地主さんのための「底地・借地」終活ガイド|元気なうちにやるべき相続・管理対策
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「底地や借地は、この先どうすればいいのだろう…」
そんな不安を抱える地主さんが、近年とても増えています。特に底地や借地は管理や相続でトラブルになりやすく、放置していると大きな負担を家族に残してしまうことも少なくありません。
「まだ元気だから」「自分の代では問題ない」と思って先送りしていると、いざ体調を崩したときや相続のタイミングで一気に問題が表面化します。
しかし、元気なうちにきちんと準備をしておけば、こうした不安やリスクはしっかり減らせます。
本記事では、底地・借地の基本知識から、具体的な終活や相続対策のステップ、借地人さんとの関係を円滑にするコツまで、わかりやすく解説します。
目次
地主さんに迫る底地・借地問題とは

「底地や借地を相続するのは先のこと」-そう思って安心していませんか。しかし時間が経つほど管理や権利の問題は複雑化します。
まず基礎知識とよくある課題を整理していきましょう。
借地権・底地権の基本知識
底地や借地は、どちらも「土地を貸す・借りる」権利が絡む不動産です。しかし、一般的な土地の所有とは異なる権利関係が発生し、管理や相続に独特の難しさがあります。
借地権とは「借りている側の権利」であり、底地権は「地主が持つ土地所有権」のことです。
借地権を持つ借地人さんは、一定の条件で土地を利用できます。
一方で、地主さんは「所有者でありながら自由に土地を動かしにくい」という制約を受けます。
こうした複雑な権利構造は、相続や売却を考えるときに必ず整理が必要です。放置すると「自分が思っていたより権利が制限されていた」と気づく人も少なくありません。

高齢化と管理トラブルの現実
「まだ体力に自信があるから大丈夫」と思っていても、管理業務は年齢とともに負担が増します。
たとえば、弊社にこんな声が寄せられました。
「80歳を過ぎた頃から、借地人への連絡や契約更新の確認が億劫になりました。子どもに頼んでも権利関係が難しいと嫌がられて、結局ずっと手つかずで不安でした。」
※実際のご相談をもとに一部内容を再構成しています。
体調の急変や認知症などで、本人が意思決定できなくなると、契約更新や借地人対応も一気に進められなくなります。
さらに、地主さんが高齢になると、借地人から「今のうちに契約条件を変更したい」と交渉を持ちかけられることも珍しくありません。交渉に慣れていないと、不利な条件を飲んでしまう恐れもあります。
放置で起こる典型的な失敗例
底地・借地を「いずれ子どもたちが何とかしてくれるだろう」と整理しないまま相続を迎えると、
その結果、思わぬトラブルや家族の負担につながってしまうケースが少なくありません。
ここでは、実際にあった事例も交えながら、よくある失敗例を見ていきましょう。
※実際のご相談をもとに一部内容を再構成しています。
納税資金が準備できず、慌てて土地を安値で売却する
Tさんはアパートと底地を複数所有していましたが、特に相続対策をしないまま急逝。残されたご家族は、相続税の支払い期限(10か月)までに現金を用意できず、アパートを不動産会社に急ぎ売却。
結果、収益性の高い不動産が無くなり、底地だけが残りました。納税資金は、早めに確保しましょう。
遺言書がなく、相続人同士で権利の分割協議が長引く
Yさんには2人の息子がいましたが、「特に遺言はいらないだろう」と何も残さずに亡くなりました。底地の相続をめぐり、兄弟で意見が対立。1人は売却を希望、もう1人は維持を希望。
結局、遺産分割協議に1年以上を要し、その間、借地人との更新契約も保留状態になりました。遺言が1枚あるだけで、このような摩擦は避けられることが多いのです。
借地人との契約書を紛失し、トラブルになる
借地人さんとの契約は40年以上前に取り交わしたもので、Kさんは「家のどこかにある」と思っていたものの、いざ相続が発生すると、契約書が見当たらず、借地人との権利関係があいまいに。
借地人側が「更新料は払っていないはず」と主張し、内容証明を送る騒ぎにまで発展しました。契約書の紛失は、地主側が圧倒的不利になるリスクがあるため、必ず早めに整理・保管を。
認知症発症後、成年後見人の手続きが必要になり、さらに時間と費用がかかる
Oさんは管理業務をすべて自分で行っていましたが、体調を崩して入院し、その後認知症と診断されました。借地さん人との契約更新のタイミングでしたが、本人の判断力が不十分となったため、家庭裁判所に成年後見人の選任申立てが必要に…。
