【地主さん向け】底地・借地の売却・トラブル解決に強い専門家の選び方|失敗しない比較ポイント

【地主さん向け】底地・借地の売却・トラブル解決に強い専門家の選び方|失敗しない比較ポイント

底地や借地の問題は、長年土地を所有してきた地主さんにとって、時に直面する課題です。「借地権者から更新料を払ってもらえない」「底地を相続したが扱い方がわからない」といった悩みは、想像以上に多くの方が抱えています。

こうした問題を解決するには、専門知識だけでなく、交渉力や法律面のサポートが欠かせません。しかし、どの専門家に相談すればいいのか、どこに頼めば安心なのかは初心者にはわかりにくいものです。

本記事では、底地・借地問題に強い不動産会社や弁護士をどう選ぶか、その比較ポイントや相談の流れを詳しく解説します。「難しそう」「トラブルがこじれそう」と感じている方も、基本を知ることで不安が和らぐはずです。

これから底地を売却する方も、借地権者との関係を円滑に整理したい方も、ぜひ参考にしてください。

目次

底地・借地問題とは?地主さんが抱えやすい悩み

底地・借地問題とは?地主さんが抱えやすい悩み

底地と借地権は、似ているようで権利の内容や管理の難しさが異なります。ここでは、基礎知識とともに、地主さんが陥りやすい代表的な悩みを具体的にご紹介します。

底地と借地権の基本的な違い

底地とは、他人に貸している土地の所有権を指します。一方、借地権は、借りている側の「土地を使う権利」です。

たとえば、ある家の土地が地主さんのものだとしても、その上に家を建てて住んでいる人は借地権者であり、双方が異なる権利を持っています。

この構造があるため、土地の売却や相続、契約更新などの場面では権利調整が欠かせません。
特に底地は「他人が使用している土地」であるため、普通の土地と違って自由に処分できない制約があります。

 底地と借地権の基本的な違い

◆こんな事例に注意:借地権者の同意が得られず評価額が下がったケース

地主さんが「底地を売りたい」と思っても、借地権者が同意しない場合は買い手がつきにくく、評価額も低くなることが一般的です。この点が、底地の流動性を低くしている大きな理由です。

底地を持ち続けるリスクとデメリット

底地を保有するメリットは安定した地代収入です。しかし、近年ではこの地代が時代に合わず低額のまま据え置かれ、コストや税負担の方が重くなるケースも少なくありません。

こうした背景から、底地を持ち続ける場合には次のようなリスクやデメリットが生じる可能性があります。

◆主なリスクやデメリット

  • (収益性の低い底地でも)固定資産税が毎年かかる
  • 借地権者との交渉が複雑化する
  • 地代滞納や更新料未払いの問題が発生する
  • 将来相続した家族が処理に困る

ある地主さんは30年以上同じ借地人に貸し続け、毎月数千円の地代しか入らない一方で、固定資産税と管理コストに数万円を支払っていました。このように底地は「持っているだけで負担が増える資産」になりかねません。

よくある借地トラブルの具体例

底地・借地問題の相談で多いトラブルには、以下のようなものがあります。それぞれ、実際に起こりやすい事例を交えてご紹介します。

1.更新料の支払い拒否

更新料の支払いをめぐるトラブルも少なくありません。東京都内のケースでは、20年ぶりに契約更新を迎えた際、借地人が「更新料は不要だ」と主張し、協議が決裂しました。地主さんは交渉を続けたものの折り合いがつかず、最終的には弁護士に和解交渉を依頼することに。調整には数か月を要しましたが、最終的に更新料を分割で支払う条件で合意に至りました。

2.建替えの同意が得られない

建物の老朽化に伴う建替えについても、同意をめぐって問題が起こることがあります。築40年を超える借地建物を新しく建て替えたい借地人が、これまで通りの地代で同意を得たいと希望した一方、地主側は地代の増額を求めました。条件調整が難航し、調停に発展したものの、双方が歩み寄り、最終的に増額幅を抑える形で合意が成立しました。

