【土地・建物の売却】譲渡所得の節税方法

2020.05.18

土地・建物などの資産を売って得た利益は「譲渡所得」として課税されます。しかし、実際には、「土地が5,000万円で売れたけれど、税金を1円も支払わずに済んだ」というようなケースがたくさんあることをご存知でしょうか。

ポイントは、「利益」が出た場合のみ「譲渡所得」となり課税されるということ。利益とは簡単に言ってしまえば、「売れた価格」と「その土地・建物を購入した時の価格」の差なのですが、ここに節税のヒントがあります。譲渡所得で損しないためには、その仕組みを正しく理解する必要があります。

そこで今回は、この譲渡所得と、譲渡所得にかかる税金を効果的に減らす方法についてわかりやすくご紹介します。

土地・建物の売却

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譲渡所得ってどんなもの

譲渡所得とは、個人が資産を譲渡することで得た利益のことです。

そもそも譲渡とは何? 贈与とはどう違うの?

譲渡とは、資産の所有権を移転させること。金銭のやり取りが発生しているかどうかは問いません。したがって、通常の売買はもちろん、贈与のように無償で渡す場合も譲渡に含まれます。

土地・建物だけじゃない! 売却したら譲渡所得の発生する資産

売却することで譲渡所得が発生する資産は、基本的に「経済的な価値があるものすべて」です。多いのは、土地・建物などの不動産や株式、ゴルフ会員権などですが、他には、借地権や金地金、宝石などもあります。

ただし、通勤に使っている車や家財道具のように、生活に必要なものを売って得た利益は、譲渡所得にはなりません。また、商売をしている人が商品を売ったときも、事業所得となり譲渡所得ではありません。

土地・建物の売却

譲渡所得は、その資産を売って得た「利益」のこと

資産を売ってお金が入ってきても、それがそのまま譲渡所得になるのではありません。譲渡所得とはあくまでも「売却で得た利益」のこと。つまり、資産を売って得られた金額から、その資産を取得・売却するためにかかった費用を差し引いてプラスが出れば、「譲渡所得」として税金がかかるという仕組みです。

譲渡所得は、資産を保有している間に資産の価値が上がったら、その値上がり部分に対して課税すべき、という考えにもとづいています。したがって、その資産を取得したときと同じ価格や、取得時よりも低い価格で売却する場合には、譲渡所得は発生しません

譲渡所得が発生するのは「よくあること」なの?

「土地を売ったら買ったときより値上がりしていたので譲渡所得が発生した」というのは、まれなことではありません。都心部などでは地価の上昇が続いており、好立地の不動産の売却では、譲渡所得が発生してしまう可能性が高いのです。また、理由は後ほどご説明しますが、古い時代に購入した土地の売却でも、譲渡所得が発生しやすい傾向があります。(記事内リンク:譲渡所得を節税するためのポイント「取得費」と「譲渡費用」

土地・建物の売却

譲渡所得の計算方法

譲渡所得を計算するには、土地や建物を売却して「値上がり益」が出たかどうかを判断する必要があります。したがって、計算式は以下のようになります。

譲渡所得 計算式

収入金額は、資産を売却した価額のことです。取得費はその資産を手に入れるためにかかった費用、そして譲渡費用はその資産を売却するためにかかった必要経費です。

譲渡所得にかかる税金を少なくするには、取得費と譲渡費用をきちんと計上して、譲渡所得の額を減らすことが大切です。これについては次の「譲渡所得を節税するためのポイント「取得費」と「譲渡費用」」で詳しくご紹介します。

譲渡所得を具体的に計算してみよう

(例)3000万円で買った土地を売却するため150万円かけて造成工事を行い、不動産業者に依頼したところ、4000万円で売れたとします。売却時、不動産業者に仲介手数料として100万円を支払いました。この場合の譲渡所得は、

4000万円−(3000万円+150万円+100万円)=750万円

となり、750万円に対して課税されることになります。

譲渡所得の税率は?

土地・建物の売却

譲渡所得の税率は売却する資産の種類によって異なりますが、不動産の場合は、所有期間により「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」に分けられ、税率が異なります。長期譲渡所得の税率が約20%なのに対し、短期譲渡所得は約39%と倍近い差があるため、「所有期間が5年程度の土地」なら、譲渡する日付けは大変重要です。詳しくは、以下の記事もご参照ください。

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譲渡所得を節税するためのポイント「取得費」と「譲渡費用」

課税される譲渡所得を減らすには、必要経費として土地を売った時の金額から差し引ける「取得費」と「譲渡費用」を正確に計算することが大切です。どんな費用が取得費と譲渡費用に含められるのかをチェックしましょう。

「取得費」ってこんなもの

実際にその土地を購入した時の金額にプラスして、以下のようなものも取得費に含めることができます。

所得費用の一例

知っておきたい「取得費」についてのルール5つ

その1:取得費を示すために、買った時の金額を証明するものが必要

取得費

取得費を計上するためには、購入時の領収書や請求書、通帳のコピーなど実際の出費を説明できるものが必要です。数十年前に買った土地であれば、価格はいくらだったのか、土地を買うためにどのような出費があったのか、記録が残っていないケースもあるでしょう。「1,000万円で購入した記憶がある」のような主張は通りません。客観的な資料を用意できないものは、取得費に含めないようにしましょう。

その2:取得費がわからなければ、「売却価格の5%」が取得費になってしまう

その土地をいくらで購入したかわからない場合は、売却価格の5%を取得費としなければなりません(※)。しかし、これでは、あまりにも少額になってしまうため、ほとんど譲渡所得が減らせないのです。

