【土地活用】コインパーキング・駐車場経営はやった方がいい?

街のあちこちで見かける月極駐車場やコインパーキング。駐車場経営は、比較的、低予算で始められるので、人気の土地活用方法の1つです。

しかし、参入しやすいからといって気軽にスタートすると、予想外に利益が上がらず苦労してしまう可能性があります。また、節税という観点からも「駐車場が自分にとってベストな土地活用手段なのか」を検討すべきです。

そこで今回は、駐車場経営についての基礎的な知識から注意点、そして駐車場経営はした方がいいのかについて、わかりやすくご紹介します。

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駐車場

駐車場経営ってどんな土地活用方法?

駐車場経営は、車を停められるように区画分けした土地を貸し出し、賃料収入を得る方法で、契約の形態からは以下の2タイプに大別されます。

  • 月極駐車場・・・特定の借主と契約書をとりかわし、1ヶ月単位で賃貸
  • コインパーキング・・・不特定の人に、空いている駐車スペースに自由に駐車してもらい、利用した時間ぶんの料金を受け取る

また、形式からは以下の2つの種類に分けられます。

  • 平面式駐車場・・・平地を駐車場として整備したもの
  • 立体駐車場・・・建物をたて、複数のフロアをもつ駐車場。車をエレベーターやスライドに載せ駐車スペースに運ぶ「機械式」と、ドライバー自ら車を停める「自走式」がある

では、駐車場経営のメリットとデメリットを見ていきましょう。

駐車場経営のメリット

初期投資が少なくて済む

駐車場経営は、少ない資金で始められるのが最大の魅力です。

物件の建設が不要な平面式駐車場なら、車が停められるよう土地を区画分けするだけで構いません。もっとも簡単なやり方でよければ、土地の上にロープを張れば事足ります。
駐車場経営

立体駐車場なら設備投資にお金がかかるとはいえ、マンションやアパートを建てるよりは安くなることがほとんどです。

また、コインパーキングでは、駐車スペースの下に設置するフラップ板や専用の機械が必要ですが、「サブリース式(※)」を利用すれば地主さんの費用負担はありません。

※駐車場運営会社に、土地を一括で借り上げてもらう方式。

その2:建物の建築が難しい土地でも活用できる

アパートやマンションを建てるには、土地にある程度の広さが必要です。一方、駐車場経営の場合、宅地には適さない狭い土地・形の悪い土地でも、駐車スペースさえ確保できれば問題ありません。特に、平面駐車場なら、2〜3台ぶんのスペースしかない細長い土地などでも十分に活用可能です。

また、第一種低層住居専用地域などでは、建物の高さや容積率に制限があり、「収益性を確保するだけの部屋数のアパートは建てられない」といったケースもあるでしょう。こんな時にも選択できるのが、駐車場経営です。

その3:管理の手間がさほどかからない

駐車場経営で必要な管理は、かんたんな清掃と敷地内でのアクシデントへの対策程度なので、マンションやアパートなどに比べれば、管理の手間がかかりません
駐車券発見システム
マンション・アパートの管理業務は膨大かつ煩雑なので、「運営会社に委託しないと難しい」と考える地主さんも多いかと思います。一方、駐車場経営は規模にもよりますが、自分で管理することも十分可能です。

その4:設備が老朽化しても収益性は低下しにくい

駐車場経営では、設備の老朽化によって集客能力が大きく下がることはまれであり、特に、平面式駐車場であれば修繕費用もほとんどかかりません。

これは、賃貸物件の経営とは対照的です。マンションやアパートでは、築年数が古くなってくると、入居者を集めるためのリフォームが必要になりますし、修繕費用もかさみます。これらの出費がかさむことで収益性が低下してしまうのです。

その5:用途変更がしやすく、リスクも小さい

平面式駐車場であれば、ほぼコストをかけずに更地に戻せます

また、駐車場は、アパート・マンションのように入居者の権利を保護する法律的な縛りが少ないのも特徴です。つまり、立ち退いてもらうための交渉や費用の負担も抑えられるのです。月極駐車場の場合、契約書の内容にもよりますが、最短1ヶ月程度(※)で経営を終了することが可能ですし、コインパーキングなら立ち退きを告げる手間も不要です。