この手続きに数ヶ月を要し、その間、契約更新も遅延。さらに専門家への報酬(年間20万円以上)も継続的に発生しています。元気なうちに任意後見や遺言書の準備をしておけば、こうした負担は避けられます。
元気なうちに進める終活のステップ

「終活」と聞くと、何か特別なことをしなければいけないと身構えてしまう方も多いでしょう。実際には、底地や借地の整理は「現状を把握すること」から始まります。
ここでは、元気な今だからこそできる準備の手順をわかりやすく解説します。
資産の棚卸しを徹底する
まず最初に行うべきは資産の棚卸しです。「自分がどんな土地や権利を持っているのか」を正確に把握しないと、何をどう整理するべきかも決まりません。
下記は、資産棚卸しの際にチェックしておくポイントです。
【資産棚卸しチェックリスト】
借地契約書や更新契約書の有無
借地権の内容・更新の条件を把握する重要な書類です。紛失している場合は再発行や契約内容の再確認を早めに行いましょう。
借地人の連絡先・契約条件
相続時や管理委託時に必要不可欠な情報です。誰が借りていて、どんな条件かを家族が分かるように整理しておくのがベストです。
土地の評価額(路線価・固定資産税評価)
相続税や売却価格の算出に関わるため、最新の評価額を確認。複数ある場合は一覧化しておくと、専門家との打ち合わせもスムーズです。
土地に関する借入や担保設定の有無
抵当権や根抵当権が設定されていると、売却や分割に制限が生じます。金融機関との契約書も一緒に保管しましょう。
過去の固定資産税納付状況
納付の有無だけでなく、どのくらいの税額が毎年かかっているかを把握することで、将来的な負担感の見通しも立てられます。
家族と将来の希望を話し合う
「まだ元気だから、話し合いは先でいい」と感じるかもしれません。しかし、意思をはっきり伝えられる今だからこそ、家族に自分の考えを伝えることが大切です。
もしも明日、自分に何かあったら…
家族は底地や借地をどう管理するか知っていますか?
話しにくいテーマですが、
「何を残したいのか」
「どんな形で相続してほしいのか」
一度共有しておくと、家族が判断に迷わずに済みます。
すべてを一度に決める必要はありませんが、最低限これだけは共有しておくと安心、というポイントがあります。以下に、話し合いの際に押さえておきたいテーマをまとめました。ご自身の考えを整理する際の参考にしてみてください。
1. 納税資金の準備状況
相続税は「現金」で支払う必要があるため、その原資をどう用意するかが最も重要です。
生命保険や売却予定資産など、準備していることがあれば家族に伝えておきましょう。
2. 底地を相続させる人を決める
誰が相続するかをあらかじめ決めておくことで、兄弟間の争いや分割トラブルを防げます。特定の相続人に集中させるなら、代償金なども検討材料になります。
3. 将来的に売却を検討するかどうか
家族にとっての負担を減らすために、売却も一つの選択肢です。借地人との関係性や市場価値を考慮して、売却方針を共有しておくと後の判断がスムーズです。
4. 管理や借地人対応を誰に任せるか
高齢になったあとや相続後の実務を誰が担うのかを決めておくと、連絡やトラブル対応も安心。子どもや第三者(管理会社など)を含めた役割分担の話も大切です。
相談先を決めておく
整理や対策を進める際に「誰に相談すべきか」で悩む方は多いものです。
実際、底地や借地の問題は一つの専門家だけでは解決できない場合があります。法律・税金・売却・登記、それぞれ別の視点が必要です。
以下の表で、主な相談先と役割を比較してみましょう。
【相談先の特徴比較表】
| 専門家 | 主な役割 |
|---|---|
| 司法書士 | 登記変更、遺言書作成サポート |
| 弁護士 | 契約トラブル・相続紛争の対応 |
| 税理士 | 相続税の申告・節税アドバイス |
| 不動産会社 | 売却・管理の提案、借地人との交渉支援 |
まずは「相続全体を整理したい」場合は司法書士や税理士、「トラブルのリスクがある場合」は弁護士、「底地の売却や管理」を考えるなら専門の不動産会社へ相談するとスムーズです。
相談先をあらかじめ決めておくことで、いざというときに迅速に動けます。
底地・借地の相続と生前対策

底地や借地は、他の不動産以上に相続トラブルを招きやすい資産です。「うちは大丈夫」と思っている方ほど、事前の備えを怠りがちです。
