「底地を買い取りたい借地人さん」「借地権を買い戻したい地主さん」どんな方法があるか?

2019.10.01

借地人さんと地主さんは、切っても切れない関係です。地主さんは借地人さんの建物が建っている限り、その土地を自由に使うことはできませんし、借地人さんも地主さんの許可なしには、建物の建て替えや権利譲渡ができません。
その底地、借地を所有している限り、何か行動を起こすにはお互いの承諾が必要になるのです。
借りている立場である借地人さんは、地主さんよりも立場が弱いと思いきや、平成4年施行の借地借家法施行以前、つまりほとんどすべての土地は、強く借地人さんの権利が認められています。
では、借地人さんや地主さんがその関係を解消したくなったら、どのようにすればいいのでしょうか?
今回は、借地人さん、地主さん、それぞれの立場から何ができるか、ご説明します。

借家

相続を考えると解消したい地主さんと借地人さんの関係

地主さんが借地関係を解消したいと思っても、借地人さんが住み続けるつもりでいれば、ことは簡単に進みません。実際にその借地に住んでいるのは借地人さんで、無理に移動させることはできないからです。

一方、借地人さんも使う権利があるとはいえ借りている立場です。契約期間の30年経過後は、20年ごとに借地契約の更新が訪れます。地主さんと借地人さんとの間の契約ですから、世の中の状況によって、いくら更新料を請求されるのかはその段になってみないとわかりませんし、地代の値上げを要求されることもあるでしょう。
バブル崩壊後に地価が大きく下落しましたが、固定資産税はそれとは無関係に上昇傾向にあります。したがって地主さんの多くは、少なくとも固定資産税の上昇幅くらいは地代をあげたいと思っているはずです。
場合によっては相続人がおらず、底地(地主さんが持っている貸地)を国に物納されてしまったり、第三者に売却されたりする可能性もあります。

そういったことを考えると、地主さんと借地人さんは常に円満な関係を築いておかなければなりません。そして、お互いの状況をしっかりと把握し、借地関係を解消すべきタイミングを探っていきたいところです。

地主さんと借地人さん、いい関係を保つには?

これには特効薬などありません。とにかく「相手の事情や気持ちをよく理解した上で、当事者同士が腹を割って話す」、これしかありません。
たとえこのような交渉ごとが苦手であっても、借地人さんの側はなるべく本人が出向きたいものです。かなり高齢や病弱というのであれば、その親族(配偶者や子など)に任せた方がいいでしょう。最初から弁護士同伴、というのはおすすめできません。理由は相手が強く警戒するからです。
また、士業者だからと言ってすべて分野に詳しいわけではなく、得意不得意があります。資格の有無だけでなく、不動産や土地の取り扱いに精通している人を探すのも大切です。

一方、地主さんの側には多くの場合、底地を管理している不動産屋さんがいるものと思います。彼らは底地の整理等を通じての仲介手数料の収受をも目的としています。したがって地主さんの事情はもちろん各借地人の事情をも把握し、円満に借地関係の解消をまとめるべくこのビジネスチャンスを狙っています。であればそこに任せるのが一番といえます。
こうした不動産屋さんがいないのであれば、冒頭に述べたように「腹を割って話す」のがいいでしょう。

借地関係解消にはどんなやり方があるの?

地価の低下

昔の土地神話の時代と異なり、今や都心部などの一部を除き、地価は下落傾向が続いています。そのため基本的には地主さんも借地人さんも、思い通りにならない借地権や底地を換金したいと考えている場合も多いだろうと思われます。
ただしそれには借地関係を整理した上での、更地価格ベースの換金を考えているはずです。なぜかというと、借地権単独、底地単独の売却ではその売り値はかなり低くなってしまうからです。
借地関係の解消には、具体的に次の4通りの手法があります。

  1. 借地人さんに底地を買い取ってもらう
  2. 地主さんが借地人さんの借地権を買い取る
  3. 地主さんと借地人さんが協力して第三者に売却する
  4. 借地権と底地の一部交換によって土地を二分割し、完全所有権化する

このうち、今日最も多く行われているのは3です。

参考記事
底地はどうやって整理すればいいの?/『底地を整理して収益資産に組み換えよう』より

借地を買い戻したい地主さん、どうしたらいい?

地価の上昇を期待できない今日、地主さんは自分の思い通りにならない底地を「できることなら更地価格をベースとした値段で換金したい」または「いつでも換金できるように借地を買い戻しておきたい」と考えているはずです。
もちろん、今すぐに底地を単独で売ろうとすると、借地権付きの底地は、更地価格には程遠い低い金額になってしまいます。税金の支払いに困り、底地の物納を検討している方もいらっしゃいますが、近年の改正でそれもかなり困難になりました。
そう考えると、早い段階で借地関係の解消をするほかありません。
となれば、いずれは借地関係を解消することを視野に入れ、日頃から借地人さんと円満に付き合いながら先方の事情を把握しておきましょう。

  • 借地人さんがご高齢であれば、亡くなった後、借地をどうするつもりなのか
  • 家屋が老朽化していれば、その対策はどうするのか
  • 借地面積が広ければ、上記4の「借地権と底地の一部交換によって土地を二分割し、完全所有権化する」余地はあるのか

など、相手の状況を確認し、いざというときの対応を考えます。
また、更新時期が近いのであれば、「この先、いつまで住むかわからず更新料を払うがもったいない」と考えることが多く、買い取りを申し出るチャンスかもしれません。

なお底地を管理する業者さんとの契約によっては「業者が行うのは地代や更新料の徴収だけ」ということもあります。その場合は無理に頼むより、借地関係の解消に精通している人を探すのが解決への近道です。