「土地の運用可能期間が決まっている」というケースでも選択しやすく、また、「うまくいかなかったらすぐに撤退」もできるのが、駐車場経営の良いところです。

※「立ち退きについて1か月前に告知します」という契約になっていれば、利用者には1か月前に知らせれば、法律上は問題ありません。ただし、周辺に他の駐車場が少ないケースでは、利用者は簡単には次の駐車場を見つけられないこともあります。スムーズにことを進めるためには、2ヶ月程度前には告知する方が親切です。

駐車場経営のデメリット

アパート・マンション経営ほどの収益性は得られないのが一般的

駐車場管理
数多くのフロアをもうけるタワー型の立体式駐車場をのぞけば、平面式駐車場や小規模な立体駐車場では、面積あたりの収益率が落ちてしまう傾向があります。特に、平面式駐車場では、土地の面積ぶんの利用しかできないため、利用効率が悪くなりがちです。

アパート・マンション経営は、5階建や10階建で土地の5倍・10倍ぶんの活用が当たり前ですが、個人経営の駐車場は、立体式だとしても大半が2〜3階建てまでしょう。よほど立地が良い一部の駐車場をのぞけば、アパート・マンション経営の1/2または1/3程度の収益性となってしまうことも珍しくないのです。

駐車場経営に節税効果はほとんどない

土地活用の目的には「収益をあげる」こと以外にも「土地にかかる税金を減らす」ことも挙げられます。しかし、実は、駐車場経営には「土地にかかる税金を減らす」効果はほとんどありません

土地を持っているだけで課税される税金は、毎年かかる「固定資産税」「都市計画税」と、土地を相続したときにかかる「相続税」の2種類に分けられます。順番に見てみましょう。

固定資産税と都市計画税は更地の状態と変わらない

駐車場経営の場合、「更地」と同額の固定資産税・都市計画税を支払わなければなりません。これは大きなデメリットです。
固定資産調査票
例えば、アパート・マンション経営を行う場合、土地の種類(税務上の現況地目)は「宅地」になり固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1と大きく軽減されます。一方、駐車場は一般的に「雑種地」となるため、この軽減は受けられないのです(※)。

※マンションやアパートに併設した住人専用の駐車場であれば、マンションやアパートと一体で利用されているため「宅地」と評価してもらえる可能性があります。

相続が起こったときにも更地評価に

相続が起こったら、相続税を支払う必要があるかを検討するため、相続財産の合計額を算出します。土地の場合は「評価額(相続税評価額)」を計算しますが、この際、駐車場経営をしている土地は、評価額がもっとも高くなる「更地」として扱われます

相続税対策としてもっとも効果的とされる、アパート・マンション経営を引き合いに考えてみましょう。賃貸住宅が建っている土地は、「貸家建付地」として評価額が約2割減額されます。さらに、建物自体の評価額も建設にかかった金額の1/2程度にまで減らせ、かつ建物が「貸家」であることによって3割安くなるので、節税効果が非常に大きいのです。(関連コラム:アパートの3つの節税効果アパート経営による土地活用

一方、駐車場経営をしている土地は「貸家建付地」としての評価額2割減や、「貸家」であることによる3割減は使えません。立体駐車場の設備部分の評価額は、アパート・マンションの場合同様、建設する場合にかかった費用の半分程度まで減らせる場合もあります。
そろばんを持つ男性

簡易的な設備の駐車場では、小規模宅地の特例が使えないことも

駐車場経営では、最大で評価額が80%もおさえられ、相続税減額の目玉ともいえる小規模宅地等の特例」が使用できない可能性があることにも注意が必要です。

小規模宅地の特例は、自宅だけではなく、事業を営んでいる土地に対しても適用できます。例えば、1度の相続で、自宅と、駐車場経営をしている土地の両方に小規模宅地の特例を利用することも可能です(※)。

ただし、小規模宅地等の特例を利用するための前提として「建物又は構築物の敷地」という条件があります。したがって、ロープを貼っただけ、車止めの石を置いただけ、といった簡素な平面駐車場では、制度が利用できない可能性が高いのです。