3.地代滞納

地代の滞納は、底地・借地問題でしばしば発生する深刻なトラブルの一つです。ある地主さんは借地人が1年以上にわたって地代を支払わず、電話での催促にも応じてもらえない状態が続きました。当初は書面で督促を試みたものの効果がなく、やむを得ず弁護士に依頼して内容証明郵便を送付することに。これによりようやく借地人側が交渉に応じるようになり、最終的には滞納分を分割で支払うことで和解が成立しました。こうしたケースでは、早い段階で専門家に相談することが、精神的な負担を減らし、問題を長期化させないためにも重要です。

4.相続の際の権利調整

地主さんが亡くなった後の相続でも、権利調整が問題となるケースは多く見られます。ある事例では、底地を三人の兄弟が共同で相続しましたが、一人は現金化を希望し、他の二人は保有を望んだため協議が難航しました。話し合いが平行線をたどる中、不動産鑑定士に評価を依頼して価格を明確にし、その後持分を買い取る方法で整理がつきました。

こうした問題は一度発生すると解決まで時間と労力が必要です。特に高齢の地主さんが単独で対応するのは大きな負担になるため、早い段階で専門家に相談することが重要です。

専門家に相談すべきタイミングとは?

専門家に相談すべきタイミングとは?

底地や借地の問題は、「いつ相談するか」で解決のしやすさが大きく変わります。ここでは、トラブルが深刻化する前に動くべきタイミングや、相談を先延ばしにするリスクを具体的に解説します。

相談を先延ばしにするとどうなる?

「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、状況が複雑化してしまうケースは珍しくありません。地代滞納が半年以上続いたにもかかわらず「そのうち払ってくれるだろう」と放置していた結果、請求が遅れたことを理由に相手が支払いに応じなくなった事例もあります。(※地代請求権には5年の消滅時効があります《民法169条》)

契約更新の時期を過ぎてしまうと、更新料の請求が認められなかったり、条件の変更が難しくなったりするなど、思わぬ不利益を被る可能性があります。

以前、契約書を見直さないまま放置していた地主さんが「更新料を請求したい」と相談に訪れたときには、すでに期限を大幅に過ぎており、交渉が不利になってしまったケースもありました。

加えて、一度トラブルがこじれてしまうと、当事者同士だけで収拾をつけるのは難しくなりがちです。法律や判例でも「正当事由」や「合理的な交渉の経緯」が求められるため、書面や記録を残すことが非常に重要です。

そこで、具体的に注意したいポイントを整理しておきましょう。

1.更新期限を過ぎると交渉が不利になる

更新料や条件変更を主張する際に、期限内に通知していないと請求が認められないリスクがあります。

2.書面でのやり取りを怠ると証拠が残らない

口頭だけでやり取りを進めると「言った・言わない」の争いになりやすく、解決までに時間がかかります。

3.地代滞納を放置すると回収が難しくなる

支払いの遅れを長期間黙認すると、「合意があった」とみなされる場合があります。

こうしたリスクは「いつか何とかなる」と先延ばしにするほど、選択肢が減り精神的な負担も増えていきます。「ちょっと不安だな」と感じたときこそ、まずは一度専門家に相談し、現状を整理してみることが賢明です。

こんな場合は早めの専門家相談が必要

状況によっては、速やかな対応が後々のトラブル防止につながります。次のようなケースに当てはまる場合、相談の優先度は高いといえるでしょう。

ケース1:更新料の交渉が難航している

借地権者と「更新料が高い」「そもそも支払うつもりがない」といった平行線のやりとりが続く場合、弁護士を間に立てることで交渉が円満にすすむことがあります。

ケース2:借地権者の相続が発生した

借地権者が亡くなり、その家族が権利を引き継ぐと、これまでの契約内容の把握が難しくなったり、新しい相手との調整が必要になったりすることがあります。放置すると権利関係が不明確になりやすいのです。

ケース3:底地を売却したいが条件が複雑

「地代滞納中の底地を売りたい」「借地権者が買い取る意志を示さない」といった事情が絡むと、一般の不動産会社では対応が難しいこともあります。

底地・借地専門の不動産会社や弁護士に相談すれば、権利調整や価格査定も含めてトータルでサポートが受けられます。

このように、相談のタイミングを見誤らないことが、円滑な解決のきっかけになります。少しでも不安があれば、情報収集だけでも構いませんので、早めに底地・借地に強い専門家の意見を確認してみてください。

