【税理士監修】底地を投資物件として購入するときのメリット・デメリット
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近年、投資物件としての「底地購入」が注目されています。
底地を購入するときは、借地人との関係を調整したり、契約条件を把握したりするほか、将来的な建替え・更新・売却の制約を調査するなど、一般の不動産投資よりも時間と手間がかかる可能性があります。
本記事では、投資目的で底地を購入するときのメリットとデメリットを解説します。
目次
「底地投資」とは|基本と仕組み

底地投資とは、借地人が建物を所有し、地主が土地のみを所有している「底地」を投資物件として購入することです。
借地人から地代を受け取りながら土地を保有し、更新料や承諾料といった収益を得られます。ただし、安定して運用するには、借地契約に基づく権利調整や将来的な活用制限を理解することが大切です。
底地と借地の違いとは
「底地」とは、所有者は地主だけど、他の人に貸している状態の土地のことです。
地主は借地人から地代を受け取ることができますが、借地人の建物が建っているため、自分の土地を自由に使ったり売ったりしにくいという特徴があります。
「借地」とは、借地人が地主から土地を借りて、その上に自分の家などの建物を建てている状態を指します。
建物は借地人のものですが、土地は地主のものなので、建替えや増改築、売却する際には地主の承諾が必要です。
底地投資のビジネスモデル
底地投資の主な収益源は、次のとおりです。
・借地人から得る地代
・契約更新料
・建物の増改築・名義変更時に発生する承諾料
将来的に底地と借地権を一体化できれば、更地として高く売却できる可能性もあります。
底地投資は一般的な賃貸経営に比べて管理の手間が少なく、安定した収入が期待できる一方、土地活用の自由度が低く、流動性や収益性には注意が必要です。
底地投資のメリット

底地投資には、他の不動産投資にはない独自のメリットがいくつかあります。
安定した地代収入が得られる
底地のメリット1つ目は、、借地人から毎月安定して地代収入を受け取れることです。
借地契約は一般的に20年〜30年といった長期契約が多く、契約期間中は地代が継続的に入ってくるため、家賃変動や空室に悩まされにくいのが魅力です。
借地人は建物を所有し、自宅として住んだり、事業用として利用したりしているため、簡単に退去しない、つまり収入が途切れにくいという特徴があります。
通常の賃貸経営では、入居者の入れ替えによる空室の発生や、家賃の下落が課題になりますが、底地ではそのような問題はあまり発生しません。
また、更新料や承諾料(建替え承諾、増改築承諾、譲渡承諾など)が発生し、臨時収入が得られるケースもあります。できるだけ価額収益を安定させたい投資家にとって、底地は比較的リスクが少ない資産と言えるでしょう。
管理や維持の手間が少ない
通常の賃貸経営では、以下のような管理業務が発生します。
・建物の老朽化による修繕費の負担
・入居者からの騒音トラブル
・家賃滞納への対応
・設備故障の修理手配
・退去時の原状回復 など
特にエアコンや給湯器の交換、雨漏り対応のような突発的なトラブルは、大家さんにとって大きな負担になるでしょう。
底地投資の場合、地主さんは土地のみを所有し、建物の所有・管理・修繕はすべて借地人が行うため、管理トラブルに巻き込まれる心配がほとんどありません。
修繕費用も、原則借地人が負担するため、急な出費が発生しにくいのも特徴です。
遠方に住んでいる地主さんや高齢の方でも、底地なら比較的安心して所有・運用できるでしょう。
固定資産税・相続税の優遇を受けられる
底地は、同じ面積の更地と比べると、固定資産税や相続税の評価額が低く抑えられる傾向があります。
相続税の優遇事例
- 「小規模宅地等の特例」に該当すると、底地の評価額が最大50%減額されます。例えば200㎡までなら評価額が50%減額されます。
- 借地権割合を用いた評価減が認められ、土地所有者(地主)は自用地より低い評価額になるため、相続時の税負担が大きく減少します。
固定資産税での優遇例
- 底地は「建物が存在する土地」として原則住宅用地特例(200㎡まで評価額が1/6、それ以上は1/3)などの軽減措置が適用されるため、通常の更地より固定資産税が安くなります。
- 底地を賃貸事業用地として活用し続けることで、軽減措置の恩恵を引き続き受けることが可能です。
臨時収入(承諾料・更新料等)の可能性
借地契約の更新時や、借地人が建物の増改築・名義変更などを行う際、地主は「承諾料」や「更新料」を受け取れる場合があります。
具体例
- 借地人が建物を建て替える際、地主の承諾が必要となり、承諾料が発生
- 借地契約の更新時に、更新料を受領
底地投資のデメリット・リスク

