田舎の空き地は今が売り時!低未利用地を譲渡した時の長期譲渡所得100万円控除とは

2020.03.31

税金についてのルールは、私たちの日々の生活に大きく関わるものです。そこで、社会の情勢にあわせて毎年、見直しが行われることになっており、これを「税制改正」といいます。

令和2年の税制改正で、土地を所有している人から注目されているのが「低未利用地を売却した場合の長期譲渡所得の特別控除」です。これを利用すれば、有効に活用できていない土地を売る際に、税金上の優遇を受けられます。理由は後ほどご説明しますが、「地方の土地を相続したものの、土地活用できずに放置していた」という人なら、利用価値が高い制度なのです。

そこで今回は、この新しい制度について、低未利用地とはなんなのか、利用にはどのような条件があるのか、実際にどの程度まで税額が安くなるのかなどについて、わかりやすくご紹介します。

(※この記事は、法律が成立した2020年3月末時点の最新情報で執筆しています。)
売り物件

田舎の空き地が売却しやすくなる!「低未利用地を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」ってどんなもの?

この制度は、「使いみちがなく何年も空き地にしている」など、有効に活用できていなかった土地(低未利用地)を売却した時、一定の条件をみたせば、その利益から100万円を控除できるというものです。

土地を売却したら、売却で発生した「利益」は「譲渡所得」となり税金がかかりますが、100万円控除は、この譲渡所得から行います。後ほど詳しくご説明しますが、いくらで買ったかわからない土地は、売却した値段の95%が譲渡所得となってしまうので、売却した人の税負担が重くなります。

この制度を利用すれば、譲渡所得が減るので、土地を売った人に課税される税金が安くなります。土地を売る人の税負担を減らすことで、土地の売却をうながそうというのが今回の制度の目的です。

「相続で受け継いだ地方の土地」なら、使えるチャンス大!

今回の制度を積極的に活用できそうなのは、おもに地方の「ただ所有しているだけ」になっている土地の売買です。
忘れ去られた地方の土地

全国で増え続ける「使われない土地」問題

この制度が作られた背景には、利用されていない土地が全国で増え続けているという事情があります。この傾向がいちじるしいのが、地方都市です。「親が亡くなり、都会に出ていた子どもが実家を相続したものの、誰も住まずにそのままになっている」などのように、空き地や空き家が急増しているのです。

放置された土地は雑草や木が生えるなどして荒廃していき、景観が悪くなるだけでなく、地域全体の防犯上の問題にもつながります。さらに、土地の所有者が亡くなれば、所有者不明の土地になってしまうリスクもあるのです。

そこで、国は、このような土地を適切に利用・管理してもらうため、積極的に売りに出し、活用できる人に買ってもらおうと考えたのです。

税金が減れば、「売っても二束三文にしかならない」土地も手放しやすくなる

「使い道がない土地なら売ってしまおう」と考える人も多そうなものですが、そのような土地が売却されず大量に放置されてしまうのには理由があります。土地の処分にはお金がかかるもの。そのため、安い土地なら、土地所有者は売却することにメリットを感じられないのです。

すっからかんのお財布
土地を売却するには、測量を行う、不動産業者に仲介を依頼するなど、何かと費用がかかるうえ、最終的に売れた金額に対して税金まで支払わなければなりません。地方の土地は数百万円程度の低額で売買されることも多いので、これらの必要経費と税金を差し引いたら、土地を売った人の手元に売却利益がほとんど残らないという事態になってしまいます。その結果、「売らない方がマシ」となり、空き地を放置することになるのです。

そこで、土地を売却する人のもうけを増やし、使わない土地を売りに出すモチベーションにつなげてもらうため、土地を売却する人が支払う税金を減らすという今回の制度改正につながったのです。

「低未利用地を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」を受けるための3つの条件とは?

長期譲渡所得の特別控除を利用するためには、クリアすべき条件が3つあります。
3つのチェック

その1:都市計画区域内にある土地を売却すること

今回の制度を適用できる土地は、都市計画区域内のものに限ります。所有している土地が都市計画区域内に位置しているかどうかは、土地の所在地の市役所に問い合わせればわかります。

その2:売却する土地は5年以上所有している「低未利用地」で、買主はその土地を利用する意向があること

「あまり使われていない土地を、積極的に使ってくれそうな人に買ってもらおう」というのが今回の制度の趣旨なので、売却にあたっては、次の2点について、市長などの確認を受ける必要があります。

(1)売却する土地は、5年以上(※)所有している「低未利用地」である
(2)その土地を買った人が、土地をきちんと利用するつもりである

※売却する年の1月1日時点で計算

低未利用地ってどんな土地?