◆関連情報:
ニーズ・プラスの底地への取り組み

底地・借地に強い専門家の種類と特徴

底地・借地に強い専門家の種類と特徴

底地や借地権の問題は、不動産会社だけでなく弁護士や不動産鑑定士など複数の専門家が関わります。

ここでは、それぞれの専門家がどのような役割を担い、どんな相談に向いているのかを整理しておきましょう。

不動産会社

不動産会社は、底地の買取や売却を進める際の最も身近な相談先です。特に底地・借地を専門に扱う不動産会社は、権利調整や借地権者への交渉を一括でサポートしてくれるのが特徴です。

具体的にどのような支援を受けられるのか、代表的なサポート内容を整理してみましょう。

◆できること

  • 底地の市場評価・価格査定
  • 借地権者への買取打診
  • 売却先の紹介・契約手続きの代行

底地を相続した方が「今後の管理が大変なので売却したい」と考えた場合、まず底地・借地を取り扱う専門の不動産会社に相談することで、想定価格や手続きの流れを確認できます。

すべての不動産会社が底地に詳しいわけではないため、取扱実績や専門性をしっかり確認するようにしましょう。

弁護士

弁護士は、借地権者とのトラブルや、法的手続きが絡む問題に対応します。「更新料を支払ってくれない」「立退きを求めたいが応じてもらえない」といった紛争性の高い案件は、弁護士に任せるのが基本です。

では、どのような状況で弁護士への依頼が検討されるのでしょうか。
代表的なケースを以下にご紹介します。

◆弁護士に依頼する主なケース

  • 更新料や地代の未払い請求
  • 借地契約の解除・明渡し請求
  • 裁判や調停が必要な場合

借地権者が立退きに同意せず、交渉が何年も平行線だったケースでは、弁護士が間に入ることで短期間で和解に至った事例もあります。

また、弁護士に依頼を検討する際には「相談だけでも大丈夫だろうか」と不安を感じる方も多いかもしれません。結論からいえば、相談だけでもまったく問題ありません。初回相談は30分〜1時間無料の事務所も増えています。トラブルが大きくなる前に相談することで、解決コストも低く抑えられます。

不動産鑑定士・税理士

底地の評価額や相続税の試算を正確に行うためには、不動産鑑定士や税理士の助言が欠かせません。「いくらで売れるのか」「相続税がどれだけかかるのか」といった数字を把握できると、将来の計画を立てやすくなりますし、家族間の認識のずれも減らせます。

まず、不動産鑑定士は主に底地や借地権の評価書を作成し、相続や遺産分割の際に必要な価格を客観的に算定してくれます。専門家による正式な評価は、金融機関や税務署への説明資料としても信頼性が高い点が特徴です。

一方で、税理士は相続税の試算や申告手続きを担います。加えて、底地を売却する際に発生する税金についても、どのタイミングで売ると負担を抑えられるかなど具体的なアドバイスを受けられます。
こうしたサポートを受けることで、思わぬ税負担に悩まされずに済むケースが多いものです。

底地を兄弟で共同相続する場合、鑑定士の評価で資産の価値をはっきりさせたことで分割協議がスムーズに進み、結果的に大きなトラブルを避けられた例もあります。

このように、評価や税務の専門家を早い段階から関与させることが、安心して手続きを進めるための大きな助けになります。

◆【参考】専門家の役割比較表

【参考】専門家の役割比較表

◆関連情報
底地・借地・借家のプロフェッショナル|ニーズプラス

専門家を選ぶ際の比較ポイント

専門家を選ぶ際の比較ポイント

底地・借地問題は専門家選びが解決の成否を大きく左右します。ここでは、不動産会社や弁護士などを選ぶときに確認しておきたい重要な比較ポイントを紹介します。

専門性と実績

まず確認したいのが「その専門家がどれだけ底地・借地を扱ってきたか」という点です。一般の不動産会社は居住用物件の売買が中心で、底地特有の権利関係を十分に理解していないことも少なくありません。

過去にどの程度の案件を手がけ、どのように対応してきたのかを知ることで、その専門家の信頼性を見極めやすくなります。

具体的に、確認しておくと安心なポイントは次の通りです。

1.過去の取扱件数

これまでに何件の底地・借地の相談や取引を行ってきたかを尋ねることで、実績の豊富さがわかります。経験が多いほど、さまざまなケースに柔軟に対応できる可能性が高いといえます。

