使用貸借とは?

使用貸借とは、簡単に言えば所有している土地や建物といった不動産を金銭などの対価を貰わず、無償で他の人に貸すことをいいます。例をあげると、親子間での使用貸借です。親の所有している土地(親名義の土地)に、子どもの家を建てるというのが使用貸借として多いケースといえるでしょう。
親子間での土地の使用貸借

このように使用貸借はごく親しい親族間で行われやすいものですが、隣人や友人といった赤の他人に土地や建物を使用貸借するというケースも珍しくはありません。今回はこの使用貸借について掘り下げてご説明します。

<参考ページ>
使用貸借で起こり得るトラブル9事例

使用貸借と賃貸借との違い

使用貸借と賃貸借の違いは土地を貸すことによって、金銭などの対価をもらうか否かの違いです。土地を貸すなら「地代」として、土地と建物を貸すなら「賃料」として金銭の授受を行うところを、無償で貸し出すことを使用貸借といい、逆に地代や賃料を貰うことを賃貸借といいます。つまり、金銭のやりとりの有無が使用貸借と賃貸借を分ける大きな違いとなります。それでは、地代や賃料の代わりに固定資産税を払ってもらっていた場合はどうなるのでしょう。

地代や賃料の代わりに固定資産税を払ってもらっていた場合

「地代や賃料の代わりに固定資産税を支払ってもらっていた」というケースは使用貸借なのでしょうか。それとも賃貸借なのでしょうか。

上記の場合、金銭の支払いはあるものの地代や賃料という約定ではありません。また固定資産税を支払うということは、金銭を受け取ってもそのまま税金の支払いに充てられ、貸主に利益が出るわけではありません。そのため、この場合は賃貸借には当たらず、使用貸借であるとされます。つまり、借主さん側の法的効力を高める借地借家法には該当しないということです。

土地の使用貸借に契約書は必要?

不動産使用貸借契約書

土地の使用貸借は、口約束で結ばれることが多いのも特徴のひとつです。「土地が空いているからここに家を建てればいいよ(親から子または親族へ)」「お宅の空いている土地に車止めさせてもらっていいですか?(隣人から)」「家庭菜園させてもらってもいいですか?(隣人から)」など、空いている土地を使わせてほしいとお願いされるケースは多く見受けられ、土地の所有者も「どうせ使っていない土地だから」と軽い気持ちで了承してしまうことが多いのです。

しかし、契約書のない口約束による使用貸借では「いつまで貸せばいいのか」という明確な期日を設定していないことがほとんど。つまり、「返してほしい」と言わない限り、ずっと貸したままになってしまうのです。

また、契約書を作成しなければ、貸した土地を借主の自由に使われてしまう可能性も捨て切れません。畑用に貸したはずなのに勝手に倉庫を建ててしまわれたり、駐車スペース用に貸した土地に勝手にアスファルトをひかれてしまったり、といった予想外なことに使用されることもあるのです。

民法第599条において「使用貸借した土地の原状回復義務」が定められていますが、契約書がなければ「本当に使用貸借した土地なのかどうか」も証明のしようがありません。つまり、使用貸借した土地であるのかどうかを証明するためにも、契約書の作成は必要といえます。

使用貸借の契約書なしはトラブルの火種になりうる

例えば、使用貸借したときには利用する予定がなくとも、のちに貸した土地を売却したい、事業用として使用したい、貸宅地として他の人に貸したい、といったことが起こり得るかもしれません。しかし、契約書がなく明確な返還期日を定めていない場合には「そんなこと急に言われても…」と拒否されることもあります。

ただし、法律的には「当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。(民法第597条)」とありますから、いつでも返還を要求できます。

しかし、土地の上に建物を建ててしまわれたケースや、機械や農機具などの私物が放置されたままになっているケースでは、強制的に立ち退きを敢行することはできないと言えるでしょう。なぜなら、土地は貸主さんの所有物であっても、その上にあるものは借主さんの所有物であり、勝手に撤去すると法的に罰せられる可能性があるからです。

こうならないためにも、「契約満了期日・使用目的・目的外での使用禁止・返還時の原状回復」といった項目内容を盛り込んだ使用貸借契約書を作成することをおすすめします。

使用貸借契約書に印紙は必要?