ここでは、元気なうちにできる対策と、そのメリットを具体的にご紹介します。
遺言書と生前贈与の活用
こうした相続トラブルを防ぐためには、元気なうちに法的な準備を進めておくことが鍵になります。
特に、底地や借地のように扱いが難しい資産は、曖昧なまま相続されると家族に大きな負担を残すことになります。
ここでは、スムーズな相続のために有効な3つの方法をご紹介します。いずれも法的に認められた制度で、実行しやすく、トラブル回避に直結するものです。
※実際のご相談をもとに一部内容を再構成しています。
方法1.公正証書遺言の作成
自筆ではなく公正証書で遺言を作ることで、内容の証明力が高く、家庭裁判所での検認も不要になります。
事例:Yさん
「自分が死んだ後、子どもたちが底地の分け方でもめたら困る」と、公正証書遺言を作成。内容は、長男に自宅と底地を相続させ、その代わり次男には代償金として現金を残すという形に。おかげで相続後の分配がスムーズに進み、借地人への連絡や名義変更も問題なく完了しました。
遺言作成の際は、底地の評価額や代償金の額にも配慮することが大切です。専門家と一緒に内容を精査することで、家族が納得しやすい内容になります。
方法2.生前贈与の活用(暦年贈与)
毎年コツコツと贈与を行えば、相続税の節税にもつながります。特に評価額の高い不動産資産がある場合に有効です。
事例:Mさん
毎年、所有する底地の一部権利を長女へ贈与。年間110万円以下に抑えて、贈与税の非課税枠を活用。「毎年通帳と贈与契約書を残すようにしている」と税理士と連携して実行。数年かけて相続財産を圧縮し、相続時の納税額を大幅に減らすことに成功しました。
贈与契約書は必ず作成し、書面として証拠を残しましょう。金銭贈与なら、銀行振込で記録を残すと信頼性が高まります。
以上、遺言と贈与を組み合わせることで、家族間のトラブルを未然に防ぎ、納税や手続きの負担も軽減できます。「まだ早いかな」と思わず、まずは第一歩として考えてみることが大切です。
底地売却・共有解消の選択肢
底地は「売れない資産」と誤解されがちですが、実は借地人や専門業者への売却という方法があります。これにより、相続税の納税資金や現金化による分割がしやすくなるケースも多いです。
たとえば、千葉県に住む地主の長男・Aさんのケースです。
「父が生前に『長年借りてくれている人に売るのは申し訳ない』とためらっていましたが、思い切って借地人に相談すると、快く買い取ってくれたんです。おかげで相続の際には、税金を現金で支払うことができ、土地を巡るトラブルも一切起きませんでした。」
このように、「売却=悪いこと」と決めつけず、冷静に選択肢として検討することが、家族全体の安心にもつながります。相手に丁寧に話すことで、借地人側も理解を示してくれるケースは少なくありません。
底地のまま相続すると、
・管理の手間
・現金化の難しさ
・評価の不透明さ
が課題になります。
共有解消(相続人同士で持ち分を整理する)も含めて、早めの検討が肝心です。
毎年、所有する底地の一部権利を長女へ贈与。年間110万円以下に抑えて、贈与税の非課税枠を活用。「毎年通帳と贈与契約書を残すようにしている」と税理士と連携して実行。数年かけて相続財産を圧縮し、相続時の納税額を大幅に減らすことに成功しました。
贈与契約書は必ず作成し、書面として証拠を残しましょう。金銭贈与なら、銀行振込で記録を残すと信頼性が高まります。
以上、遺言と贈与を組み合わせることで、家族間のトラブルを未然に防ぎ、納税や手続きの負担も軽減できます。「まだ早いかな」と思わず、まずは第一歩として考えてみることが大切です。
底地売却・共有解消の選択肢
底地は「売れない資産」と誤解されがちですが、実は借地人や専門業者への売却という方法があります。これにより、相続税の納税資金や現金化による分割がしやすくなるケースも多いです。
たとえば、千葉県に住む地主の長男・Aさんさんのケースです。
「父が生前に『長年借りてくれている人に売るのは申し訳ない』とためらっていましたが、思い切って借地人に相談すると、快く買い取ってくれたんです。おかげで相続の際には、税金を現金で支払うことができ、土地を巡るトラブルも一切起きませんでした。」
このように、「売却=悪いこと」と決めつけず、冷静に選択肢として検討することが、家族全体の安心にもつながります。相手に丁寧に話すことで、借地人側も理解を示してくれるケースは少なくありません。
成年後見制度の基礎知識