2.成約までの期間や事例

実際にどのくらいの期間で解決や成約に至ったかを聞くと、対応力やスピード感を把握できます。「平均3か月で成約している」「複雑な案件でも半年以内に整理した実績がある」といった具体的な話を引き出せると安心です。

3.底地・借地に特化した部署や専門チームの有無

会社全体の体制も重要です。「底地専門の部署がある」「権利調整の担当が固定されている」など、専門性を活かす仕組みがあるかどうかを確認しましょう。

過去に知人の紹介で地元の不動産会社へ相談した地主さんは、査定額が相場より大幅に低く提示されたそうです。後から底地専門の業者に見てもらったところ、借地権者との権利調整を踏まえた適正価格を提示され、結果的に数百万円高い金額で売却できました。

こうして、相談を始める段階で「実績のある専門家かどうか」を見極めておくことが、最終的に納得できる解決につながるでしょう。

料金体系と相談方法

専門家によって料金体系は大きく異なるため、依頼する前に全体の費用イメージをつかんでおくことがとても大切です。

特に弁護士に依頼する場合、相談料だけでなく、着手金や成功報酬など複数の費用が設定されているのが一般的です。「相談は無料だろう」と思い込んで進めてしまうと、後から想定外の請求が発生することもあります。

次のようなポイントを確認しておくと安心です。

1.初回相談の有料・無料

最初の相談が無料か有料かは事務所によって異なります。「30分までは無料」「初回のみ無料」といった条件があるため、事前に確認しておきましょう。

2.成功報酬のパーセンテージ

依頼した案件が解決した際に発生する報酬です。「回収額の〇%」「解決金額に応じて変動」など算定方法が異なるので、明確に説明を受けることが大切です。

※回収額の「10〜20%が目安」となることが多いようです。ただし、あくまで目安ですので、必ず確認するようにしてください。

3.請求のタイミング(相談時・契約締結時・解決後)

料金がいつ発生するかも重要なポイントです。相談時に一部を支払い、残額を契約締結や解決後に支払うパターンなど、事務所ごとに異なります。

「相談だけなら無料だと思っていたら、書面作成に入った段階で料金が発生し、思った以上の金額になってしまった」という方もいます。このような行き違いを防ぐためにも、必ず契約前に見積書や費用の内訳を提示してもらい、納得したうえで進めることが大切です。

なお、最近はオンライン相談や電話相談に対応する事務所も増えています。
「平日の日中に時間が取りにくい」という方は、相談方法に柔軟性のある専門家を選ぶとよいでしょう。

秘密保持と安心感

底地や借地問題は、家族間の相続や借地権者との関係など、デリケートな事情が絡むことが多いものです。だからこそ、相談内容や個人情報が外部に漏れない体制が整っているかを事前に確認しておくことが重要です。

「信頼できる相手にだけ相談している」という安心感があるだけで、心の負担は大きく減ります。

より確実に信頼できる相手を選ぶため、以下のポイントを意識してみてください。。

1.個人情報の管理体制

相談内容や契約情報の管理方法は事務所によって異なります。
「データをどのように保管しているか」「情報を共有する範囲はどこまでか」といった運用ルールを事前に説明してもらいましょう。

2.守秘義務契約の有無

正式に契約を結ぶ前でも、守秘義務が徹底されているかを確認してください。
たとえば「相談段階でも秘密保持契約を交わせる」「契約書に守秘義務の条項が明記されている」など、安心できる取り決めがある事務所を選ぶと良いでしょう。

3.対応する担当者が固定かどうか

担当者が毎回変わると、事情を何度も説明し直す手間がかかります。
「一貫して同じ担当が窓口になるのか」「途中で担当者が代わる可能性があるのか」も重要な確認ポイントです。

「担当者が変わるたびに過去の経緯を説明しなければならず、ストレスが大きかった」という声も少なくありません。最初から最後まで同じ担当者が対応してくれる体制であれば、安心感が大きく違います。

