固定資産税が6倍に⁉︎相続した実家が空き家になってしまったら

2019.05.13

1970年代の高度経済成長期には、東京からかなり離れた郊外にも多くのニュータウンが開発されました。皆、新しい街並みに夢膨らませ、憧れたものです。
それから数十年、そこに住まう人たちの高齢化が問題になってきています。子世代は独立し都心に居を構えることが多く、その結果、ニュータウンには親世代だけが残り、街には高齢者が目立ちます。配偶者を亡くし単身世帯になったり、高齢者だけの生活が難しくなったりすると住民は去り、空き家になってしまいます。
一方で、地方都市の空き家増加も深刻です。若い世代が都会に出たまま戻らず、親が亡くなると住む人がいなくなります。
空き家の状態が長く続くと、害虫や伸び放題の草木により、近隣から苦情が出始めます。何とかしなければとは思っていても、更地にする経済的な余裕もないし、建物を壊すと固定資産税が高額になると聞くし、と頭を悩ませていませんか?

今回は、空き家が増加した背景と、対策としての法律、空き家を相続した場合の対策についてお伝えします。

雑草の生えた空き家

日本の空き家率はどれくらい?

日本では5年に一度、住宅・土地統計調査が行われます。総戸数に対して、住宅の数の方が多い状況にあり、最新の平成30年の調査では、空き家率は13.6%でした。
諸外国と比べてもこの数字は高く、早期に解決しなければならない課題です。

同じ空き家でも違いがある

特に問題なのは、築数十年経ち、空き家歴が長い家や、高齢者の独居で手入れが行き届いていなかった家です。このようなメンテナンスをしないと住めない家は、住んだり、売ったりするのも難しくなります。そして、更地にするにも費用がかかるため、問題を先送りにしがちです。

空き家の内訳は、以下のようになっており、「その他の住宅」347万戸が上記のような「空き家」であると推測されます。

空家の内訳
賃貸用の住宅     431万戸
売却用の住宅       29万戸
二次的住宅(別荘など)  38万戸
その他の住宅     347万戸

参考リンク
総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」

なぜ空き家が増えているのか?

大きな要因の一つは、日本の人口が減り続けていることです。平成31年現在、前年同月と比べると27万人減少しています。これは、東京都墨田区の住民が一年で丸ごと消えるほどの人数です。

日本の1世帯あたりの人数は平均2.20人。この数字は何を意味するのでしょうか。
このデータから、一人暮らしや夫婦二人の世帯が多く、二世代以上が一緒に住むケースが少なくなっていると推測できます。

それゆえ、単身者もしくは少人数世帯向けの需要はありますが、ファミリー向けの広い戸建やマンションの需要は減っています。特に、間取りが古い上、部屋数の多い築年数の経った家は余りがちです。
また地震国である日本には、堅牢に建てられた住宅を補修しながら長期に渡って使うという文化が浸透していません。築30年ほどで新築に建て替えるのが一般的ですし、そもそも海外のように100年以上使うようには建てられていないので、リフォームより新築の方が安くなる場合もあります。どうしても中古住宅に買い手がつきにくいのです。

そして、空き家が増えている背景には、さまざまなケースがあります。それに潜む問題とともにご紹介します。

ケース1 ニュータウンの高齢化

1970年代以降、都心で働くサラリーマンのベッドダウンとして通勤1〜2時間圏内にいくつものニュータウンが開発されました。
働き盛りの若い夫婦に子ども達という核家族が新しい住人として、活気にあふれた街を作っていきました。それに伴い、幼稚園や小中学校といった教育施設も建設されました。
しかしながら、20年30年と経つうちに、子どもたちは成長し、進学や就職で街を出ていきました。残されたのは、親世代。その世代の高齢化が顕著になってきました。配偶者が先に亡くなった単身世帯の増加も心配されています。

ニュータウンは緑に恵まれた過ごしやすい立地が売りですが、その分、交通の便はあまりいいとは言えません。
子供達が幼いうちは、のびのびと安全に過ごせて非常に良い環境なのですが、長距離通勤はやはり負担になります。また、生涯独身率が増加したことで、ニュータウンにあるようなファミリー向け住宅の需要減に拍車をかけています。
東京都心でも空き家が増える中、探せば多少値が張るものの住まいはあり、若い世代が都心から遠方の地域にわざわざ引っ越してくるとは考えにくいのです。
住人が減ると、商店街はシャッター街と化し、ショッピングセンターの撤退が相次ぐなど、生活のしにくさも目立ってきています。

ケース2 相続したが住む予定のない家

親の住んでいた古い家屋があっても、子世代はすでに自分で家を所有していて、住む予定のない家を持て余しています。
自己所有の家の方が利便性がよいので、古い実家は賃貸しようと考えるのですが、貸すにしても、リフォームや建て替えをしなければならず二の足を踏み、空き家のままにしがちです。
都市部にあれば子世代にとって魅力的ですが、家が現在の建築基準法に適合しない狭小地目一杯に建っており、建て替えると面積が極端に狭くなってしまうといった問題に直面することもあります。

ケース3 遺産分割が完了していない

遺産分割で話し合いがつかず、不動産を分けられないまま、空き家になっていることがあります。被相続人が遺言書を遺していればいいのですが、そうでない場合、なかなか折り合いがつかず、その間にも家は痛んでいきます。