もし認知症などで判断能力を失った場合、底地や借地の手続きはどうなるのでしょうか。
その際に利用できるのが成年後見制度です。しかし、後見制度は万能ではなく、デメリットもあります。下記は、代表的な2つの制度の比較です。
もし認知症などで判断能力を失った場合、底地や借地の手続きはどうなるのでしょうか。
その際に利用できるのが成年後見制度です。しかし、後見制度は万能ではなく、デメリットもあります。下記は、代表的な2つの制度の比較です。
| 種類 | 内容 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 法定後見制度 | 判断能力が低下した後に家庭裁判所が選任 | 手続きが迅速 | 費用が継続的にかかる |
| 任意後見制度 | 元気なうちに契約を結ぶ | 自分で後見人を指定できる | 発効は判断能力低下後 |
とはいえ、制度の利用にはいくつか注意すべきポイントがあります。特に後見が開始されたあとは、自分自身でも、家族でも自由に資産を動かせなくなる場面があることを理解しておく必要があります。
注意したい点
・いったん後見が始まると、資産売却なども裁判所の許可が必要
・家族が後見人になっても定期報告義務がある
・専門家に依頼する場合、報酬が発生する
元気なうちに準備をする最大のメリットは、この後見リスクを避けられる点にあります。「自分で意思決定できるうちに整理する」ことが、家族と資産を守る一番の方法です。
家族信託
委託者が元気であれば、自分の財産を信頼できる家族に託して管理・運用してもらう「家族信託」もおすすめです。将来の財産管理の方針を決めておけるため、認知症などで判断能力が低下しても資産が凍結することなく、受託者が代わりに契約や手続きを行えます。
一方で、契約内容が複雑で専門知識を要し、司法書士や弁護士などの専門家の支援が必要になる点は注意が必要です。登記や税務の手続きも発生する場合があり、受託者の責任も重くなります。
それでも、相続対策や事業承継を見据えた柔軟な財産管理ができる仕組みとして、家族信託は近年注目されています。早めに検討することで、家族全員の安心につながる選択肢となるでしょう。
借地人さんとの関係をスムーズに保つ方法

底地や借地の終活では、地主さんと借地人さんとの関係性が大きなカギを握ります。契約更新や条件交渉は「いつか話さないと」と思いながら、つい先送りしがちです。
ここでは、信頼関係を保ちつつ安心できる管理を進めるためのヒントをご紹介します。
※実際のご相談内容をもとにしたイメージ事例です
【成功事例】円滑なコミュニケーションの作り方
地主歴40年のKさんは、長年の借地人との関係が自慢でした。ところが最近、更新契約の相談をするだけで胃が痛くなるようになったそうです。
「うちも高齢だからそろそろ条件を整理したい、と言い出したら相手に嫌がられるんじゃないかと思って、なかなか言い出せなかったんです。」
しかし、思い切って定期的にコミュニケーションを取るようにしたことで、お互いに安心感が生まれました。
Kさんが実践したポイントはシンプルです。
・更新時期を事前に知らせる
・書面だけでなく、電話や面談で確認する
・今後の管理方針もざっくばらんに話す
「話してみると、相手も同じように不安を抱えていたとわかりました。」とKさん。こうした小さな積み重ねが、後のトラブルを防ぐ一番の方法です。
【失敗事例】契約更新・条件変更の注意点
底地や借地の契約更新は、長年の慣習に流されてうやむやにしやすいものです。しかし、注意を怠ると大きな問題に発展します。
たとえば…
・契約満了の通知を忘れ、法定更新扱いになる
・口頭で更新条件を決めて、後から「言った・言わない」で揉める
・更新料の交渉を先延ばしにし、相場を見誤る
こうした問題を防ぐには、更新のタイミングを明確にし、書面で条件を残すことが鉄則です。
以下は、実際に地主さんが実践しておきたい具体的な対応のポイントです。どれも難しいことではありませんが、後からやろうと思っても手遅れになりがちな項目ばかりです。
できるものから、ひとつずつ進めてみてください。
1. 更新期日の半年前には借地人に通知する
借地契約の更新には「期間満了の6か月前までの通知」が原則です。万が一この期限を過ぎると、自動的に法定更新となり、借地人に有利な条件が継続されてしまうリスクがあります。
更新時期は手帳やカレンダーだけでなく、家族にも共有しておくと安心です。
2. 契約内容の変更は必ず合意書を交わす