口コミや評判の確認方法

最終的には、実際に利用した人の声も参考になります。ただし、インターネットの口コミだけを鵜呑みにするのではなく、複数の情報源を組み合わせて判断することが大切です。

判断を誤らないために、以下の情報源を総合的に確認することをおすすめします。

1.公式サイトで公開されている実績や事例

事務所や会社のホームページでは、これまで取り扱ってきた事例や実績が紹介されていることがあります。どのような相談に対応してきたのか具体的に確認しておくと安心です。

2.行政機関や専門団体の認定・登録状況

不動産業者や弁護士事務所が、行政機関や関連団体に正式に登録されているかも重要なポイントです。公的な認定を受けているかどうかは、信頼性を判断する材料になります。

3.同じ問題を経験した知人の紹介や体験談

身近に似たトラブルを経験した方がいれば、実際にどんな対応を受けたのか話を聞いてみるのも一つの方法です。ネットの情報よりもリアルな感想が得られる場合があります。

「口コミが良かったから安心だと思ったら、実際には対応が雑だった」というケースも珍しくありません。一つの情報だけに頼らず、複数の視点から比較・検討することが失敗を防ぐポイントです。

底地・借地問題を相談して解決するまでの流れ

底地・借地問題を相談して解決するまでの流れ

底地・借地問題は、相談したその日にすべてが解決するわけではありません。ここでは、底地の売却や借地権者との条件整理など、実際に専門家に依頼した場合の一般的な流れを、ステップごとにわかりやすく解説します。

相談に必要な資料と準備チェックリスト

まずは、専門家に連絡を取って相談日を決めます。初回相談の目的は、現状を整理し、どのような解決策が考えられるのかを把握することです。

「何を持って行けばいいのか」と迷う方も多いかもしれませんが、心配はいりません。
手元にある資料をもとに事情を説明するだけでも十分です。

ただし、あらかじめいくつかの書類を準備しておくと、相談が順調に進みます。特に、以下の書類は可能な範囲で用意しておくと良いでしょう。

1.借地契約書(写しでも可)

現在の契約内容を確認するうえで基本となる書類です。契約期間や更新条件、地代の額など重要な情報が記載されています。

2.登記簿謄本や権利証(登記識別情報通知)

土地の所有権や借地権の状況を確認する資料です。権利関係が複雑な場合でも、これらの書類があれば整理しやすくなります。

3.固定資産税の納税通知書

底地の評価額や税負担の目安を把握するために必要です。相談時に「今どのくらい税金がかかっているか」を具体的に伝えられます。

4.地代・更新料の支払い記録

過去の支払い状況を確認することで、トラブルの有無や今後の交渉の参考になります。領収書や通帳のコピーなどでも問題ありません。

ある地主さんは契約書を紛失していましたが、登記簿謄本と支払い履歴をもとに状況を整理し、問題なく相談を進めることができました。

このように、完璧に資料を揃える必要はなく、まず相談から始めてみることが大切です。用意できる資料だけ持参し、相談の中で専門家と一緒に不足分を確認していけば大丈夫です。

底地・借地の査定結果と解決プランの提案

初回相談が終わると、専門家は実際に現地を調査したり、借地権者に事情を確認したりしながら、底地の評価額や今後の解決プランを提案してくれます。

「どの方法を選べばよいのか迷う」という方も多いのですが、この段階では一つの提案だけに絞らず、複数の選択肢を比較検討することが大切です。

主に次のようなアプローチが考えられます。

1.借地権者に買取を打診する

借地権者に底地の買取を持ちかける方法です。利用中の土地であるため話がまとまりやすいケースもあり、スムーズに契約が進む場合があります。

2.専門業者に一括で売却する

借地権者との交渉が難航しそうな場合や、早期に現金化したいときは、底地買取を専門とする業者にまとめて売却する選択肢もあります。権利調整を含めて一括対応してもらえるので、地主側の負担を減らしやすい方法です。

3.地代の条件を見直す

売却ではなく、今後も保有する前提で地代を改定する方法です。適正な金額を再設定し、借地権者との条件を整理することで、長期的な収益を安定させることができます。

なお、この提案を受ける段階で費用が発生する場合もあります。「調査料」「査定料」「書類作成費用」などがかかるケースがありますが、正式な契約を結ぶ前に必ず見積書や報酬体系を確認し、納得できるまで質問するようにしてください。

また、提案の内容や手数料は専門家ごとに幅があります。2〜3社の意見を比べることで、適正価格や条件を客観的に判断しやすくなります。「一度話を聞いたからもう他に相談できない」と思わず、いくつかの選択肢を比べてから決めると安心できます。