長期間にわたって利用されていない「未利用地」と、周辺地域にくらべて利用の程度が低い「低利用地」をまとめて低未利用地と呼びます。具体的には以下のような土地です。

「未利用地」の例:空き地、空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地、管理を放棄された森林など
「低利用地」の例:暫定的に利用されている資材置き場や青空駐車場など
シャッター状態のお店
今回の制度で具体的にどのような土地が「低未利用地」と認定されるのかは、今後の発表が待たれます。制度を創設した趣旨から考えて、低未利用地と認定されるためにあまりにも厳しい条件がつけられるようなことは考えにくいでしょう。

その3:土地の売値が500万円以下であること

長期譲渡所得の特別控除を受けるには、土地を500万円以下の値段で売る必要があります。建物が建っている土地の場合は、建物も含めて500万円以下です。

利便性の高い都市部の土地ではこのような低額で売買されることはまずありえませんが、地方であれば話は別です。地方なら、一戸建てが建てられるような広さの土地でも、500万円以下で取引されることが珍しくありません。

控除が使えないケースにも注意!

STOPの看板
以上3つの条件をすべて満たしていても、次の2つのいずれかにあてはまる場合は、この制度を利用できませんので注意が必要です。

配偶者など特別な関係にある人に売却する

売主の配偶者など、特別な関係の人に対して土地を売却する場合はこの制度は使えません。親族も「特別な関係」にあたると思われるため、控除の対象外になると推測されます。遠い親戚に売却する場合などについては、今後の情報を待ちつつ、税理士などの専門家に確認した方が良いでしょう。

適用を受けようとする低未利用地と一筆であった土地から分筆された土地について、その前年または前々年に、この特例を利用している

土地は「筆(ふで)」という単位で数え、1つの土地を不動産登記簿上で2つ以上に分けることを「分筆(ぶんぴつ)」と言います。このルールは、簡単にいうと、「土地を複数に分けて2年以内に売却した場合は、そのうちの1つにしか、この制度は利用できません」ということです。
土地を分筆した図
この制度を利用するためには、土地の売値が500万円以下である必要があります。それゆえ、500万円以上の値段がつけられる土地に対してこの特例を適用するため、「土地の値段が500万円以下になるように細かく分筆して、それぞれの土地に対してこの特例を利用する」といったやり方も考えられます。しかし、現在明らかになっている情報の限りでは、そのような方法は認められません。

「低未利用地を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」を利用すると、どのくらい税金が安くなるの?

「100万円控除」とも略されることのある今回の制度ですが、支払う税金の額が100万円安くなるわけではありません。100万円控除の意味を正しく理解するには、まず、土地の売却で発生する譲渡所得と、譲渡所得にかかる税金について知る必要があります。

土地売却で得た「利益」は譲渡所得となり課税される

不動産を売って得た利益は譲渡所得として課税されます。ポイントは、「利益」のみが譲渡所得になるということ。

例えば、平成10年に1,000万円で買った土地が値上がりして令和2年には1,500万円になったとします。このタイミングで売却したら、利益は500万円なので、500万円が譲渡所得になり、税金がかかります。
譲渡所得にかかる税率の図

譲渡所得にかかる税率は、不動産を保有していた期間によって決まります。今回の制度が対象としている「5年以上保有している土地」の場合は「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%です。

買った時の値段がわからなければ、利益の95%に課税されてしまう事態に

「あの土地は買った時より値下がりしているはずだから、売却しても利益は出ない。当然、譲渡所得に対する税金もかからないだろう」と考えるのは早計です。購入時の値段を税務署に対してきちんと証明できなければ、売値の95%を譲渡所得とみなされてしまうというルールがあるのです。

相続によって代々受け継いできたような古い土地では、ご先祖様がいくらでその土地を買ったか記録に残っていないということも十分に考えられます。このようなケースでは、「明らかに値下がりしていそうな土地だから、大丈夫だろう」と油断して売却すると、予想外の税金がかかってしまうのです。

100万円控除を使うと税金はいくらになる?シュミレーションしてみよう

相続で受け継いだ空き地を、500万円で売却するとしましょう。土地をいくらで買ったかの記録は残っていないものとします。
譲渡所得にかかる税率の図
100万円控除を使わない場合は、譲渡所得の金額が475万円になるため、96万4,962円の税金を支払わなければなりません。一方、100万円控除を使う場合は譲渡所得が375万円なので、支払う税金は76万1,812円と、約20万円安くなります

すでにご説明した通り、今回の制度を利用するには、土地の売値は最高でも500万円です。したがって、1つの土地について最高20万円程度、税金が安くなることがわかります。

2つの土地について今回の制度を利用すれば40万円、5つの土地なら合計100万円の税金が安くなります。実家の土地をいくつも相続したが、自分は都会に出てしまっているから放置するしかない、という人にとっては大変ありがたい制度だと言えるでしょう。

低未利用地を売却した時の長期譲渡所得100万円控除が受けられるのは令和2年7月1日から

低未利用地を売却した場合の長期譲渡所得の100万円控除に関する法律は、2020年3月27日の国会で成立したばかりで、実際の運用上の細かいルールは今後の発表が待たれます。制度を利用できるのは、令和2年7月1日から、令和4年(2022年)12月31日までの間です。地方にお持ちの土地の売却をお考えの方は、少し待てばこの控除を受けられる可能性がありますので、売却のタイミングを検討することをおすすめします。

土地は、ただ所有しているだけではその価値が十分に発揮されません。使い道のない土地であれば、売却することも非常に有効な土地活用の手段です。積極的な売却で、有効な土地活用を実現させましょう。

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