地代の増額や更新料の変更、名義の変更など、口頭で済ませた内容が後々トラブルに発展することはよくあります。
「言った・言わない」の防止には、簡単でも書面を残すことが不可欠です。ひな形が分からない場合は、専門家にチェックしてもらいましょう。
3. わからない点は専門家に事前確認する
借地借家法や契約内容は非常に専門的で、素人判断で対応すると不利な条件を受け入れてしまう危険性もあります。
不動産に強い司法書士・弁護士・不動産会社などに相談し、「念のため聞いておく」くらいの気持ちで確認することが大切です。
どの項目も、「やっておけばよかった」と後悔する前に済ませておくことが何よりの防衛策になります。とくに更新期限の通知と書面化は、実務的なトラブル防止に直結する最重要ポイントです。
安心できる準備を進めるために

底地や借地の終活は、「やらなければ」と思いながら、つい後回しにしがちです。でも、一歩踏み出すことで想像以上に心が軽くなります。
最後に、準備を進める上で知っておきたい心構えや工夫をお伝えします。
心理的ハードルを乗り越える
「何から始めたらいいか分からない…」この不安は、多くの地主さんが共通して抱える悩みです。
Mさんは、相続や管理の話を避けてきました。「土地の話をすると、もう先が短いみたいで嫌だったんです。」
でも、専門家に相談したあとにこう話しました。「いざ準備を始めたら、将来のことを考えるのが怖くなくなりました。」
終活は「死の準備」ではなく、自分と家族を守るための前向きな行動です。小さな一歩から始めて大丈夫。「全部を一気に片付けよう」と思わず、できるところから取り組みましょう。
家族に理解してもらうには
家族に理解してもらうには、「家族にどう話すか分からない」と悩む方も多いものです。しかし、家族が一番不安なのは「何も分からないこと」です。
ある地主さんのご家族は、「父が何を考えているか知らないまま突然相続になったら、きっと揉めていたと思います。」-こう話していました。
「家族会議」と言うと大げさに感じるかもしれません。まずは、身近な家族に気持ちや考えを伝えることから始めてみましょう。「どこまで話せばいいのか」「重くならないか」など心配もあるかもしれませんが、伝える内容に正解はありません。
以下に、家族との会話をスムーズに進めるための基本のポイントをまとめました。
家族に話すときのポイント
・土地の現状を分かりやすく説明する
・自分の希望(売却・管理・相続の方向性)を共有する
・いきなり全部決める必要はないと伝える
行動の一歩を踏み出すポイント
「いつかやろう」は、たいてい「ずっとやらない」に変わってしまいます。最後に、行動を始めるためのチェックリストを用意しました。参考にしてみてください。
行動チェックリスト
資産の棚卸しリストを作る
自分が持っている不動産や権利関係を把握することは、終活の第一歩です。所有地や借地、収益物件の有無まで洗い出して、全体像をつかみましょう。
借地契約書・登記簿謄本を整理する
契約内容や名義の確認はトラブル予防に直結します。古い契約書や登記がそのままになっている場合は、紛失や記載ミスがないか早めにチェックしましょう。
家族に現状と希望を話す
「まだ早い」と思わず、自分の意志を家族に伝えることで、後の判断がスムーズになります。資産の方向性や希望を共有しておくだけでも十分な前進です。
相談する専門家をリストアップする
司法書士、税理士、不動産会社など、相談先によって対応できる範囲が異なります。複数の専門家に目星をつけておくことで、状況に応じて動きやすくなります。
遺言書や生前贈与を検討する
「誰に、何を、どのように残すか」を具体的に決めることで、家族間のトラブルを防げます。節税にもつながるため、早めの準備が安心につながります。
借地人と一度面談する予定を立てる
普段の連絡だけでは伝えきれないこともあるため、顔を合わせての面談は関係維持に効果的です。更新や今後の方針を丁寧に共有する機会になります。
これらのうち一つでも着手できれば立派な進歩です。行動は不安を小さくし、安心を大きくしてくれます。今日できることから始めてみましょう。
これらのうち一つでも着手できれば立派な進歩です。行動は不安を小さくし、安心を大きくしてくれます。今日できることから始めてみましょう。
地主、底地・相続のよくある質問(FAQ)

最後に、高齢地主の終活や相続準備について、よくいただく質問をまとめました。気になることがあれば、一つずつ確認しておきましょう。
Q1:底地は本当に売れるんですか?