底地・借地売却の契約手続きの流れ

提案に同意すれば、正式に契約を結び、手続きがスタートします。不動産の売却であれば売買契約書、弁護士に依頼する場合は委任契約書の締結が必要です。

「これでいよいよ解決に向けて進むんだ」と感じる場面ですが、実はこの契約の確認がとても重要なステップになります。

後から「こんなはずではなかった」という行き違いを防ぐために、契約時には以下の点をしっかりチェックしておきましょう。

1.報酬や成功報酬の支払い時期

報酬が「いつ」「どのような条件で」支払われるのかを必ず確認します。相談時・契約締結時・問題解決後など、タイミングは事務所によって異なるため、支払いの流れを具体的に説明してもらいましょう。

2.トラブルが長期化した場合の追加費用

「解決までに時間がかかったときに追加料金が発生するのか」は見落としやすいポイント。対応が長引くと費用がかさむ場合があるので、どこまでが見積もりに含まれているかを事前に確認しておくと安心です。

3.担当者や連絡先の明記

「誰が窓口になるのか」「連絡先はどこか」をはっきりさせておくことで、手続きが円滑に進みます。後で担当者が変わる場合の引き継ぎ方法も確認しておくとトラブルを防げます。

あるケースでは契約書をきちんと読み合わせずに進めてしまい、想定以上の報酬が発生してトラブルになった例がありました。一度署名してしまうと条件を変えるのは難しいため、疑問点は遠慮せずに質問することがとても大切です。わからない用語があればその場で確認し、納得してから手続きを進めるようにしましょう。

底地・借地問題の最終確認と完了のステップ

手続きが進むと、専門家(専門の不動産会社、弁護士など)が借地権者との交渉や契約書の作成を代行してくれます。必要に応じて立ち会いや調停もサポートしてもらえるため、地主側の負担は大幅に軽減されます。

最終的に売却や和解が成立すると、代金の受領や権利移転、税金の手続きが進みます。現金は通常、契約締結後数日から1週間程度で指定口座に振り込まれるのが一般的です。

ただし、解決のタイミングでトラブルが完全に終わるわけではありません。売却代金の分配をめぐって相続人同士の意見が割れるケースや、借地権者が書面の内容を再確認したいと申し出てくる場合もあります。こうした事態を防ぐために、専門家が最後まで立ち会い、書面を丁寧に確認するプロセスが重要です。

また、売却代金を受け取った後は税務申告が必要です。特に高額の売却益が出た場合は、譲渡所得税や住民税の負担が大きくなることもあります。税理士に相談しておくと、特別控除の適用や納税スケジュールの調整など、より具体的なアドバイスを受けられます。

底地を売却した地主さんの中には、契約書の内容を十分に理解しないまま進めたことで、受領時期や譲渡税の支払いについて想定と異なる負担が発生してしまった事例もあります。

「すべて完了した」と安心する前に、代金の振込、名義変更、税金の手続きまで一つずつ確認することが大切です。

最後に、手続きの「完了」に際し、チェックするべき項目をあげておきます。

  • 代金の振込予定日と金額
  • 所有権移転登記が済んでいるか
  • 税理士への相談と納税準備
  • 契約書や領収書の保管

一つずつチェックを終えることで、トラブルを未然に防ぎ、心配なく売却の手続きを終えられるはずです。

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底地・借地・相続のご相談はニーズ・プラスへ

底地・借地売却・トラブル解決のよくある質問

底地・借地売却・トラブル解決のよくある質問

底地や借地に関する相談では、同じような疑問を持つ方がとても多いものです。事前に知っておくと安心できるポイントをQ&A形式でまとめました。それぞれ具体例を交えながら、わかりやすく解説します。

Q1:底地を売るのにどれくらい時間がかかる?

【回答】
売却にかかる期間はケースによって異なりますが、目安としては2か月から半年程度です。借地権者がすぐに買取に応じてくれるケースでは、査定から契約完了まで3か月以内で手続きが済むこともあります。

一方、相続登記や権利関係の整理が必要だったり、借地権者との交渉が長引いたりする場合は、半年以上かかるケースも珍しくありません。

東京都内で底地を相続した地主さんは、借地権者にすぐ買取の打診を行い、交渉が円滑に進んだため約2か月半で売却が完了しました。
逆に、複数の相続人間で意見が食い違い、権利調整に時間がかかった事例では9か月以上かかったケースもあります。

Q2:借地権者との交渉は誰がする?