底地に投資すると、地代収入を安定して得ることができたり、比較的低い価格で取得できたりと、さまざまなメリットがあります。一方で、他の不動産投資とは異なるリスクが存在することも忘れてはいけません。
底地への投資は、借地人との関係や契約内容に左右されやすく、思い通りに活用できないケースもあるのが実情です将来的には、建替え・更新・売却に制約が生じる可能性もあるため、投資先を慎重に見極める必要があります。
ここでは、底地投資で注意すべきデメリットやリスクについてわかりやすく解説します。
土地活用の自由度が低い
底地は借地権が設定されているため、地主が自由に土地を使うことができません。
地主が自分で建物を建てたり、土地を更地にして売却したりするには、借地人の同意や立退きが必要です。
特に「普通借地権」の場合、借地人は法律で強く保護されており、契約期間満了後も正当な事由がなければ契約が自動的に更新されます。
地主の都合で契約を終了させることは、現実的には非常に難しいのが実情です。
売却が難しく流動性が低い
底地は、一般の土地と比べて売却が難しい傾向があります。
土地の上に借地権が設定されており、地主の自由度が低いため、購入希望者が見つかりにくいのです。
底地の売却先としてよくあるのは、土地を借りている借地人です。しかし、借地人が購入を希望しないときや資金面の余裕がないときは、売却が難しくなります。
また、底地の売却価格は更地価格の10~20%程度に抑えられることが多く、投資した費用を回収するのに時間がかかるリスクもあります。
地代の値上げが難しい
底地の地代は、契約時に決めた後は長期間そのままになるケースが多く、周辺の地価や税金が上昇しても簡単に値上げできません。
地代を増額するには、固定資産税や地価の上昇など、合理的な理由が必要であり、借地人との交渉がうまくいかない場合は、調停や裁判に発展することもあります。
インフレや税負担の増加に対して地代収入が追いつかず、収益性が低下するリスクがあるのも、底地へ投資するデメリットです。
借地人とのトラブル・リスク
底地は契約期間が長くなりやすいため、底地への投資は、地主と借地人の関係が長期間続くことが前提になります。契約期間が長いぶん、次のようなトラブルが発生する可能性がある点も留意しておきましょう。
・地代の滞納や支払い遅延
・契約更新料や承諾料をめぐるトラブル
・借地人が地主の承諾なく建物を増改築・譲渡した
・相続や共有名義による権利関係の複雑化
特に、契約書が古いときや内容が曖昧な場合、地主と借地人の間での認識のズレが生じ、トラブルが深刻化するケースもあるでしょう。
契約内容を明確にし、借地人との信頼関係を構築することが大切です。
税負担や相続時の注意点
底地は評価額が低いため税金面でのメリットがあります。しかし収益性が低い場合は税負担が重く感じられることもあるでしょう。
また、相続時には底地の権利関係が複雑化しやすく、共有名義になった場合には売却や活用が難しくなる点も、ご注意ください。
底地投資で失敗しないためのポイント

