地積規模の大きな宅地と広大地について

地積規模の大きな宅地,広大地

相続コンサルタント会社 ニーズ・プラスコラム担当の野呂です。

広大地とは、所有している土地の広さが、周辺地域の標準的な宅地の面積と比べて広い土地を指します。広大地には、土地の売買などにおける制約が、一般的な宅地よりも多いため、その点を考慮して相続税や贈与税を安くしようという趣旨で設けられたものを「広大地の評価」といいます。

2017(平成29)年、それまで広い土地の評価基準として定められていた「広大地の評価」を廃止し、「地積規模の大きな宅地の評価」が新たに設けられました。この制度は、2018(平成30)年1月1日以後に発生した相続や贈与において、広い土地を取得した場合の税金の算出基準として適用されます。

ただし、2017(平成29)年12月31日以前に発生した相続で、2018(平成30)年1月1日以後に相続税の見直しの請求を行う場合には、改正前の「広大地の評価」で宅地を評価します。

このコラムでは、「広大地の評価」が改正に至るまでの経緯や問題点に触れつつ、「地積規模の大きな宅地」についても解説していきたいと思います。

「広大地評価」の定義と問題点

「広大地評価」の定義

「広大地評価」とは、どのような制度だったのでしょう。

広大地評価とは、1994(平成6)年から2017年(平成29)年の間まで適用されていた、面積の広い土地に対する評価基準です。所有している土地の面積が、周辺地域にある他の宅地に比べて著しく広く、自治体が道路などを造成しようとする場合の費用負担が必要と認められるものをいいます。

「広大地評価」の問題点

広大地評価には、「広大地の評価」に関する国税庁の通達の解釈をめぐって、さまざまな問題が発生していました。その内容を、国税庁ホームページのタックスアンサーより引用してみます。

「広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除かれます。」(財産評価基本通達24-4

この文章を一読しただけでは、広大地に関する評価基準がざっくりしすぎていて、よく分かりません。読んでいると、次のような疑問が浮かんできます。

  • 「その地域の標準的な宅地の地積」とは、どのくらいの広さの土地を言うのか。
  • 「開発行為時の公共公益施設用地の負担」、つまり宅地として開発する土地に道路を造成する必要はあるのか。
  • 「中高層の集合住宅等の敷地用地に適する土地」とは、どんな土地を指しているのか。

特に、1.「その地域の標準的な宅地の地積」と3.「中高層の集合住宅等の敷地用地に適する土地」に関しては、不動産鑑定士にとって最も解釈が難しいポイントになっています。また、相続した土地に対する広大地評価の適用可否をめぐって、税務署と相続税納税者の間で裁判になることが多く、判例も豊富に存在します。

こういった事情から、物件によっては不動産鑑定士が広大地に該当するか判断に苦慮するなどの問題が頻発しました。国税庁は広大地評価の基準を見直したのち、2017(平成28)年に新たに「地積規模の大きな宅地」を設けました。

「地積規模の大きな宅地の評価」とは

「地積規模の大きな宅地の評価」とは、地積規模の大きな宅地、つまり広い宅地を相続したり贈与を受けたりした場合に、相続税や贈与税の税額を計算する際の基準となる相続税評価額を安くしようという制度です。

「地積規模の大きな宅地の評価」では、評価する土地の目的別の区分(地区)と土地の個性(土地がどの程度道路に接していて、どんな形状をしているかなど)のみで適用可否を決めることになりました。また、面積の広さにも一定の基準が設けられたことで、以前よりも評価額が計算しやすくなりました。

「地積規模の大きな宅地の評価」を適用するには、三大都市圏(※)では500m2以上、三大都市以外の地域では土地の面積が1,000m2以上あることや、「普通住宅地域」・「普通商業・併用住宅地域」に所在することなどが条件です。

詳細な判断基準につきましては、国税庁のホームページをご参照ください。

※三大都市圏(さんだいとしけん):首都圏整備法で定められている既成市街地または近郊整備地帯、近畿圏整備法で定められている既成都市区域または近郊整備区域、中部圏開発整備法で定められている都市整備区域。

地積規模の大きな宅地と広大地

なぜ広い土地は評価額が下がるのか?

そもそも、なぜ広い土地は評価額が大きく下がるのでしょうか。

広い土地は、相続税評価額を算出するときに、土地の評価額を減額する「補正率」というものが採用されます。補正率には、面積が広すぎることによる利便性の低さや、土地を区画割りしたときに、いわゆる潰れ地(敷地内の道路など)ができることで、広い土地の価値が下がることなどを考慮したものです。

こういった背景が土地の評価にマイナスに作用して、土地の面積が広くなればなるほど評価額が下がっていきます。

広い土地をお持ちの地主さんは、専門家にご相談を

新たに広い土地の評価基準として定められた「地積規模の大きな宅地の評価」は、以前の「広大地の評価」に比べると、どんな土地であれば適用可能か、その判断基準が明確になりました。

しかし、以前は広大地と認められていた土地でも、地積規模の大きな宅地の評価基準にあてはまらず、相続税評価額が高くなってしまう場合があります。逆に、広大地と認められなかった土地が、地積規模の大きな宅地の評価では認められ、相続税評価額が安くなるケースもあります。

面積が広い土地をお持ちの地主さんで、相続や贈与をお考えの方は、相続税に詳しい税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをおすすめします。

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