※自宅と事業用地の併用にあたっては他にも条件がありますので、詳しくは、税理士に相談することをおすすめします。

駐車場経営を成功に導くためのポイント3つ

駐車場経営で収益を得るために、おさえておきたいポイントをご紹介します。

その1:駐車場に適した土地かどうかをよく確認しよう

「駐車場経営のメリット」の段落で「狭い土地でも活用可能」と説明しましたが、どんな土地でも駐車場経営ができる、というわけではありません。

車を停めるのに適切でない土地もある

道路と土地の間に階段ほどの高低差があったり、道路に接していなかったりすると、駐車場経営には向いていません。また、狭い道路を通らないと出入りできない土地も、利用者からは好まれませんので、注意が必要です。

交通量と競合は十分に調査を

いうまでもなく、車輌の交通量が多く、駐車場の需要があるエリアであることを確認することは非常に大切です。ただし、需要が多くとも、すでに駐車場が供給過多になっている地域は避けましょう。最終的には価格競争に陥ってしまい、収益性が低下してしまいます。
駐車場

住宅地の「ど真ん中」を駐車場にするなら、近隣住人への配慮が必要なことも知っておこう

住宅地にある土地で駐車場経営をするなら、隣人の理解を得ておいた方が良いでしょう。法律上の義務はありませんが、駐車場経営は、近隣住人からのクレームにつながるケースもあるからです。

近隣住人にしてみれば、すぐ近くの土地が駐車場になることで、夜中に出入りする車の物音が気になったり、排気ガスが自分の敷地に入ってきたりします。事前に話し合いをしておけば、駐車場利用者に車を停める方向を指示する、「お静かに」と書いた看板を掲げる、などの対応もでき、よりスムーズに駐車場経営ができるでしょう。

その2:最適なタイプの駐車場を見きわめよう

駐車場経営が成立しそうな立地だと確認できたら、次は、ご自身の土地に最適な駐車場のタイプを選びましょう。業者に依頼し提案してもらう方法もありますが、知識がなければ、提案内容の良し悪しも判断できません。「コインパーキングにするか、月極駐車場にするか」「どんな設備の駐車場にするか」はご自身でも検討しておくことをおすすめします。

コインパーキングか月極駐車場かは立地で考える

両者を比較すると、月極駐車場の方が費用や手間が少ないものの収入も少なく、反対に、コインパーキングは費用と手間がかかるものの、収入も大きい傾向があります。どちらを選択するかは、立地によって決めるべきです。

例えば、住宅地の中にある土地は月極駐車場が向いているでしょう。駐車場のない家に住んでいる人からの車庫としての需要が期待できるからです。一方、駅や商業施設、人気の飲食店などが近場にあるなら、コインパーキングが適しています。
駐車場

駐車場の設備は、ライバルとなる近隣駐車場を参考に決める

「立体駐車場か、平面式駐車場か」「舗装・屋根は必要か」などについては、ライバルとなる周辺の駐車場の状態を調査して、参考にすると良いでしょう。いかに競合との差別化をはかるかが鍵です。

例えば、舗装されている駐車場が周囲にたくさんある中、砂利敷きの駐車場にするなら、相場よりも安い料金設定にしなければ、利用者に選ばれないでしょう。また、青空駐車場が多いエリアなら、あえて屋根付きにするという作戦もあります。

その3:実績があり、相談しやすい運営会社や担当者を見つけよう

管理や運営を専門の業者に委託する場合は、業者選びが非常に大切です。運営会社と土地オーナーとの関係は、造成が終わってからも延々と続いていくものです。これまでの運営実績だけでなく、相談のしやすさや相性の良さも運営会社選びのポイントです。提示された収支計画書や契約書の内容を吟味したうえで、信頼できる運営会社を選びましょう。

駐車場経営はやった方がいいのか

駐車場経営は節税効果が薄いため、「駐車場の需要が見込めない土地」を駐車場にした場合、土地活用の意義は少ないことは知っておきましょう。また、収益率の観点から考えても、積極的な土地活用を考える方にとっては、ベストな選択肢にはならないでしょう。

ただし、「資金面の問題で賃貸経営はできない」「土地の条件的に、建物の建設は難しい」などの事情があり、遊ばせておくしかない土地ならば、駐車場経営は有望な土地活用手段になりえます。

たとえ少額でも収入があれば、固定資産税程度はまかなえる可能性がありますし、初期費用がほぼゼロですむ簡素な駐車場にすれば、損をするリスクも最小限です。収益率にこだわらず、柔軟に考えるのが良いでしょう。

土地活用にはさまざまな手段がありますので、それぞれの特徴を理解して、自分にあった計画を選択することが成功の秘訣です。

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