取得費

例えば、「1000万円で売れた土地の取得費用が50万円だった」というのは通常考えにくい状況ですが、その土地を買った時の価格を証明できなければ、取得費は50万円で計上するほかありません。さらに、この「売却価格の5%」を取得費にする時は、上記のような、土地の購入にかかったこまごまとした諸費用を含めることもできないのです。

※昭和28年以降に取得した土地の場合、公表されている市街地価格指数などを用いて取得費を計算できる可能性があります。しかし、その方法で計算した取得費が税務署に認められないことも多く、裁判になった事案の半数以上で否認されています。個別に税理士に確認するのがのぞましいでしょう。

その3:取得費が安すぎるときも、「売却価格の5%」が取得費に

土地の購入価格がいちじるしく安いなどの理由で、実際の取得費が「売却価格の5%」を下回る場合も、「売却価格の5%」が取得費になります。想定されるのは、ご先祖様が購入して代々受け継いできた土地を売却するようなケースです。

取得費

昔と今では貨幣価値が違いますが、土地の取得費用はそのまま受け継がれます。例えば、明治時代に1,000円で買った土地の取得費は、現代でも1,000円です。この土地が5,000万円で売れたとしたら、5,000万円から差し引ける取得費はわずか1,000円なので、そのほとんど全額が譲渡所得になってしまいます。

そこで、売却価格の5%である250万円を取得費としますが、これでも4,750万円が譲渡所得になり、かなりの額の税金がかかってしまいます。古い土地の売却では、譲渡所得が発生しやすくなるのです。

その4:相続して3年以内の売却なら、支払った相続税も取得費に含められる

相続した不動産を売却する場合、相続税の申告から3年以内であれば、その不動産を相続するために支払った相続税の一部を取得費に加算できるという特例があります。なお、相続で取得した不動産を売却する場合も、取得費は相続時の評価額ではなく、亡くなった人がその不動産を買った時の金額です。

相続税申告書

その5:建物の取得費を計算する場合は、「減価償却」もお忘れなく

建物を売却する場合は、取得費から、減価償却相当額を差し引いて計算する必要があります。減価償却とは、年月を重ねることで徐々に劣化していくと考えられる資産に対して、その価値を税務の計算上、毎年減らしていくこと。建物の場合、新築と築30年ではその税務上の価値は大きく異なるため、それを取得費の計算にも反映させるのです。

建物が古くなれば古くなるほど、減価償却累計額がアップするので、取得費の額は小さくなります。減価償却の金額は「建物購入金額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」で計算します。詳しくは、国税庁のウェブサイトをご参照ください。

「譲渡費用」にはこんなものがある

売却にかかる費用で代表的なのは、不動産業者への仲介手数料でしょう。その他にも、譲渡費用に含めて良いのは以下のようなものです。

譲渡費用として認められるもの

上記のものを譲渡費用とするには、取得費の場合と同じく、領収書など、その支出が確かにあったことを示す書類が必要です。また、間接的には売却のためにかかったものであっても、以下は譲渡費用として認められません。

譲渡費用として認められないもの

譲渡所得を節税するために活用したい特例

譲渡所得は金額が大きくなることが多く、税負担も重くなりがちです。譲渡所得がネックになって個人が自宅を売却できない、とならないよう、「マイホーム」と「空き家」の売却には特例が設けられています。

マイホーム売却で適用できる特例

税金がかからなくなる可能性大!3,000万円の特別控除

一定の要件を満たすマイホームの売却では、最高3,000万円までを譲渡所得から差し引ける特別控除が受けられます。多くのケースでこの特例が適用できますが、詳しい要件は国税庁のウェブサイトでご確認ください。

所有期間が10年を超えるマイホームなら、軽減税率も

上記の特例を使っても控除しきれない額の譲渡所得が発生している場合、マイホームの所有期間が10年を超えていれば、特別控除と併用して、軽減税率の特例を受けることができます。譲渡所得が6,000万円以下の部分について、通常であれば20.315%である税率が14.21%に下がります

相続した空き家の売却で適用できる特例

空き家売却

相続で取得した空き家を売却した場合にも、譲渡所得から最高3,000万円まで控除が受けられます(令和5年12月31日まで)。適用のための要件は国税庁のウェブサイトから確認できます。

相続で受け継いだ土地・建物では、取得費用を示す書類が残っていない場合も多く、取得費用を売却価格の5%とせざるを得ないため、譲渡所得が高額になりがちです。この特例の節税効果は大きいと言えるでしょう。

土地や建物を売却したら、確定申告をお忘れなく

不動産を売却して譲渡所得が発生した場合は、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をしましょう。特別控除を利用した結果、納税が不要になるケースでも、制度を利用することを示すために確定申告が必要です

土地建物売却

確定申告することで得することも

売却した不動産が値下がりしていたため、譲渡所得が出るどころか利益がマイナスになってしまった、というケースもありえます。この場合、確定申告する必要はありませんが、もしマイホームの売却で損が出たのなら、一定の要件を満たせば、給与などの他の所得と不動産の売却損を相殺して損益通算できます。結果的に支払う税金の額が抑えられるので、当てはまる人はぜひ申告しましょう。損失は最大で3年間繰り越しできます。適用条件は、国税庁のウェブサイトをご確認ください。

譲渡所得の申告は自分でできる?

譲渡所得を算出するための計算式自体は比較的シンプルなので、自分で申告するというケースも珍しくありません。しかし、譲渡所得を節税するうえで大切な取得費用・譲渡費用については素人では判断が難しいものです。誤った申告書で損してしまわないよう、税理士に相談するとよいでしょう。

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