【土地活用 マンション編】等価交換で賢く資産活用を

2020.06.03

ある程度の広さの土地をお持ちの地主さんは、マンション経営について一度はお考えになったことがあるのではないでしょうか?
興味はあってもマンションを経営するとなれば、その建築費用は莫大です。いくら地主さんといえど躊躇してしまいます。
そんなときに検討したいのが等価交換です。ディベロッパーと呼ばれる土地開発会社に土地を渡し、その対価として、マンションの数室を受け取るものです。
今回は、等価交換による土地活用についてご説明します。
建設中の建物

税法上の「交換」とは

等価交換をご説明する前に、税法でいう「交換」についてお話しします。
基本的に「交換」は、土地と土地、建物と建物など、同種間のことをいいます。このような交換は、要件に当てはまれば固定資産の交換の特例が使えます。

固定資産の交換の特例とは

固定資産同士の交換に使える固定資産の交換の特例ですが、要件に当てはまらないものには使えません。

この特例を使うメリットは、譲渡がなかったものとなることです。通常だと固定資産を売却する際、購入したときより売却額が高ければ、その利益が譲渡所得となり、税金が課されます。
それが免除されるのですから、場合によっては非常に有利に働きます。購入時より価値が上がった固定資産を交換できるなら、ぜひ使いたい特例です。

要件は以下の通りです。

1.交換により譲渡する資産が、どちらも固定資産であること

土地や建物など、交換する資産がどちらも固定資産でなければ適用できません。例えば、土地と骨董品の交換は適用外です。
また、業者が販売用に所有する土地は、特例の対象にはなりません。

2.交換する固定資産が同種であること

交換する固定資産は、同種類であることが条件の一つです。土地と土地、建物と建物など、同じ種類であることが求められます。
たとえ同じ価値であったとしても、土地と建物のように、種類の違うの固定資産の交換には適用できません。
等価交換の図

3.1年以上所有していた資産であること

交換するための資産は、1年以上所有していたものでなければ、特例を適用できません。それに加えて、交換をする目的で取得したものも除外されます。

4.交換後も同じ用途で使用すること

交換した固定資産を、取得後に別の用途で使用した場合も対象外です。
土地は、宅地・田畑・鉱泉地・池沼・山林などに区分されます。建物は居住用、店舗又は事務所用、工場用などに分けられています。
例えば、畑と畑を交換した場合でも、交換後に宅地転用したら、この特例は利用できなくなります。

5.時価との差額が大きい場合は注意

国税庁ホームページには、

交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。

と記載されています。
以下のように計算してみて、当てはまるのかどうかは確認できます。
等価交換
認められない例
時価500万円の土地Aと時価700万円の土地Bを交換する場合、
時価の差額200万円
高いほう土地Bの時価700万円の20%=140万円
時価の差額の方が大きいので適用できない

認められる例
時価1000万円の土地Cと時価1200万円の土地Dを交換する場合、
時価の差額200万円
高いほうの土地Dの時価1200万円の20%=240万円
時価の差額を下回っているので、土地CとDの交換には適用できる

固定資産の交換の特例、どんな時に使えるの?

ぜひ利用したい固定資産の交換の特例ですが、どんな時に使えるのでしょうか?

いびつな形の土地、不整形地を整えたい

買い手が付きやすい土地は、整った四角形です。土地の形が台形や三角、旗竿地は、どうしても売れにくいもの。こういった不整形地は建てるのは四角い家、どうしても使えない部分ができてしまうので敬遠されます。

そんな時に利用できるのが固定資産の交換特例です。
三角地の分配方法

上の図は極端な例ですが、隣り合う土地がいびつで、それにより土地の価値が下がっているのなら、交渉してみる価値ありです。
土地の一部を交換することでお互いの土地が正方形に近くなれば、高値で売れるかもしれません。交換により、余計な費用が発生すると踏み切れないかもしれませんが、固定資産の交換の特例を使えば、最低限の費用で土地の価値を高められます。

【関連記事】

「売れない土地」の種類と売却方法

借地権と底地権を交換したい

「借地人さんが持つ借地権」と「地主さんが持つ底地権」、その交換にも固定資産の交換の特例が使えます。借地権と底地権、意味合いは違いますが、どちらも土地で同種なので適用可能です。

例えば、借地権割合が60%だったとすると、土地の評価額に対して、それぞれの持ち分割合は、借地権60%、底地権40%です。
それを目安に、借地人さんと借地人さんで話し合い、土地を2つに分け、それぞれを各人の完全所有とするのです。
借地、底地のままだと、実際には時価に近い価格で売買できるわけではないのに、評価額は時価に即した価額なので、相続税の負担が大きくなることがあります。
売却を考えているなら、それぞれの完全所有にしたほうが高値になるのです。

【参考記事】

借地権とは?借地人の権利が強い旧法適用の借地について

では、最近耳にすることが多い「等価交換」とはどのようなものなのでしょうか?