ケース4 更地にすると税金が高額に

固定資産税の小規模住宅用地の税軽減の特例は、特例というと少数に感じますが、該当する土地は約半数とかなりの数です。
更地にすると特例が適用できなくなり、固定資産税が6倍ほどにはね上がります。そのため、建物の取り壊しを躊躇し、空き家のまま放置されています。

参考記事
土地購入にかかる税金の節税方法
意外と知らない「固定資産税」の話

空き家対策のための法律

管理されていない空き家が増えると、さまざまな問題が発生してきます。
諸外国に習い、新規の住宅建設に規制をかければいいのですが、景気を良くしたい日本政府が規制をかけることはまずないでしょう。
人口が減っている今、若者はどうしても都市部に住みたがります。住む場所がなければ郊外に出るでしょうが、ひと頃に比べ地価水準も下がっているので、探せば通勤に便利な都市部に家がそれなりにあるのです。

ご紹介した4つのケースだけでなく、平成27年の相続税法の改定で税金対策としてのアパート経営が増え、都市部に若い世代を受け入れる住居が増えました。築年数が経った郊外の家はますます買手・借手がつかなくなったのです。
地方でも若者が都会に流出、高齢化が進んでいます。ごく一部の都市以外は、全国的に家が余っている状態にあるのです。

そんな中、2015年5月に空家等対策の推進に関する特別措置法(空家等対策特別措置法)が全面施行されました。

固定資産税の優遇が取り消されたのは0.02%だけ

2014年「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている場合「特定空家等」とし、市町村が空家の所有者に対し必要な措置を講ずるように指導、勧告、従わない場合は行政代執行ができるように定めたものです。

「特定空家等」とみなされ、勧告以上の措置が取られると、固定資産税の優遇措置は取り消されてしまいます。
ただ現状では、勧告以上の措置が取られたのは、法律施行から3年で700件ほど。
この件数から見ると、放置され、悪臭や不法投棄、倒壊の危険性など、よっぽどのことがない限り、固定資産税の優遇措置がなくなることはありません。
勧告以上の措置が出されたのは、問題のありそうな「その他の空き家」のうち約0.02%。全ての空き家へ措置が取られるのは、まだまだ先になるでしょう。

今すぐに固定資産税の優遇がなくなることはないとは言っても、人が住む予定のない空き家を数年ほったからしにすれば、あっという間に荒廃し、「特定空家等」に該当するようになります。荒廃した家屋の処分費は高額になるので、早めの対策が有効です。

参考リンク
空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報(国土交通省)

空き家の発生を抑制するための特例措置

空き家所有者の一助となる特例も施行されています。
2016年施行の「空き家の発生を抑制するための特例措置」は、
『相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、相続人が当該家屋の耐震リフォームまたは取り壊し後譲渡した場合には、譲渡所得から3,000万円を控除する』
という法律です。これは極めて有利になる特例です。ただし、この特例は昭和56年以前に建てられた建物が対象なのでご留意ください。

2019年12月末までの特例措置でしたが、2023年末まで延長し、要件も緩和されました。これまで相続開始直前まで居住していなければなりませんでしたが、介護付老人ホーム等に入居していた場合も対象に加えられ、使い勝手が大変良くなりました。

参考リンク
空き家の発生を抑制するための特例措置(国土交通省)

空き家を荒廃させないための取り組み

特に木造住居は、人が住まなくなると一気に荒廃が進みます。窓やドアの開け閉めがなく、空気が入れ替わらない状態が続くと、室内が湿気っぽくなります。また、人のいない家は、シロアリや害獣の侵入を簡単に許します。
「カビだらけになって初めて雨漏りに気づいた」「部屋に入ったらシロアリに侵食されていたのか床が抜けた」というのはよく聞く話です。
ネズミや害虫の発生は近所に迷惑をかけますし、草木が鬱蒼としてくると、周囲からの視界を妨げ、犯罪の温床となることもあります。
最も近隣に迷惑がかかるのは火災です。荒廃した家は放火犯のターゲットにされやすく、痛んだ配線からの出火の可能性も十分に考えられます。
では、どのような対策をとればいいのでしょうか?

業者に管理を任せる

最近は、空き家の見回りサービスを行う会社が増えています。依頼すると、草刈りや植栽の手入れ、不審者の侵入がないか、窓やドアがきちんと閉まっているかなどの確認をしてくれます。鍵を渡せば、室内の換気や雨漏りチェックまで請け負う業者もあるようです。
地域によっては、シルバー人材の活用により、安価に見回りをしてくれるところもあるので、空き家のある自治体に相談してみるのもいいでしょう。
金額はさまざまですが、遠方住まいでなかなか訪問できない方は利用を検討してはいかがでしょうか?

早いうちに処分を検討する

空き家の取り壊し

相続をした実家を使う予定がないのであれば、前項、3,000万円控除の「空き家の発生を抑制するための特例措置」を利用し、処分を検討しましょう。相続発生から3年ほどで適用できなくなるので、期限間近の方はお急ぎください。
更地で売る場合は、建物の取り壊し費用が回収できれば良しとします。売却時の税金が掛からず、固定資産税の支払いからも解放されます。さらにいつも頭の片隅にあった古家の管理から手が離れ、近隣住民の不安が解消されるのですから、得るものが多いのです。

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