契約書には印紙が必要と思われている方も多いかもしれませんが、印紙が必要となる契約書は印紙税法で定められた課税文書に該当するケースのみです。

<参考サイト>
国税庁:印紙税・契約書の意義

使用貸借契約書は不課税文書に該当するため、印紙を貼る必要はありません。

使用貸借契約解除!立ち退きを要求したい場合

前述したように、使用貸借として無償で貸している土地の返還は、契約書に返還期日が記載してある場合はその期日満了時に、契約書に期日の記載がない場合や契約書がない場合は貸主の返還要求があった時に返還しなければならないといった法律があります。

なので、貸主側が立ち退きを要求する場合、契約書に沿って立ち退き要請を行うか、契約書がない場合は借主さんにきちんと立ち退き理由の説明を行った上で立ち退きをお願いするよりほかありません。

立ち退きをお願いしてもなお、いつまで経っても「立ち退かない」「私物が置かれている」「原状回復されていない」といった場合は、法的措置をとることを考えなくてはならなくなります。
使用貸借している土地の立ち退き要求

使用貸借している土地の相続

使用借地している土地の貸主または借主が死亡した場合、その土地の相続はどうなるのでしょうか。

土地を借りている借主が死亡した場合

使用借地されている土地は使用借地契約を行った借主が死亡した時点で契約終了となります。(民法599条)

つまり、使用貸借の権利は一世代限りであり、相続として引き継がれることはありません。使用借地の契約を継続するには借主死亡時に新たに契約をしなおす、または見直す必要があるでしょう。

ただし、使用貸借契約書などを作成しており、特約として「借主死亡時には相続人に使用貸借の権利が継承される」といったものが記載されている場合はその限りではありません。

土地を貸している貸主が死亡した場合

逆に貸主が死亡した場合は貸主の債務が相続人に継承されるため、借主側にはなんの影響もないといえます。しかし、土地を相続した時点で、契約を結んだ借主がすでに死亡している、または契約期日がすでに満了を迎えているといった場合は使用貸借の解除を申し出ることができます。

ただし、使用貸借している土地は賃貸借している土地と比べ相続税が割高になるので、土地を相続する前に十分検討する必要があるといえるでしょう。

<参考ページ>
使用貸借の土地、相続税はどうなる?

親族間で土地を使用貸借している場合の注意点

使用貸借契約は借主側にはほとんど権利がありません。したがって、貸主が契約解除を申し出た場合、土地を明け渡す必要があります。畑や作業場といった簡単に明け渡すことができ、原状回復もすぐに行えるものでしたら問題ありませんが、例えば家屋といった建物が建っている土地の原状回復、明け渡しは借主にとって大きな負担となってしまいます。

相続によって発生する可能性のある問題とは

今は使用貸借として親の土地を借りているけれど、ゆくゆくはその土地を相続する予定であるなら問題はありませんが、借りている土地が他の人の名義なってしまう(例えば自分以外の兄弟などが土地を相続する)といった場合、きちんとした契約を結んでいないと「出ていってくれ」と言われかねません。

そうなった場合、生活の基盤である家を失うわけですから、その精神的苦痛は計り知れないものとなるでしょう。そうならないためには、親の土地を借りて家を建てるといったケースでも、きちんと契約書を作成していた方が安心できます。

親子間の使用貸借は贈与になる?

土地の使用貸借としてよく行われるのが、親名義の土地なのに子どもが家を建てるといったものです。親子間で使用貸借する場合、贈与になるのでしょうか。

親子間の使用貸借は贈与にならない

親子間で行われる土地の使用貸借は贈与に当てはまりません。端的にいえば、借地権という「土地を借りるときに発生する権利」を親から譲られたように見えますが、権利金や地代という対価の発生しない使用貸借は借地権のような強い権利を持つものではないので、贈与にはならないのです。

注意したいポイントはあくまで無償で土地を貸すという点。地代を支払ったり、権利金を支払ったりすれば、「賃貸借」扱いになるので贈与税が課税されてしまいます。

地代の支払いは使用貸借の範囲から外れてしまうのでNGですが、土地の固定資産税を支払うというのは範囲内なので可能です。「タダで貸してもらうのは申し訳ない」ということであれば、土地の固定資産税を地代がわりに支払うことをおすすめします。

<参考サイト>
国税庁:親の土地に子供が家を建てたとき

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