等価交換とは

等価交換とは、文字通り、等しい価値のモノを交換することです。地主さんなら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
土地活用の一つとして注目される等価交換ですが、不動産においてはどのような交換を指すのでしょうか?
更地がマンション

等価交換は土地活用の一つ 土地とマンションの数部屋を交換する

不動産の等価交換は、簡単に言うと、土地とマンションの数部屋を等しい価値になるように交換することです。マンションに限らず、オフィスビルで等価交換をすることもあります。
居住地として需要の多い土地をお持ちの地主さんは多くいらっしゃいますが、資産の大半が不動産であると、マンション一棟を自己資金で賄えるかというと難しいこともあります。
等価交換は、地主さんの状況によってはメリットのある選択肢のひとつです。

【等価交換 事例】土地を譲り、マンションの部屋を受け取る

では、具体的に、土地とマンションの等価交換を想定して、よくある事例を元にご説明します。

地主の山下さんは65歳。まだまだ元気ですが、相続を見据えて土地活用・売却を検討しています。立地が良く、買い手はすぐにつきそうなのですが、出来れば売却せずに、この土地に住み続けたいと思っています。ただ住み続けるにしても、今の家は老朽化しており、リフォームか建て替えが必要です。

ここ数年、周辺地域にはマンションが建ち始め、街は活気にあふれています。山下さんも「マンション経営」に興味が無いわけでもないのですが、資産の大半が不動産、老後の生活資金を考えると、貯金を切り崩し、ローンを背負ってまで踏み出す勇気はありません。

山下さんには40歳の息子さんと38歳の娘さんがいて、お二人とも結婚し独立しています。近くに住んでいるものの、それぞれに仕事もあります。マンションを建てたところで、相続後に子どもたちがマンション経営ができるとも思えず、本人たちも希望していないようです。

【山下さんの希望と問題点】
・土地はあるが、マンションを建てるほどの現金はない
・土地に愛着があり、住み続けたい
・自宅を建て替え・リフォームすると相続後に息子と娘の共有になってしまう
・息子と娘は、マンション経営するつもりがない

そこで、以前より土地開発会社から持ち掛けられていた、等価交換を行うことにしました。

等価交換ならローンを背負わずにマンションを手に入れられる

まず地主さんは土地を提供します。ディベロッパー(土地開発会社)は地主さんの土地に、マンションを建てます。
そして、マンションの建築が完了したら、地主さんは土地と同じ価値の分だけ、マンションの部屋を得られる、というのが等価交換の仕組みです。
建築費はディベロッパーが賄うため、地主さんは建築費の支払いの必要がありません。

愛着のある土地に住み続けられる

マンションの土地全体を所有するわけではなくなりますが、マンションの一室に入居すれば、愛着のある土地に住み続けられます。

定期収入が得られる

数部屋を手に入れたら、そのうちのいくつかは賃貸物件にするのもいいでしょう。ご自身がご健在のうちは定期収入が得られるので、老後の生活費や相続税のために貯蓄できます。

相続を見据えた分けやすい資産にできる

相続発生時に何もしないと、すべての資産は共有になってしまいます。特に土地は、その分けにくさから、つい共有状態を選択してしまうものです。そのまま数代の相続が起こると「気づいたら数十人の共有状態になっていて、容易には売却できない」とトラブルにつながります。不動産の共有はできる限り避けるべきです。

等価交換をすれば、一筆の土地がマンションの数室に変わります。それぞれが独立した資産になるので、各相続人が住むもよし、賃貸にするもよし、売却しても良いのです。

商売を続けることができる

店舗用地として使っていた場合も、マンションを建て、その一階部分に店舗を置き、営業を続ける道もあります。慣れ親しんだ土地で商売を続けながら、住まいを確保し、集客も見込めるのですから、業種によっては非常にメリットがあります。

等価交換の注意点「 本当に等価なのか」確認を

等価交換をするときに注意してほしいのが、ディベロッパーが提示してきた条件が本当に等価なのかということです。また、建築中のご自身の住まいについても考えておかなければなりません。
契約書に名を書く

自宅を壊す場合は建て替え中の住まいの手配が必要

元々自宅があった土地にマンションを建てる場合、その間の住まいを手配しなければなりません。マンションと呼ばれる規模の建物は、建築期間も長くなります。自宅を取り壊してからマンションに入居できるまでは、1年前後はかかることが多いようです。
その間の家財道具や車の置き場の手配も必要です。その分の費用や不便さも考慮しておきましょう。

言われたことを鵜呑みにせず、ご自身で確認を

ディベロッパーが等価交換を勧めてくるのはもちろん、自社にとってメリットがあるからです。ほとんどが誠実な会社ですが、中には地主さんが詳しくないのをいいことに、自社が圧倒的に有利な条件を提示してくる業者もいます。

とはいえ、地主んさんにとって一見、不利な条件に思われても、ディベロッパーは建築費を出しているのですから、その分は差し引く必要があります。
また、費用は規模や間取り・部屋数によっても変わります。提示してきた部屋数と、地主さんの土地の価格が釣り合っているのかどうか判断するのは、素人には難しいかもしれません。

疑問に思ったことは細かく質問し、答えをはぐらかしたり、資料を出さなかったりと不誠実な対応を示されたら、簡単に契約しないようにしましょう。

少しでも不安を感じたら、ファイナンシャルプランナーや税理士、不動産鑑定士など、ディベロッパーとは関わりのない第三者に意見を聞くのも大切なことです。

土地は手放さなければならない

同じ土地に住めるとはいえ、その敷地全体の所有者ではなくなります。等価交換したら「地主さん」ではなくなるということです。
マンション完成後は、マンションの部屋数に応じて、部屋の区分所有権と、土地の敷地権を持ちます。

オフィスビルと土地の等価交換の場合は、土地・建物を地主さんと土地開発会社が共有し、賃料を配分することもあります。

どちらにしても、ディベロッパーとの協議により決定するものです。ご自身が不利にならないように契約内容をしっかり理解しなければなりません。

等価交換は慎重に

地主さんの土地活用の選択肢の一つとして覚えておきたい等価交換。規模の大きな話ですし、マンションの建設費や土地の相場、ディベロッパーとの契約内容など、ご自身が理解して契約をしないと後に大きなトラブルを招く可能性があります。
自分の理解できる範囲を超えていると感じたら、家族や専門家に相談するなどして早いうちに引き返してください。相続人となる予定の人たちが、等価交換を望んでいない場合もあるのです。
間違っても「言われるままに契約してしまった」ということがないようにしましょう。

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