【弁護士監修】立退料に相場はある?立ち退きで知っておくべきポイント完全解説

建物を賃貸している場合に、貸主側の都合で、借主に物件の退去を請求する立ち退き。

円満に交渉が進めばよいものの、立退料の問題で当事者の要求(希望)に隔たりがある場合、感情的な問題にもなりかねません。

本記事は、弁護士監修で立ち退きに関して解説しております。ぜひ、最後までお読み下さい。

立退料とは?

一般用語としての立退料とは、貸主が借主に対し建物から退去してもらう時に、立ち退いてもらうために支払う金銭をいいます。

借地借家法における普通建物賃貸借等に該当する場合、貸主が借主に法律上立ち退きを請求する場合、貸主側に「正当事由」が認められることが必要となります。

裁判になった場合、正当事由の有無が争点となることが多く、立退料の支払いだけでは正当事由は認められず、立ち退きが認められない点に注意が必要となります。

立ち退きに関して知っておくべき5つのこと

その説明に入る前に、まずは立ち退きについて、必ずおさえておくべき点を5つにまとめましたので確認しておきましょう。

立ち退きの流れ

立ち退きは当事者間の交渉で円満に解決すれば、賃貸借契約を合意で終了させるなどしてし、借主が任意に貸主に物件を明け渡すことで成立します。ただし、交渉がうまくまとまらず、貸主が借主に立ち退きを法律に基づいて請求したい場合、賃貸借契約を終了させる必要があります。

そのため、貸主は
1)賃貸借契約を解除する
2)賃貸借契約に期間の定めがある場合に、期間満了により「更新しない旨の通知」(更新拒絶)をする
3)その他、期間の定めのない賃貸借契約の場合は、解約申し入れをする
以上、いずれかの手段を取る必要となります。

しかし、
1)については「解除原因」
2)の「更新拒絶」には「正当事由」
3)の「解約申し入れ」には「正当事由」
以上の要件を満たす必要があります。

実際のところ、1)、2)、3)ともに、貸主がその要件を裁判で認めてもらうには、相当高いハードルがあるのも事実です。このように、立ち退きの交渉では、借主が借地借家法という法律によって強く保護されている点をおさえておきましょう。

立退料が必要になる理由

立退料についてまずおさえておきたいポイントは、立ち退きを請求する際、立退料は必ずしも必要はないという点です。

裁判で貸主側が立ち退きを求める場合、貸主側が主張する借主の退去を求める正当事由を補完するものとして、立退料の支払いと引き換えに立ち退きが認められるケースがあります。このように、裁判において立退料が必要になるかどうかは、裁判の事案によりケースバイケースと言えるでしょう。

立退料の内訳

次に立退料を算定するにあたり、その算定要素となりうるものについて解説します。

アパート・マンション、戸建ての場合は、

  • 移転経費
  • 新規契約金
  • 前家賃との差額
  • 敷金との差額
  • 借家権価格
  • 居住権の補償
  • 再開発利益の配分額
  • 転居による慰謝料
  • その他(事案により個別に算定)

以上のような要素が挙げられます。

事務所オフィス店舗の場合には、立ち退きにより、借主側に大きな営業損失が生じることもあるため、立退料は高額化する傾向にあります。

事務所オフィス/店舗の場合は、上記算定項目に加えて営業補償が要素として想定できるでしょう。

このように算定要素として例示しましたが、立退料の算定は事案により個別に検討されるもので、「立退料の公式」というものがあるわけではありません。個別の立退料の算定については、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

立退料に相場はあるのか?

貸主が借主に立ち退きを請求し、この交渉の中で「立退料を支払う」必要が出てきた場合、立退料に相場というはあるのでしょうか?

結論から言うと、「立退料に相場はありません」。基本的には、貸主と借主による当事者間の話し合いの中で決まるものとなります。裁判となった場合も、個別の事案により、その算定方法も、金額もそれぞれ異なり、相場というものはありません。