【回答】
基本的には、専門家(専門の不動産会社、弁護士)が借地権者との交渉を全て引き受けてくれるので安心です。

専門の不動産会社に依頼する場合は、価格や条件のすり合わせから契約書の作成まで一括で任せられることが多いです。

弁護士に依頼する場合は、立退き交渉や未払い金の請求など、より法的な対応が必要なケースもサポートしてもらえます。

ある地主さんは「感情的になりそうで不安だ」と悩んでいましたが、専門業者に交渉を一任したところ、直接やり取りすることなく無理のない条件で合意に至りました。このように、交渉を自分で行わなくても問題ありません。

Q3:相談だけでも費用はかかる?

【回答】
専門の不動産会社の場合、相談料は無料のケースが多いです。弁護士に依頼する場合は、初回相談が30分から1時間で5,000円前後かかる場合もありますが、無料相談を設けている事務所も増えています。

「話を聞くだけでは申し訳ないのでは?」と心配される方も多いのですが、多くの場合、「まずは相談だけ」という進め方が一般的です。費用が発生するかどうかは事務所ごとにルールが違うため、予約のときに確認しておくと安心です。

Q4:底地を売ると税金はどれくらいかかりますか?

【回答】
売却した際に利益(譲渡所得)が出る場合、譲渡所得税がかかります。税率は所有期間によって異なり、5年以下の短期所有の場合は約39%、5年を超える長期所有の場合は約20%が目安です(※)。

たとえば、底地を長期保有していて1,000万円の譲渡益が出た場合、約200万円が課税対象になります。ただし、取得費や仲介手数料などを経費として差し引けるケースもあり、最終的な税額は個別に計算が必要です。

また、特例や控除が適用できる場合もありますので、売却を検討する段階で税理士に相談しておくと安心です。

※補足:所得税と復興特別所得税、住民税を合わせたおおよその税率です。内訳は以下の通りです。
・短期譲渡所得:所得税30% + 復興特別所得税(所得税額の2.1%) + 住民税9% = 39.63%
・長期譲渡所得:所得税15% + 復興特別所得税(所得税額の2.1%) + 住民税5% = 20.315%

Q5:相談内容が家族や借地権者に知られることはありますか?

【回答】
基本的に、相談内容が第三者に漏れることはありません。個人情報保護の観点から厳重に管理され、無断で情報が開示されることはありません。

「家族に知られたくない」「借地権者に先に知られるのは避けたい」という希望がある場合は、連絡手段や郵送物の送り方を工夫することも可能です。封筒に事務所名を記載しない、電話ではなくメールで連絡するなど、プライバシーに配慮した対応を依頼できます。

Q6:借地権者が買取に応じない場合はどうなりますか?

【回答】
借地権者が買取に応じない場合でも、底地を売却する選択肢は残っています。借地権付きのまま第三者に売却する方法や、条件を調整して借地権者と再交渉する方法など、いくつかの進め方があります。

以前、借地権者から「予算的に難しい」と断られた地主さんは、専門業者に依頼して借地権付きのまま一括で売却しました。この場合は価格がやや下がることがありますが、権利関係を整理する負担を減らすことができます。

まとめ|底地・借地問題を安心して解決するために

底地・借地問題を安心して解決するために

底地・借地問題は、複雑な権利関係や相続、借地権者との交渉など、専門知識が求められるテーマです。「何から始めればいいのか分からない」と不安を抱える方が多いのも当然のことです。

しかし、信頼できる専門家に相談し、適切な手順を踏むことで、想像以上にスムーズに解決へと進めることができます。

今回の記事でお伝えしたように、

  • 専門性や実績を見極めること
  • 料金体系や契約条件を明確にすること
  • プライバシーに配慮しながら進めること

これらを一つずつ確認していけば、トラブルを未然に防ぎ、安心しながら一歩ずつ進めていけるでしょう。

「まだ依頼するか決められない」という段階でも、一度相談して現状を整理するだけで気持ちが軽くなることも多いものです。今回の内容を参考に、後悔のない選択を進めていただければと思います。

将来の相続や資産整理を考える上でも、早めに行動を起こすことが大きな安心につながります。一歩踏み出すきっかけとして、この記事がお役に立てれば幸いです。

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