底地投資のメリットを活かし、デメリットやリスクを最小限に抑えるには、事前準備をしっかりと行うことが大切です。
ここでは、底地投資で失敗しないために押さえておくべきポイントを解説します。
契約内容・権利関係の確認
底地の権利関係は複雑で、契約内容によっては将来の活用や売却に大きな影響を及ぼします。
底地を購入する前にに、次のようなことを確認しておきましょう。
・契約期間
・地代
・更新料
・承諾事項
・契約解除条
・借地権の種類(普通借地権・定期借地権)
・借地人の属性や信頼性
・過去のトラブル履歴
・契約書は書面で残っているか
・地代や更新料の設定は適切か
・借地人の同意なく土地の売却が可能か
・権利関係者が複数いる場合、全員の同意が必要か
情報の集め方が分からないときや、どのように判断すれば良いか悩むときは、不動産や法律の専門家に相談することをおすすめします。
適正な地代設定と収益性の見極め
底地投資の収益性は、地代の設定と税金・管理コストとのバランスに大きく左右されます。
地代が安すぎる場合、固定資産税や都市計画税などの支出が収入を上回り、赤字になるかもしれません。
地代の相場は、周辺の取引事例や土地の評価額、借地契約の内容などを参考に、適正な水準に設定されているか確認しましょう。
必要に応じて、地代の増額交渉ができるか考えたり、将来的な収益見通しもシミュレーションをしたりしておくことも大切です。
出口戦略(売却方法・相続対策)の検討
底地投資は、購入時だけでなく、将来的な売却や相続も見据えた「出口戦略」も重要です。借地人との関係性や資金状況によっては、希望通りに売却できない場合もあるため、複数の選択肢を検討しておきましょう。
売却には、このような方法があります。
借地人へ売却
借地人に底地を買い取ってもらう方法です。交渉がまとまりやすく、売却価格も比較的高くなる傾向があります。権利関係が一本化されるため、地主と借地人の双方にメリットがあります。
底地専門の不動産会社へ売却
権利調整が得意な専門会社へ売却する方法です。スピード重視の売却が可能で、借地人との交渉が不要な場合もあります。価格は相場よりやや低くなる点が特徴です。
投資家(底地投資家)へ売却
高利回りを求める投資家が底地を購入するケースです。権利関係を理解している買い手が多く、現状のまま売却できます。ただし、売却価格は借地人に売るより低めです。
借地権者と「等価交換」
底地と借地権を交換し、それぞれが完全所有権の土地を取得した後に売却する方法です。整理後は更地扱いで売却しやすくなります。ただし評価調整など専門的な手続きが必要です。
底地と借地権をまとめて第三者へ売却
地主と借地人が協力し、権利を一括で第三者に売却する方法です。更地に近い扱いになるため高値がつく可能性があります。ただし、地主と借地人双方の合意形成が前提です。
底地を売却したいときは、経験豊富な不動産コンサルティング会社へ相談しましょう。
底地は権利関係が複雑なため、一般的な不動産とは評価方法や売却手続きが大きく異なります。
一般的な不動産業者では、対応が難しいこともあるでしょう。
実績が多数ある不動産コンサルティング会社であれば、借地人さんとの交渉方針や売却方法も最適なご提案が可能です。
底地売買は不動産コンサルティング会社へ依頼しよう

「底地」の売買契約は、形式上は通常の土地売買契約と同様に締結できます。
底地の買主は、所有権移転と同時に貸主(地主)としての地位を承継し、売主が締結していた借地契約をそのまま引き継ぐ義務を負うため、契約書の条項には慎重な検討が欠かせません。
底地契約では、下記の事項を明確にする必要があります。
・賃借人への敷金
・預り金の承継
・地代や公租公課の起算日
・借地契約の内容(更新条件・建替え承諾・禁止事項など)の確認
・賃借人への通知方法・時期
適切な契約を締結するためにも、底地の媒介は実績豊富な不動産コンサルタントへ相談しましょう。
【まとめ】底地投資を検討する際のアドバイス
底地投資は、地代収入や税金面での優遇、管理負担の少なさといったメリットがある一方、土地活用の制限や売却の難しさ、借地人とのトラブルリスクなど、特有のデメリットも存在します。
地主・借地人双方の立場や事情を理解し、公平かつ実践的な解決策を検討する姿勢が、長期的な資産運用の成功につながります。
底地投資には独自の魅力と難しさがありますが、事前に情報収集を行い、適切に準備していれば、安定した収益と資産価値の向上を目指すことも十分可能です。
底地投資を検討している方は、ぜひ経験豊富な不動産コンサルティング会社へご相談ください。
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