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立退料の支払時期

基本的には、建物明渡しと引き換えで支払うこととなります。また、当事者で合意があれが支払時期を変更することも可能です。

例えば、借主側すると、移転先の初期費用の支払いは、物件の明渡し前に発生するので、できるだけ明渡し前に立退料が必要となるケースが多くなります。

一方、貸主としては、物件の明渡し前に、多額の立退料を先に支払うことは、その後に明渡をしてもらえない可能性があるためリスクを負うことになりえます。

金銭にかかわることでもあり、当事者の交渉を円滑に進めるために、専門家を介しての交渉を検討するのもいいでしょう。

立退料にかかる税金について

最後に、立退料にかかる税金について、受取り側(借主)と支払い側(貸主)それぞれ解説します。

借家人が立退料をもらったとき

事務所や住居などを借りている個人が、その事務所などを明渡して立退料を受け取った場合には所得税法上の各種所得の金額の収入金額になります。立退料は、その中身から次の三つの性格に区分され、それぞれその所得区分は次の通りとなります。

1)資産の消滅の対価補償としての性格のもの
家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額は、譲渡所得の収入金額となります。

2)収入金額又は必要経費の補填としての性格のもの
立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業等による収入金額又は必要経費を補填する金額は事業所得等の収入金額となります。

3)その他の性格のもの
上記1及び2に該当する部分を除いた金額は一時所得の収入金額となります。

※国税庁HP[令和3年4月1日現在法令等]より引用

賃貸人が立退料を支払ったとき

賃貸人が借主へ立退料を支払う際の立退料の取り扱いは下記の通りです。

1)賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料は、譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除されます。

2)上記1に該当しない立退料で、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上必要経費になります。

3)土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料は、土地、建物等の取得費又は取得価額になります。

4)敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常、借地権の買い戻しの対価となりますので土地の取得費になります。

※国税庁HP[令和3年4月1日現在法令等]より引用

立退料の交渉をする6つのポイント

1)立ち退きを求める理由を説明する

貸主として、立ち退き理由と立ち退きを希望する時期について、借主に明確に、分かりやすく伝えるようにしましょう。

この時、曖昧な理由で説明すると、いたずらに相手の反感を招くことになりかねません。「建物の老朽化が進み建て替えたい」、「建物を解体して再開発したい」など、正当性のある説明をするよう心がけてください。

2)借主側の事情も考慮する

貸主の一方的な都合で立ち退きを求めるばかりだと、相手も感情的になりトラブルが起きやすくなります。借主側も、立ち退きとなると新しい家探しや引越しなどの手間が増えます。相手の事情をよく聴き、移転を決断するにあたり問題となる点を1つずつお互いに解決できるよう、協力する環境作りが大切です。

3)立ち退きに伴って発生する費用を計上する

借主の移転に必要となる金銭面については、立退料を貸主側から提示し、解決していくことも検討する必要があります。立退料の算定については、相場が一概にあるわけではなく、今後のトラブルを回避するためにも、早めに弁護士など専門家へ相談することおすすめします。

4)交渉内容は必ず書面で残しておく

交渉を重ね、ある程度、解決策の道筋が見えてきた段階で、書面で立ち退き交渉の内容を残すようにしましょう。交渉内容を文書に残し、合意点をはっきりさせることで、のちのちのトラブルを回避できます。また書面により正式に解決策を提示することで、交渉の解決に向かう見込みも高くなります。

5)交渉の妥協点も考えておく

立ち退き交渉は、どちらの側も好条件で立ち退きの問題を解決したい考えます。一方の都合で交渉を進めると、いつまでも交渉が長引きます。早めの合意を得ることが双方のメリットになるよう、妥協点はあらかじめ設定して交渉に臨むことは重要です。

6)専門家に交渉の依頼をする

立ち退き交渉は、金銭的な面にかかわるため、その多くはトラブルにつながりやすいものです。また、トラブルを避けるために譲歩を続けると、不利な条件で立ち退きを求めることなり、交渉として不本意な結果になりかねません。このような立ち退き交渉でのトラブルを避けるには、弁護士などの専門家に交渉を依頼を検討するのもよいでしょう。立ち退きの専門家に任せることで問題の発生を回避し、場合によっては大家側によい条件で立ち退きが決まることもあります。

まとめ

今回は立ち退きをテーマに、家主様(貸主)が借主へ立ち退きを請求する前に、おさえておきたいポイントを中心に解説しました。

立退料に相場はなく、個別の事案により、当事者間で交渉しながら決めるものとなります。裁判の場合でも、相場を決める公式はなく、貸主と借主の立場を考慮し、総合的に判断し、算定されるものとなります。

いずれにしても、立退料は金銭がかかわる大事な交渉となります。当事者間が余計なストレスを抱えることなく、円滑に交渉を進めるためにも、事前に専門家に相談することをおすすめします。

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