地主側の相続が近いなら早いうちに対策を

砂時計

地主さん側に相続発生が近いとなると、しっかりした準備が必要となります。とはいえ、予想する相続税額が金融資産で支払えるのなら、そう慌てる必要はありません。しかし財産のほとんどが不動産で金融資産が少ないのであれば、急いで借地関係の解消に着手したほうがいいでしょう。
しかしこの話は早急にまとまるものではありません。まとまったとしても不利な条件を飲まざるをえない可能性もあります。
そうならないためにも、借地関係の解消は早めに行っておきたいところです。また中には「管理が面倒な底地の相続はしたくない」という考えの相続人もいます。相続人となる人の意思確認も含め、やはりこの作業は積極的にやっておくべきだと思います。

底地を買い取りたい借地人さん、どうしたらいい?

お互いが自由にならない土地を所有する借地関係の解消は、双方にメリットがあります。すぐにどうこうするわけでなくても、「いつでも相場価格で換金できる」という安心感が得られます。

一般的には底地を買い取ってそこに住み続けるよりは、地主と共同で売却するというケースが大半であろうと思います。この解消策は、借地人にとって大きなメリットがあります。それは、税金の特別控除です。
居住していた借地を借地人さんが売却する場合には、譲渡所得における居住用財産の3,000万円の特別控除等の適用があるのです。これは、底地を買い取ってこれを100%所有にしてから売却する場合を含みます。底地を買い取ってから何年経っていても適用されます。

円満な関係を維持しつつ、話し合いを持とう

借地人側から借地関係解消を申し出る際にも、「買い手の事情や気持ちをよく理解したうえで、当事者が腹を割って話す」ことが大切です。円満な関係を維持しつつ、タイミングをみてきちんと話し合うのが基本でしょう。
注意してほしいのは、地主さん側の相続発生などのタイミングで、借地関係の解消の申し入れがあったら「変に相手の弱みをつくようなことをしてはならない」ということです。
解消に応じるのであれば一般的な相場にしたがい、住み続けるつもりなら丁寧にお断りします。ここで強気に出て、相場とはほど遠い条件を突き付けると、借地関係の解消がなされないばかりか、両者の関係に致命的なひびが入り、今後の借地関係に致命的なマイナスとなりかねません。

借地、底地関係を解消した成功例

※プライバシー保護のため、一部設定を変更してます。

地主 : 西山さん77歳
借地人: 杉本さん45歳

底地の買い取り相談
地主の西山さんは高齢で、一人息子は「数年後に海外勤務の可能性が高い」と言っています。
一方、借地人である杉本さんは、子どもの頃からこの借地に住み、亡くなったお父さんから借地を相続しました。杉本さんだけでなく、奥さんと子どももこの土地に愛着があるため、ずっと住み続けたいと思っています。
今回は地主の西山さんからアクションを起こしました。底地はいずれ息子が相続することになります。そうなったときに海外在住だと管理が大変だと思ったからです。

幸い、借地人の杉本さんは、お父さんから相続した今も、地代の滞納もなく使ってくれています。
そこで西山さんは、底地を買い取ってくれないか、杉本さんに相談を持ち掛けました。

杉本さんは地主の西山さんとの関係も良好で、これからも地代を払ってずっと住まわせてもらうつもりでした。西山さんからの話は寝耳に水で、この土地を買って自分のものにするなど、夢にも思っていませんでした。

まず気になったのがその価格です。住宅地として人気のエリアなので、自分に支払えるのか心配でした。ローンを組めたとしても後の建て替えに費用が掛かることも考えると、簡単には受け入れられません。

借地権の価値は高い。ローンの支払いも地代プラス数千円ほどで済む

この土地の更地価格は100万円/坪、杉本さんの家は30坪なので3,000万円です。しかし、杉本さんがまるまる3,000万円を支払うわけではありません。
借地権割合が60%の土地なので、それを基に計算すると、地主である西山さんの持ち分は約1,200万円です。今回、西山さんは、その額を負担してくれれば、杉本さんに譲ろうと思っています。
1,200万円で3,000万円の価値がある土地を購入できるのですから、杉本さんにとっても悪い話ではありません。更新料や建替承諾料の支払いも考えると、購入すればその必要もなくなり、相場価格の1/3以下で手に入ると思うととても魅力的です。
ローンの支払いを30年で試算しても、相続した遺産から300万円出せば、月々のローンの支払いも、元々支払っていた地代プラス数千円で済みそうです。購入すれば地代の支払いがなくなり、自己所有の土地になるのですから、杉本さんにとっては大きなメリットがあります。
西山さんにとっても、自分が亡き後、海外在住の息子に土地の管理を任せるのは心苦しく、現金で遺産を残せることで、先々への不安が解消されます。

こうして、地主さん、借地人さん双方にとって良い形で、借地関係を解消することができたのです。

参考記事
借地人が払うのは地代だけじゃないの?

底地購入や借地権購入を持ち掛けられたら、落ち着いて判断を

考えてもみなかった提案を受けると、人は戸惑い、つい断ってしまいがちですが、そこは一度保留にしてよく考えてみましょう。借地権割合から大きくかけ離れた額ならば、お断りしてもいいですし、適正だと思われる価格で交渉してもいいのです。

どちらかの気が向いたときが、双方にとって自由にならない借地関係解消のチャンスです。
「数年前に申し入れを断ってしまったけれど、今思うとあのとき売って(買って)おけばよかった」というのは良く聞く話です。その機会を無駄にしないように、状況を把握し、じっくりと検討することをおすすめします。

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