする意思がないなら、早々に売却するのが適切な活用方法です。
なお、古いアパートは、建物があることで土地の価値も下がってしまうため、更地にしてから売却する方が良いことがあります。その場合は、建物の解体費用が発生します。

その4:買い替える

「買い替え」は、今あるアパートを売って新しいアパートを建てるという「売却」と「建て替え」のあわせ技で、賃貸経営を続けたいがアパートの立地に難がある、という時におすすめの方法です。収入の大幅アップにつがなる可能性もある買い替えですが、上記3つに比べると大掛かりになるため、十分な資金と検討が必要です。

古いアパートの最適な活用方法を見極めるには

上記の活用方法から、どれが自分のアパートに適しているかを判断するには、さまざまな観点から検討する必要がありますが、特に、次の2つの視点は大切です。

アパートの立地を確認しよう

文字通り、動かすことのできない不動産ですが、アパート経営でも「立地」は特に重要です。

アパート立地

その立地で、賃貸経営は継続していけそうか?

まずは、現在のアパートの立地が、賃貸経営に適した場所かを確認しましょう。数十年前に建てられたアパートであれば、周辺の環境も変化している可能性があります。駅から遠い、人口が減っているなどの地域に建っているアパートなら、売却や買い替えを視野に入れる必要があります。

周辺エリアを分析すれば、目指すべきアパートがわかる

賃貸経営が継続できそうなエリアであれば、リフォームや建て替えが選択できます。リフォームでは、現在のアパートにどの程度手を入れるのかを、そして、建て替えでは、どのような物件を目指すのかを決めなければなりません。成功に導くコツは、その地域でアパートにどのようなニーズがあるのかを分析することです。

例えば、商業地区に位置する物件であれば、事務所としても使い勝手の良い部屋が好まれるでしょうし、若い人に人気の街であれば、ワンルームの間取りの需要が見込まれます。また、周囲に似たようなアパートが多数あるなら、差別化をはかるため個性的な物件を目指すなども入居率を上げるために有効です。

それぞれにかかる費用をシュミレーションしてみよう

中古アパート修繕

古いアパートの活用方法は、かかるコストと、収益とのバランスを考えて決定します。コストについて、建築・解体費以外に以下のようなものも発生することも知っておきましょう。

「建て替え」や「売却」で必要になる立ち退き費用

アパートを建て替える、更地にして売却する場合は、入居者に出て行ってもらうための費用も地主さんが負担する必要があります。スムーズに退去してもらうためには、引っ越し費用や数ヶ月ぶんの家賃を支払う覚悟をしておかなければなりません。

なお、リフォームは入居者がいない部屋のみに施工すれば、立ち退き費用を支払う必要はありません。

「売却」「買い替え」では譲渡所得への税金がかかる可能性も

アパートを売却した利益部分は「譲渡所得」として課税されます。譲渡所得への税金は「買った時よりも売った時に値上がりしていたらかかる」という性質のものなので、すべての人が支払うわけではありません。しかし、「地価が上昇しているエリアにアパートを持っている」「いくらで土地を買ったかわからない」という人は要注意です。詳しくは「土地・建物の売却で発生する譲渡所得を節税する方法」もご参照ください。

なお、買い替えの場合には、条件を満たせば「事業用資産の買換え特例」が利用でき、譲渡所得にかかる税金の80%近くについて支払いを繰り延べられます。特例を適用するための条件は国税庁のウェブサイトから確認できますが、複雑なため、税理士や不動産業者など専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

相続した古いアパートは、ベストな方法で活用しよう

相続した古いアパートは、ローンを完済していることも多いので、うまく経営できていれば安定した家賃収入を得られる貴重な財産となります。しかし、老朽化が進んでいる、家賃収入が得られないなどの問題が顕在化している場合は、早めの対策が必要です。

「親の生前からアパートの管理を任されており、なんとなくそのまま経営を引き継いでいた」という方にとって、相続は、賃貸経営を見直す絶好のチャンスです。ご自分の土地に最適な方法を見つけ、活用していきましょう。

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