【回答】底地は「買い手がつきにくい」と言われますが、実際には借地人や不動産会社、底地専門の買取業者が買うケースが増えています。
ただし、借地人が購入を希望しない場合は価格が下がる傾向があるため、複数社に相談して相場を確認するのが大切です。
Q2:認知症になったら、家族が手続きを進められますか?
【回答】本人が判断できない状態になると、原則として家族だけでは手続きできません。
成年後見制度を利用する必要があり、家庭裁判所の選任や報告義務が発生します。「任意後見契約」を元気なうちに結んでおくと、信頼できる人にスムーズに任せられます。本人が判断できる段階であれば、「家族信託」を検討してもいいでしょう。
Q3:借地人さんが更新を拒否したらどうなるのでしょう?
【回答】借地契約には「借地権の強い保護」があります。借地人さんが正当な理由なく更新を拒むのは難しいケースが多いです。
更新料や条件変更の交渉が折り合わない場合は、調停や裁判で解決することもあります。専門家に相談し、早めに対応策を検討することをおすすめします。
Q4:相続税の納税資金が足りない場合はどうしたらいいですか?
【回答】納税のために底地を売却する、借入をする、(生前贈与で分割払いを進める)など複数の方法があります。
特に底地は現金化までに時間がかかることが多いため、「資金シミュレーション」を事前に行うことが重要です。税理士などの専門家に相談し、現実的な準備を進めておくと安心です。
まとめ:底地・借地の『終活』は、元気な今こそ始めどき

底地や借地を抱えた高齢の地主さんにとって、終活や相続準備はとても大きなテーマです。「まだ元気だから大丈夫」と思いがちですが、早めに動くことで、将来の不安やトラブルをぐっと減らすことができます。
底地・借地は管理や権利関係が複雑で、相続のタイミングで大きな負担となることがあります。
しかし、今回ご紹介したように、資産の棚卸しや遺言書の準備、家族との話し合いなど、元気なうちにできることはたくさんあります。
「何をどこまでやるか」をすべて決める必要はありません。小さな一歩から始めるだけで、安心の種を育てることができます。
もし迷ったり不安を感じたときは、司法書士や税理士、専門の不動産会社など専門家に相談しながら進めてください。プロの力を借りることで、スムーズに問題を整理できることも多いものです。
ご家族と一緒に将来の道筋を描き、資産を守りながら安心して暮らしていくために。「今日からできる行動」を一つずつ積み重ねていきましょう。
底地・借地借家・相続問題でお悩みの時は、ニーズ・プラスにお任せください!
ニーズ・プラスは、東京や千葉、埼玉、神奈川を中心に、数多くの物件を取り扱い、豊富な実績とノウハウを有しています。
底地・借地借家・相続問題でお困りの地主さん・大家さんとひとりひとりじっくり向き合い、ご要望をお伺いした上で、内容に沿った最善の解決策をご提案致します。解決の難しい問題は、多様な知識を活かしながら、複雑化してしまったトラブルをスムーズに解決へと導きます。
弊社をご利用いただいたお客様からは、「トラブルを円満に解決できてよかった」「難しい取引も、すべてお任せできて安心できた」などと喜ばれております。
底地・借地借家・相続問題についてのお悩みは、ニーズ・プラスへご相談ください。




